大襲撃後の世界を彷徨う彼女を拾ったFHセルリーダーお手製のポールウェポン。
やたら頑丈な折り畳み式の金属棒だが使用する際は、サラマンダーの力により氷の刃が形成される。
この武器を与えられた故に彼女は、リーダーのシンドローム……ウロボロスは非常に手先が器用という偏見を持っている。

拾われた先で非常によく接してくれたFH構成員につけられたコードネーム。
オリジナルの名よりもこちらの名で呼ばれる方を好む。
なお件の構成員は、彼女を世話する立場というより逆に周囲から世話される立場だったらしい。
ちなみに断片世界以前を知らない彼女は本物のカシオペヤ座を見た事がない。

死者を模したレネゲイドビーイングどころか5年前、アグレッサーの大規模襲撃の折にあるUGN支部に属したチルドレンの複製として作られた存在であり肉体年齢と人格以外は、限りなく本人に近い存在である。
複製元のオリジナルが何を思って志願したのかそもそも志願なのかどうかは定かではない。
ただ確実なのは、十数人居た彼女達はアグレッサーとの戦いに一人また一人と喰われていった事、激闘の末に支部と連絡が付かなく頃に生き残っていたのは、彼女と致命傷を受けたオリジナルだけだったという事。

夜明け頃、二人でアトラスの生誕を見届けてから間もなく一人になった彼女は、同じ市のFHセルの生き残りに拾われた。
この時、幸運だったのは市内にやたらと数多く存在していたFHセルの中でも、そのセルが身内愛の随分と強いセルだったことだろう。
座長を名乗る女性が連れられてきた彼女は、あれやこれやと家族の一員となり特に歌姫と呼ばれた構成員には、数ヵ月のうちに溺愛されるまでになっていたという。

最もアグレッサーからすればレネゲイドを持つものは等しく捕食対象であり例外は無く。
災禍の後の世界の常として終わるときは、呆気ないものであり……2年にしてその生活は終わりを迎えた。

その日から彼女は、その最期を見ていない兄のような人。件のFHセルの青年を断片世界を放浪している。
隣人は誰であっても明日には、居なくなるかもしれない事を心に刻み。それでも彼は何処かで生きているだろうと信じて一人旅である。