【before】
幼い頃から人には見えないものが見えていて、
他人とは距離を置いていた。
後からわかったことだが、これは大気中の
レネゲイドの異常を目視できてしまっていたらしい。

1人だけその秘密を共有する幼馴染がいた。
水城美香（みなしろ　みか）は、気味悪がることもなく、
自分にもわかると言って笑った。
それが本当だったのか、幼さから出た
嘘なのかはわからないし、確かめる術もない。
今はもう、彼女に会うことは叶わないのだから。

3年前にオーヴァードとして覚醒した際、
怪異の宿った遺産と適合し”呼び寄せて”
しまったことで暴走、当時のN市支部長に鎮圧されることになる。
目を覚まして仮初の日常に帰ると、幼馴染はいなかった。
転校だと聞かされたが、不自然なほど足取りがつかめない。
こうした情報操作はレネゲイド絡みの事件で
命を落としたり、ジャーム化した人間の存在を隠蔽する常套手段だ。
自分が、自分の中の怪物が、幼馴染を殺してしまった。

その後は自暴自棄気味に任務にのめり込んだ。
焦燥感も鈍くなり、曲がりなりにも新しい
日常を手に入れ始めていた頃。
死んだものだとばかり思っていた
水城美香と、再会を果たすことになる。

【after】
景山一夜の計画は、美香を桜の主と融合させ、
強制的にレネゲイドを散布させるものだった。
朝霧、皇、暁、桜の主の手すら借りて美香を助け出すことに成功。
お互いを傷つけならがらも手を取り合い、
これからは隣で手を差し出し続けることを誓う。

・朝霧アキラ
その後暫く滞在した彼女の提案で
サメ映画鑑賞会を開催。アーバーンシティの空で
跳ねるスチロールのサメ。ぶちまけられる血糊。
提案した彼女自身がすっごい真顔なので企画失敗
かと思いきや、よく見ると口元がニヤけてた。
こういうのでいいのかも知れない。

・皇　夕都
大を守るために小を切り捨てる、
効率主義な大人…のように見えていたが、
どうもそうでもないらしい。
しかし変わらず真意は掴めない。
自分とは違う、何らかの信念に基づいて
行動していることだけは感じ取り…少しはこの人と
向き合ってみようと思った。

・暁　朔夜
どうやってエージェントと日常を両立しているか
聞いてみた。能力の隠し方とか。
会社の人は、自分でもわかるレベルのぶっちぎり
違法労働でそれどころではなく、妹さんは
怪奇現象に巻き込まれすぎて感覚が
麻痺してるだけだった。

・水城　美香
諜報活動が得意な彼女は、UGN保護観察下で
エージェントとして活動するようになる。
そして監督責任者という名目で加々地と同じ家に
住むことに。
互いの身を案じつつ、少しずつ空白の時間を埋める
ように、他愛もない話を重ねる日々を過ごす。
他の女性と話すといつの間にか背後にいることが
あり、誠意を持った対応が必要だと身をもって
思い知らされる。心臓がいくつあっても足りない。

山奥のあまりに何も無い場所に建つ治安最悪の高校、
山上(さんじょう)高校。通称山上プリズン。
そこで遺産らしき反応が検知されたため、
確保ないしは破壊のため潜入することに。
同じ目的で潜入していたFHエージェント火狩　陽鳴
と遺産を止めるため一時的に共闘し、
なんとか悪魔・バディンを撃退した。
火狩はひよこによるひよこのためのぴよぴよ世界
を目指しているぴよ。…どうやら戦う力が不要な
平和な世界のことを言っているらしい。
そして、その信念の下研究を重ねたのだろう。
レネゲイドを強制的に沈静化させる能力を
持っており”古籠火”を鎮めてみせた。
それは、加々地のかつての恩人を想起させる。
勿論ただの偶然だろうが…そこから加々地は、
研鑽次第ではこの”古籠火”を制御できる
のではないか、という考えに至る。

ちなみに、やたらフレンドリーで情報通な
クラスメイトが親切にしてくれたのだが、
名東叡（めいとう　えい)という名前だったらしい。
別れ際にLI〇Eを交換して初めて知った。