容姿・経歴・その他メモ

「おねえちゃんといっしょならぼくはだいじょうぶ。」

「姉さん！聴こえないの、姉さん！！落ち着いて、気をしっかり持って、姉さ……ぁ、」

「もし姉さんが男で、僕が女なら。持っている力が逆だったなら。僕が判断を誤らなかったなら。きっとあんなところで姉さんを死なせることも、姉さんが誰かを死なせることもなかった。ごめん、ごめんなさい、光里姉さん……」

＿＿僕の半身は、もうこの世界のどこにもいない。


7/19生まれ。
春日神社の神職の家系に生まれた。名付けの由来は「生まれた瞬間に玉のように光った(両親談)」から。
双子の姉がおり、出来の良い姉に対して多少劣るものの跡取りとして期待されていた。
姉弟ともども生まれながらにしてオーヴァード(姉の光里はエンジェルハィロゥとノイマンのクロスブリード)であり、
小学校に入学するころに誘拐未遂に遭い、同じく誘拐されかけていた姉と目が合った刹那に己の能力の存在、その使い方を把握し、二人同時に覚醒する。最初に発現したエフェクトは「アームズリンク」。
自分たちでは超常の力を制御できないと考えた両親から泣く泣く手放され、以来UGNチルドレンとして保護を受けていた。
中学生になった際、街中でジャームと遭遇し姉と共に応戦するも、近距離に入られた明里を庇い光里が致命傷を負う。明里はその隙に距離を稼ぎ姉を助けようとしたが、十分な距離が取れたときにはもう姉は自我を失っていた。幾度呼び掛けてもその声が通ることはなく、姉を助けるために研ぎ澄まされた五感が捉えたのは姉が他者を手にかける様子であった。そこからの記憶はない。
UGNエージェントが到着した際に場に残っていたのは、呆然としながら姉だったものの手を握る明里だけであったらしい。
以来、元がどれほど善良な人間であろうとも自我を失い周囲に死を振りまくことしかできなくなる「ジャーム」という存在に深い憐憫の情を抱き、せめて人に近いうち(≒より人を殺さないうち)に死なせてやろうと思っている。


姉だったものを拾い集めて、自分一人で弔った日から3年が経過したある日、成長した姉の姿をした相手と遭遇する。感覚全てが目の前の相手を姉だと認めても、あの日に囚われたままの意識がそれを否定していた。姉の姿を完璧に模す相手に抱いたのは、怒り。
感情のままに否定の言葉を投げつけ、次にまみえた時、姉の姿をしたその相手は息をしていなかった。

「ぼく、は、あの日、光里を弔いました、たしかにそうした、でも、どうして」
「ぼくが、ぼくがまた、あ、ああああ」
「ひかり、ひかり、ぼくだよ、あかりだよ。ねえ、へんじして、あやまるから、ひかり」
＿＿僕はあの日、誰を殺して、誰を弔った気でいた？あの日死んだのは誰で、目の前のものは、この人は、

息のない姉との二度目の邂逅、目の前が揺らめき、あの日の情景がありありと浮かぶ。パンザマストが周りの音をかき消していく。
あの日、姉が他人を手にかけたと思い込んだあの日、姉は本当に誰かを傷つけていたのか？姉は首に手をかけていた。死者の中に、窒息で死んだ者はいたか？姉は、本当は正気だったのではないか。他者を手にかけたのだと、姉はジャーム化したのだと断じたのは。そうだとしたら、ジャーム化などしていない姉を、僕は、ぼくは、あの日、

……あの日、一つ一つ拾い集めて、大事に大事に弔った中に、姉の頭部はあったか？

あの日、姉が正気だったとしたら。声は届いていて、姉が弟の致命的な勘違いに気付いていたとしたら。錯乱状態の弟から逃げおおせていたとしたら。最後のピースがはまる心地がした。感覚も、理性も、状況も、全てが目の前の存在を姉本人だと語っていた。
再会したとき、久しぶりだと笑う姉に自分は何と返したろうか。警戒するあまり、それすらもあやふやであることに気付く。あの日も、今もまた、選択を間違えたのだと知った。

諏訪、花猫の言葉により自己を取り戻し、また姉が助かる可能性が微かにあることを告げられ、二人を頼って姉をUGN医療班に任せる。改めて姉を利用し裏切った仇の本懐を阻止する任務に就き、対象の撃破に成功。任務成功とほぼ同時刻、姉も一命をとりとめたらしいと連絡を受ける。任務に付随して怪我を負ったため姉と同じ病室に入院することになり、二人きりの病室で、お互いぼろぼろの姿で対面した。そうしてやっと、あの日からの話を、ずっと抱えていた後悔と懺悔を、誰より伝えたかった相手に伝えることができた。

「あの日から、生きててくれてありがとう、あかり」
「ずっとあいたかった。今までいっぱいごめんなさい、ねえさん……」

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