背景の暗い家庭に生まれたよすがは、貧乏な生活から抜け出すためにギルド「絢爛組」に入る。そこは報酬を貰えれば何でもするという謳いで繁盛しており、よすが自身も仄暗いことから些細なことに至るまで何でも行った。中には、レネゲイドウィルスを人体に直接注入するという実験の素体になるというものもあり、彼は進んでそれに参加した。報酬が他の依頼より圧倒的に良かったというのもあるが、華奢な彼にとってレネゲイドウィルスという強大な力は喉から手が出る程欲しいものだった。激痛に耐えながらも「バロール」シンドロームを手にしたが、副作用で吸引式の薬（現在は煙草と称して服用しているもの）が手放せなくなった。

　ある日、とある依頼で莢野守美（さやの・すみ）という男性とバディを組むことになった。莢野は生まれながらにしてのオーヴァードであり、「エグザイル」と「ソラリス」シンドロームのクロスブリードの彼は防御に長けていた。波長が合ったのかその依頼以降よく莢野と絡む様になり、依頼も彼と共に受ける様になった。前衛で攻めるよすがと後衛で守る莢野は瞬く間に界隈で有名になり、それぞれの髪の色から「黒の嵐」「白の嵐」と呼ばれる様になった。
　そんな順風満帆な日々を送っていた彼らをよく思わなかった人がいた。「絢爛組」次代リーダーの有田 彩雅（ありた・さいが）である。彼はかなりの野心家で、自分より能力が上の存在を嫌悪していた。ある日、有田は依頼帰りの2人を自身のシンドロームで殺害しようとした。攻撃が命中する僅かな時間で莢野は自身のエフェクトを使用し、よすがだけを守った。自身の命の終わりを悟った莢野だったが、よすがは何とか彼を生き延びさせようと思案し、莢野のエグザイルシンドロームのエフェクト《融合》で自身と融合することを提案する。莢野は乗り気では無かったが、よすがの必死さに押され朦朧とする意識の中エフェクトを発動。初めての試みであったこと、既に死の間近だったこともあり莢野の意識はよすがの中で目覚めることはなく、ただエグザイルシンドロームだけがよすがの中に残った。その時点でよすがは莢野が死んだことを察している。

　その一件で彼は「絢爛組」を去り、何でも屋として生活していた時に神城早月と出会う。ボディガードなどの仕事を経て、彼の熟練した能力の使い方を見てUGNに所属すれば更に安定するのではと提案される。最初は渋っていたが、何度も話を聞いてよすがが折れた。あれよあれよという間に話は進み、彼はエージェントとしての地位を手に入れ、今に至る。
　コードネームの『黒と白の境目』というのは、今の自分は莢野と共にあることを忘れないためと、自身の人生を皮肉ったものである。

・アングレカム(アングレカム・セスキペダレ／ラン科アングレカム属)
　花言葉「祈り」「いつまでもあなたと一緒」
・ガマズミ（莢蒾、蒲染／スイカズラ科ガマズミ属）
　花言葉「結合」「私を無視しないで」

・縁
　二つ以上のものが寄りついてかかわりを持つ作用を表わす。また、広義には結果を引き起こす因のこと。狭義には結果を引き起こす直接の内的な原因である因に対し、それを外から助ける間接の原因をいう。（コトバンクより一部引用）
・霞
　空気中に広がった微細な水滴やちりが原因で、空や遠景がぼんやりする現象。また、霧や煙がある高さにただよって、薄い帯のように見える現象。比喩的に、心の悩み、わだかまりなどをいうこともある。（コトバンクより一部引用）