偶然や乱数など様々な呼び名はあるが総じて無作為な事象を司る存在。
元はレネゲイド研究施設で研究されていた確率計算AIにレネゲイドが宿ったもの。
ただしAI自体は研究施設で作られたものではなく、いつの間にか施設のコンピューターにインストールされていたものである。
出所、作成技術は一切不明。何らかの実験で時空乱流が起きたのかオーパーツのような存在なのか、その由来も含めて研究対象とされていた。
元来はオリジン：サイバーのレネゲイドビーイングだったが、彼自体が奇跡的確率の象徴と見做されているためオリジン：レジェンドの性質の方が色濃い。

彼がいる場所には乱数が存在することになるため、0%が1%になり100%が99%になる。無謀な作戦を完遂することも完璧な布陣に穴が空くことも起こしうるピーキーな性質。
AI、あるいは現象を起源とするため本人に確立を操作しようという意思は然程無い。

イメージソング:Bad Apple!! feat.nomico/Alstroemeria Records

彼に自我が芽生えて間もない頃、彼には友人がいた。
【特異点】という奇異な性質を持つ少年は不運も幸運もひっきりなしに呼び込むそれを研究・改善するためにその研究施設に通っていたのだった。
あらゆる確立を発生させる、0％から1％を生み出すレネゲイドビーイングと確率が1％さえあればそれを必ず掴み取る【特異点】の相性は当然のように良かった。あるいはそこに【特異点】がいたことが彼の発生理由だったのかもしれない。
少年が研究施設に足を運ぶ度に会話を重ね、ただの現象は段々と自我を確立していった。
それは穏やかで何物にも代えがたい日々だった。
しかし彼らは、ただ普通の日常を過ごすにはあまりにも相性が良すぎた。

ある日研究施設で未曾有の大事故が発生し施設は壊滅。そこにいた人間は一人残らず死亡した。
機器も壊れ、研究資料も全て燃えた。残ったのはただ奇跡的な確率で発生したAIの伝説のみ。
本体とも言えるAI及びコンピューターを喪って尚、『確率そのもの』と同一視されたレネゲイドビーイングはそこにいた。

それが平穏の中に生まれた1％の大災害だったのか、定められた滅びの運命の中で発生した1％の生存率だったのかは彼にはわからない。
ただ彼は焼け跡を見て回顧した。
少年はヒーローに憧れているのだと語った。しかしそれは性質のせいで難しいのかもしれないとも。
確率のレネゲイドビーイングは正しくその確率を理解した。
自分がいたという相乗効果があったにせよ、こういったことが起こる可能性があるのなら確かに難しいということ。
そして、死んだ人間は蘇らない。
少年の夢見た未来の発生確率が自分でさえ干渉できない0％になったということを、完膚なきまでに理解した。

以来、彼は少年の遺志を継ぐようにしてその顔を真似た人間体を形成しヒーローになることを志した。
ただし人心の機微には疎くヒーローというものにも触れてこなかったため、ヒーロー登録さえしていればそれでヒーローになったことになると認識している節がある。
積極的に人を助けたいというような意志はあまり無いがそれが役割であることは認識しているため基本的には秩序に則って行動する。