容姿・経歴・その他メモ

神を信じるという事。
そう殊更に主張する事は、現代社会において多くの場合不利益になる。
ただし、世界に広く知られた、時には日本人にとっては仏教よりも馴染みのある場合のある事もあるこの宗派においては、その印象は和らぐ事も多く。 積極的に勧誘などせずに奉仕活動する姿を見れば、好印象を抱く場合も多い筈である。

高橋 百合は敬虔な信徒だった。
神の教えを信じていた。 両親の教えに従い、慎ましやかに生きてきた人気者だった。
過去に本土から北海道から引っ越してきた祖父と、アイヌ民族だったが改宗した祖母の末裔であり、敬虔な家族に育てられた彼女もまた、敬虔な信者となる筈だった。
だが現代社会が現代社会であるが故に。 神の存在を多くの者が信じず、科学が発達した社会は、彼女から敬虔さを徐々に奪っていった。
そうして、彼女はある時を境に神を信じられなくなってしまう。
だが、謙虚で優しく、努力家で、顔立ちも整った彼女は人気者だ。 宗教に全く興味がない人間も、彼女を目当てに教会に訪れる事もある。
両親の期待を裏切りたくないという気持ちも、勿論あった。
だがそれ以上に、彼女は不安だった。 あるいは、今ある自分への期待を失いたくなかった。
故に、彼女は神への信仰を失いながら神へ祈りの言葉を捧げ続けた。
身も蓋も無い言い方をすれば──敬虔な信徒であれば皆自分に好意を抱いてくれるから。

だが彼女はごく平凡な人間だった。 かつては信仰心を有していたが故に、他者に奉仕する生活も苦ではなかったが。
彼女を魅了するものが多く存在する現代社会において、神を信じられなくなった彼女が清貧に生きる事は耐えがたい事だった。
それでも、それでも、皆に期待して欲しい。

買い物に行きたい。 散財したい。 カラオケに行きたい。 友達と遊びたい。
奉仕したくない。 祈りを捧げたくない。 聖歌の練習をしたくない。
でも、でも、でも、敬虔な信徒だと思っていて欲しい。 完璧な人間だと思っていて欲しい。 捨てたい、でもだから捨てられない。
ここから救い出してくれる人が欲しい。 でも彼女の中の冷めた価値観がそんな人は居ないかまやかしだと教えてくる。
平凡な能力、平凡な価値観で、他者とは違う世界に身を投じる。 それを支えるものを自分の心に持たないまま。

故に彼女は祈る者。
期待される者は、”他者が望む事”を”期待されない事”を祈る。
期待される者は、“他者が”“望む事を期待されない“事を祈る。

履歴

《ディストーション》はBC追加のオルクスのエフェクト。《獣王の力》はBC追加のキュマイラのリミットエフェクト。
《オーヴァードダッシュ》はRU追加のトレイルデータ。

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