どこにでもあるような一般家庭の出自、と思っているのは本人とその家族のみ。
親族は士族の末裔を誇りに思っており、その血脈を絶やさぬために
一般ではあまり考えられないような努力をしていた。
そんな息苦しい一族からは家族総出で距離を置いていた。

始まりは、それは蟻の隊列を踏み潰すという、残虐なれど幼い心だった。
蟻に始まったそれは蝉、甲虫、鼠と、だんだんと大きくなっていった。
運命の刻は自身の手の中にあるまだ温かい"それ"を口にした瞬間に訪れた。
覚醒した彼女に、その時口にした三毛猫の特徴が出たのは果たして偶然か必然か。

"鉄拳番長"無道ささきとの関係は、交わした拳から始まった。
自身のお気に入りだった場所で眠っていた彼女。
最初は排除のために攻撃したが、喉から出ていた威嚇音は気づけば少女の笑い声に変わっていた。
以来無道とは仲良く喧嘩しては仲良く昼寝をするという関係になっていた。
学園も彼女がそこに行くというので追いかける形で入学した。

自由気ままで気まぐれな彼女に、恋心を以て関係を模索した者は過去に僅かながらもいた。
当時は理解できなかったそれを学ぶこともまた、学園で彼女が追い求めることだ。