明崎家は両親と兄妹の4人家族だった。親戚付き合いは何故かないが、燈の問題はそこではなかった。
物心がついたとき、燈が憧れたのはアニメの世界だった。裕福な家庭で過ごす女の子、マスコットキャラに力を与えられ、やってくる外敵に立ち向かう。そういう世界に憧れた。しかし現実は現実。普通の家庭、普通の家族、普通の日常、外敵なんて来るはずもない。
そんな中、保育園に上がったか上がる前か定かではないが、家族で旅行に出かけ、その旅行先で火事に巻き込まれた。平凡な日常が終わるならそれでも良いと思ったが、火事で脆くなった柱が燈の目の前で燈を助けようとした｜両親《平凡な日常》を潰したのだ。
その瞬間、燈の内に浮かんだ感情は今でも表現が難しい。けれど気づけば彼女の手には光の銃が握られていた。使い方なんてテレビでしか見たことないが、それは燈の手によく馴染み、火事で崩れた瓦礫だらけの場所から何とか逃げ出す事に成功し、燈は火事の現場から姿を消した。そしてFHセル:ヴォルフスシャンツェに拾われる事になる。
兄の生死は定かではないが、まぁ死んだだろ。多分。