財閥令嬢として生まれ、幼いころから令嬢としてふさわしい知識や技術を教え込まれてきた。
その生活が窮屈に感じるときもあったが、それ以外では不自由がない生活だったため、両親や使用人の教えをきっちりとこなしてきた。

そんな彼女には、6歳離れた姉と8歳離れた兄がいる。
二人は優秀で、どちらも実家の家業を引き継ぐことが決まっており、末っ子の彼女は二人と比べて自由な身。
それ故に、彼女は問題なくFHやUGNに所属することが出来た。

家族との中は良好で、得に兄や姉のことを尊敬しており、末っ子として甘えてきた。
けれど、優秀な姉と兄にコンプレックスもあった。
だから、そんな二人に負けない何かを見つけたいと、自分も優秀であると褒めてもらう為に日々努力と探求を続けていった。

そんなある日、彼女に一つの才能が開花する。
オーヴァードとしての才能が。

彼女の才能にいち早く気がついたのは、両親の取引先の人間である一人だった。
彼の名前は「春日 恭二」。春日一族の一人だった。

普段はFHエージェントとしての顔が強いが、春日一族も名家の一つ。それ故に交友があり、両親からの信頼も得ていたため、色々あって彼女は春日 恭二の元FHに所属することになった。
それは中学2年生になったばかりのころだった。

FHに所属してからは春日 恭二の指導の元、能力を磨き彼の作戦に何度か参加をし実践経験を得てきた。

その過程で、彼女はFHそしてUGNのことを知っていく。
世界の為に自らを犠牲にするUGN、自らの欲望の為に世界を犠牲にするFH。

彼女はそのどちらの考えも理解できた。それでも、FH側に属していたのはFHの理念の方に賛同できたからだ。
もちろん、自らの行いで人に迷惑をかける行為はよくないとわかっているし、目の前でそれが行われていれば止めるだろう。
しかし、UGNのように自らを犠牲にしてまで守りたいものが彼女にはなかった。

もちろん、家族のことは大切だ。けれど、家族はみんな優秀で自分なんかが守らなくてもちゃんとやっていける存在だった。
オーヴァードに覚醒してからもそれは変わらない。

武力で制圧は出来るだろうが、それが出来たところで何も変わらない。
だから、彼女は出来る範囲で家族から危険を遠ざける程度でよかった。

それから数年後、彼女が高校2年生になった時その考えは大きく変わる。
その原因となったのが「赤坂 千夏」だった。
最初は仲のいい友達だった。けれど、赤坂 千夏の人となりを知っていくうちに、共に過ごしていくうちに、夢を語り合う度に赤坂 千夏に惹かれていき、赤坂 千夏は一番の親友になった。

そして、いつしか赤坂 千夏は家族とは違う別の大事な存在となり、生まれて初めて守りたいと思った相手だった。

Adレネゲイドにシャルブという新しい脅威も出てきた中で、日常を犠牲にするFHには居続けることは出来なかった。
抜ける際に正面から伝えた。その際多少のもめごともあったが、FHの上位のメンバーの離反などもあったため、それに紛れる形でFHから抜けUGNへと鞍替えした。

FHから離反し所属したのは赤坂 千夏の住む街のUGN。
過去に何度か交戦経験もあったため、当然UGN側には警戒された。
それでも彼女は自らの想いを、考えを彼らに伝えUGNに所属することになった。
元FHである彼女がすぐに所属し自由に行動ができるようになったのは、彼女の人格もあるが、一番はミストルティンに覚醒していたことだった。

この力は彼女が赤坂 千夏を守りたいと願ったときに覚醒した新たな力。
Adレネゲイドにシャルブに対抗するための切り札ともなりうる力だからだ。

そうしてUGNに所属した彼女は日夜赤坂 千夏を守るために、赤坂 千夏の過ごす日常を守るためにUGNエージェントとして多くの任務をこなしてきた。

その過程で、かつての同胞とも戦うこともあった。
けれど彼女は手を抜くことなく戦う。

彼女の基本的な力は、身体能力の強化だ。
その力は常に発揮されており、慣れないうちは触るものすべてを壊してしまうほどだった。
今でも、感情が高ぶったりすると能力の制御がうまくいかないため、戦闘時に使う武器は雑に扱っても壊れない大槌を選んだ。

また、彼女の能力はそれだけではなく、体の一部を糸のようにすることが出来る。
全身を糸に出来るわけではないため、狭いところを移動するなどといった芸当は出来ないが、まるで蜘蛛の糸を出すようにして出される糸は、移動にも探索にも使える優れもの。

ミストルティンに覚醒してからは自らの身体能力に適した巨大なハンマーを創り出す力を持つ。
さらに、彼女が創り出す糸はミストルティンに覚醒してからより強化され、周囲に蜘蛛の巣のように張り巡らせれば城壁となる。
だが、その力は武器を媒介に使用するため常時使えず武器に負荷かかる。

人当たりがよく、財閥令嬢としてふさわしい人格を持っている。
努力家で探求心があるため、どんなことでも挑戦していく。
しかし、挑戦してみてだめだったらきっぱりとあきらめる。

見た目通りおしとやかだが、見た目にそぐわずたまに力でねじ伏せるときもある。

物事ははっきり言うタイプで、特に自分が納得いかないことであれば、誰であろうとははっきりと伝える。

私(わたくし) 貴方 ～様 敬語