No.1のクローンとして造られた複製体。生まれた当初は研究所の在り方しか知らなかったため自身の境遇を当然のこととして受け入れていたが、同じ境遇の実験体たちと交流を深めるうちに『友達が泣いているのは本当に正しいことなのか？』と疑問を抱くようになる。それが人格の芽生えであり、友人たちを励ますために明るい喋り方や振る舞いを学び、脱走計画を企てた。
しかしそれも所詮は井の中の蛙の考えること。UGNに保護を求めるという発想まではよかったが、世間を知らないことが仇となり縋る相手を間違えた。
夕凪が助けを求めた相手は能力の研究を大義名分に陰で非人道的な研究を行っている人物であり、謂わば産みの親と同じ穴の狢だった。その人物の『君達を然るべき場所で保護しよう』という甘言に乗った結果として、脱走を成功させた実験体のうちのほとんどは再び人間としての扱いをされない場所に戻ることになった。──彼に恩を返したいとUGNに加入することを決めた夕凪と『買い手』がつかず運よく一般家庭に送られたNo.5を除いて。

後にそれを知った夕凪は自分だけが助かったことに激しい憎悪と嫌悪を抱えることになる。恩師でもあった支部長を告発した後、支部を移転。小佐古支部に所属することとなった。
UGNへの不信と自己嫌悪からかつての性格は鳴りを潜め《天使の外套》を用いて顔を変えたが、それでも生来の面倒見の良さは失われなかった。誰のことも信用しないと決めたはずだったのに、小陽蛍へ厳しく接したのは彼が疎ましかったからではなく彼に自分と同じ轍を踏ませないためだった。才ある子供がそれを消費されず生きていけることが自分のことのように嬉しかった。いつまでも、その歩みを見守っていたかった。

かつては完全獣化を用い前線で戦う白兵型だったが、告発後からは『誰に背中を刺されるとも限らない』と遠距離での戦い方にスタイルを変えている。
また、元が人工生命でありながら創造主のメンテナンスを受ける機会を自ら捨てたため体のあちこちにガタが来ている。その最たるものは視力であり、平時の視力は非オーヴァードに比べても低い方。《真昼の星》を用いて一時的に強化することは可能。PC2のRHOシーンでは毒の影響もあり既にほとんど失明している。いつか再び出会えたらと願い続けた相手に出会えていたことには気付いていない。