ノイマン/オルクス、優れたレネゲイドコントロール適性を持ち、オルクスシンドロームによる広範囲の領域展開に、ノイマンシンドロームの高速演算能力で因子散布と相互作用を最速で把握し、それらを駆使することで領域内の事象を己の意のままにできる、一種の現実改変に近い。
もう一つ特筆すべきなのは、彼女は動物と……一般的な動物でも、アニマルオーヴァードでも、幻獣や動物起源のレネゲイドビーイングでも、親和性が高いこと。
その中でも特に、常に彼女の傍に付き添ってる三匹の犬がいる。
それぞれ犬種も個性も異なるが、どれもEXレネゲイドに感染しており、彼女へ忠実でいて、日常生活では目の不自由な彼女のサポートをこなし、戦闘では彼女の手先として容赦なく敵に牙を剥く。
それはそれとして名前それぞれ「ケル」「ベロ」「スー」なの……？

幼い彼女に施された実験、複数の遺産因子を掛け合うことでより強力なオーヴァードを生み出そうとした試みだった。
選ばれたのは北欧神話の"マーナガルム"と日本伝承上の"真神"、最初は犬に因子を植え付けて試行錯誤を繰り返し、安定の複合因子を得たら人体実験を行うという流れで進んでいた。
結論として彼女の完全適合をもって実験は成功……が、先の実験で死亡していた実験犬までが復活するという、科学者たちの予想を遥かに上回る結果となった。
実はこの段階で遺産因子と実験犬をオリジンとしたRBが発生しており、しかしまだ自我の薄い段階であるため独立型にはならず、彼女に憑依することしか道はないが、ほぼ瀕死だった彼女を生かすためにRBは自ら取り込ませ、融合型という支配型でも協力型でもない共生形態となった。
このことを当時の実験担当者は気づいておらず（もっとも、RBの存在すら知らされていない時代のため）彼女をどこかのFHセルに引き渡すが、"プランナー"は見逃すわけがないのだろう……その結果は見ての通りだ。