プロフィール
| 名前 | 結城 大翔 | 年齢 | 18 |
| 性別 | 男性 | 血液型 | B型 |
| 学校 | モリガン付属 | クラス | 3-A |
| 部活 | 剣道部帰宅部 | 偏差値 | 6045 |
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| 衣 | 34 | 未だファッションセンスには目覚めず。制服と母の買ってきた私服を着回している。 |
| 食 | 86 | 中学時代から朝練に出る日は自分で朝食と弁当をバランスを考えて作っていた。 |
| 住 | 61 | 整理整頓は定期的にやっておけば後々苦労することはない。 |
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外見
橙色の髪に茶色の瞳を持つ高校生。
派手な髪色、眉に皺を寄せた険しい表情、ローテンションでぶっきらぼうな態度と10割不良外見をしている。
性格
怠惰で無気力。授業中は教科書も開かずぼうっと黒板を眺め、何かを聞かれても「分かりません」としか答えない。体育の授業中も漫然と立ち尽くすのみで積極性は0。
ただし、時折急に(他の何かをしているときに中てられた時、突然ボールが飛んで来た時)など的確な答えや行動をとる事もあり、出来ないのではなく本気を出していないとみられている。
その実、彼の根は誠実な努力家であり、義理堅く正義感も強い。だが、その誠実さと正義感故に己を縛っている。
来歴
小学生の頃から剣道少年であり、地道に取り組んできた剣の道は17歳にして結実。県大会の決勝で長年のライバルを破り、全国大会への出場を果たす。
全国大会では惜しくも2回戦敗退というか結果に終わってしまったが、彼はその時未だ2年生。まだ未来がある。
家庭は円満、交友関係も充実、部活動は絶好調。それに驕らず勉強だって手を抜かずに頑張ってきた結果、2年の全国模試では偏差値はついに60の大台に乗った。
おおよそ向かう所敵なしだった彼の人生が致命的に狂ったのは、2年生の冬休みの事だった。
――在る、争いに巻き込まれた。それは2人の超人同士の戦い。気付けば周囲に人気はなく、ただ二人が争っていた。
超常の争いの前では竹刀など役にも立たず、彼はただ息を殺して戦いが集結するのを待っていた。気付けば自らの傍に飛んできていたスーツケースにも気付かずに。
激しい戦いが終わり、残ったのは立つ者が1人と敗北して意識を失い倒れ伏す者が1人。
勝者の取る行動は、あるいは当然の物だったのだろう。彼は敗者に手を翳し、何らかの超常の力を以て止めを刺そうとしていた。
―――駄目だった。彼はそれを見逃せなかった。彼の持つ正義感は、対等の殺し合いには怯えて竦んでしまう程度の物だった。だが同時に、戦う力を失った相手を一方的に殺す事を許せない程度には強靭だった。
当然、何が出来る訳でもない。彼の手に握った竹刀は近付くまでもなくへし折れ、全身はボロボロとなった。来年の大会は絶望的だろうな、と現実逃避気味に考えていた。
負けて、死ぬ。後悔はいくらでもあったが、間違えたことをしたとは思っていなかった。何度繰り返しても同じ事をするのだろう。
彼はこれまで、正道を歩いてきた。その果てがここであるのなら、それもまた正しき終わりだったのかもしれない。
彼の終わりに―――ケチが付くのは、これからだった。
傍らに転がってきていた、盾代わりにでもしようと持っていたスーツケースから声が聞こえる。嘲笑うような、唆すような。不愉快な声だったのを覚えている。
声は言った、「助かる手段ならあるぞ」と。声は言った、「もう1度友に会いたくはないか」と。声は言った、「ここで死ぬのならば、お前は何のために出てきた?」と。
結城大翔は、その声に耳を貸した事を、それから一生悔い続ける。
―――それからの事はよく覚えていない。夢のように曖昧だが、一当てして気絶した誰かを抱え、全力で走ったような気がする。
だが、目覚めた時には1人で、ボロボロだったはずの全身も治癒していた。変わっていたのは、3つ。
1つ、竹刀は無くなっていた。中学時代から使っていた愛用品だったのに。
2つ、俺の身体は、俺の知る物ではなくなっていた。俺は鍛えていたが、素手で鉄棒を曲げられるほどではない。
3つ、俺の右腕の骨は元々もっと無口だった。何だお前、誰だ。
超常の身体能力に興奮したのは僅かな間だった。気付いたのは、そうなってから初めての練習だった。
軽い練習試合で、俺は相手の反則4本で勝利した。……試合の相手を務めた同級生は、気を失っていた。
こんな体で、鍛錬と技術を競う場にいていいはずがない。
呆然と帰路に付く帰り道は、とにかく何もかも腹立たしかった。目の前の赤信号すら煩わしく、思わずそれを睨んだ。
……赤信号は激しく明滅すると、青に表示を変えた。車が急ブレーキをかけるのが見える。危なかったが、事故は起きなかった。
右腕の骨は言った。お前には雷を、現代文明の全てを操る力があると。それを用いれば、何もかも思うがままだと。
それは盗用だ。文明という皆が築き上げた物を掠め取る、卑劣な行為だ。
せめて、これらを解明して何らかの役に立てることは出来ないだろうか。そう考え、彼は学者になる事を決めた。
教科書を開き、勉強をする。勉強はあまり得意では無かったが、継続するのは得意だ。普通の継続の果てにこんな超常を解き明かせるかは分からなかったが……今はとにかく、熱中する物が欲しかった。
………彼の脳が著しく強化され、遍く教科書を開く意味が無くなったのは、学者になる事を決めた1週間後の事だった。
彼はグレた
能力名:“ ”
彼の身に潜り込んだ右腕の骨。意思を持ち所有者である大翔に語り掛けるが、その言葉のほとんどは増長を唆すための物であり、何らかの意図は見られない。あるいは、所有者を堕落させることが目的なのかもしれない。
その意味は“虚無”。由来は、おおよそ彼の思う人の積み重ねる行為の全てを無に帰す事から憎悪を込めて名付けられた。
その能力は、「所有者の能力を限界以上に高める事」。
もし、元々他の何らかの能力を持つ者が所持していればその能力が高まっていたのかもしれないが、大翔は元々何の能力も持たない(ワーディングの中で意識を保っていた事から微弱なオーヴァードだった可能性はある)単なる人間であったため、「人の持つあらゆる能力が高められる」という結果に至った。
身体能力はその姿形を保ったまま獣の如く高まり、その思考能力・並列処理能力も人の限界を超越して機械と比肩し得るまで高まった。
高まった生態電流は稲妻となり、磁力で無機物を支配する事すら出来る。
大翔はこの能力を極めて嫌っており、極力利用しようとはしない。少なくとも、己を利するためには絶対に。
彼がこの力を使うとすれば、それは他者が傷つかんとしているときだろう。大翔は己の我儘で他者を見捨てることは出来ない男だった。
それでも限界まで抵抗の意思を見せているのか、鉄塊でも振り下ろすのが最も効率的であるはずの剛腕に無数の砂鉄を集めたブレードを備え、相手の動きを予測して待ち構えるのが最適なはずの頭脳を反射と反応のために使い、解き放ち感電させる事が出来るはずの雷霆を体内に流して動きを加速させる。
そんな極めて非効率的な戦い方は、彼が辛うじて胸を張れるギリギリのラインだった。