大手ゼネコン会社に努める現役OL。
子供のころからそつなく様々な物事をこなし、器用で「恵まれている」人間。

元プロミュージシャンバンド『stray sheep』のベース兼コーラス。

現在『stray sheep』は解散し、大学を卒業した後、父の紹介で現在の会社に入社。
将来の出世頭として期待もされている。

だけれども、彼女の心の中では
いついかなる時も、『stray sheep』の記憶が尾を引き続けているのだった。

彼女は仕事後に、毎日"一人"でベースを弾き続ける。
あの青春の日々を、思い出しながら。

「私がもっと、真剣に音楽に向き合っていれば…また違ったのかな。」

子供のころからそつなく様々な物事をこなし、器用な人間”だった”。
勉強も運動も人付き合いも、自然体のまま、自分のやり方でなんとなくやっていれば、うまくいくと思って"いた"。

そんな中、高校生入学時に幼馴染とはじめた音楽バンド。
運か実力か才能か努力か、はたまたそのいずれも持ち合わせていたのか。
詩織は大学に通いながらも、仲間たちと共にプロデビューを果たす。

何もかも順風満帆のように見えた音楽の道だったが、
プロとして活動を続けるうちに、
彼女は"人生で初めて"壁に打ち当たることになる。

自分のように中途半端な気持ちではなく、
"本当の才能と努力"や、"音楽に対する想いや熱量"を持つ
ミュージシャンたちを目の当たりにし、
果たしてこのまま自分が音楽を続けていいのか、不安や戸惑いを感じるようになった。

この中途半端で、いい加減な気持ちのまま音楽を続けたいのか。
それとも将来を考え、音楽を諦めたほうがいいのか。

自分は一体、これからどうしたいのか。
その答えを出せず、仲間にすらも相談できずに、バンド活動を続けていた。

そんな時にバンドのリーダー五十嵐高嶺から突如言い渡された
『stray sheep』解散の宣言。

その時、彼女は自分の甘さと優柔不断さを思い知ることになった。

「高嶺がバンドを解散させたのは、"きっと"自分のせいだ。」
「高嶺には"きっと"、この中途半端な気持ちを見透かされていた。」

あの時、自分がもっと音楽に真剣になっていれば。
もっと、様々なことに向き合っていれば。
また、違っていたのかもしれない。

高嶺のその宣言に、詩織は何も言えないまま、
『stray sheep』は解散した。

そのまま大学を卒業し、父の紹介で現在の会社に入社。
人間関係は良好。仕事も肌に合っており、将来の出世頭として期待もされている。

だけれども、彼女の心の中では
いついかなる時も、あの日の記憶が尾を引き続けているのだった。

彼女は仕事後に、毎日"一人"でベースを弾き続ける。
あの青春の日々を、思い出しながら。

一連の事件の後、五十嵐高嶺の喉が完全に回復するまで共に尽力する。
回復後、音楽ユニット『Stray SheepS』を新結成。
新たなスタートを切り始める。

ユニット結成してしばらく経った後、詩織は勤めていた会社を退職する。
五十嵐高嶺と共に、ミュージシャン、ＵＧＮイリーガルとして生きる路を選んだ。

憑き物が落ちたように、彼女は音楽と一心に向き合うようになり、
高嶺と共にその路を歩んでいる。

牧島 聡子とも極めて非常に良好な関係を続けており、
高嶺と共に、聡子のスケジュールの合間を縫って定期的に会っている。

『Stray SheepS』がミュージシャンとして大成するかどうかは、これからの話。

彼女たちは音楽を奏で続ける。
何度でも。

・使用しているベースはcortのGB74JJ。
バンドを結成した際にバンドメンバーと一緒に買いに行き初めて買ったベースで、愛用している。
今使っているものは同種同色の二代目。一代目は部屋の壁に飾ってある。

二代目ベースにはRCブースターが大量に埋め込まれており、詩織のRCに反応して、大幅に増幅させる力を持つ。
このベースがなければ、詩織はオーヴァードとしての能力を最大限引き出すことができない。

好きなことをして生きていく。

こう言えば聞こえは良いが、アーティスト、エンターテイナーへの道は過酷だ。
プロとなるにも、続けていくにも、狭き門をくぐり続けなければならない。
努力ではどうにもならないもの、たとえば運や生まれや才能が必要になることもある。

食っていけるのは志望者の1％、とは誰の言葉だったか。
とにかく表現者は"何者にもなれなかった"者たちが大半なのだ。

そして、この"何者にもなれなかった"という感情は
時に身を焼き、破滅を呼ぶ。

ダブルクロス 3rd Edition
「何度でも、アンコールを」

ダブルクロス──それは裏切りを意味する言葉

シナリオロイス：五十嵐 高嶺(いがらし たかね) あるいは 牧島 聡子(まきしま さとこ)

カヴァー／ワークス　自由／自由(UGN勤務者も含めて可)
キミは音楽を愛する社会人、そしてイリーガル(あるいはUGNエージェント)だ。
過去にはスリーピースバンド stray sheep としてプロ活動していたこともある。
ある日、キミはとあるアーティストのライブを観覧しに行ったが
アンプ(スピーカー)の落下というトラブルの為に途中で切り上げとなってしまった。
その会場を出ようとしたとき、キミは
しばらく音信不通だったかつてのバンドメンバー、そして親友の、五十嵐高嶺と偶然再会する。
今、目の前にいる彼女は君がよく知る五十嵐高嶺とはすこし様子が違っていた。