生まれはアメリカの小さな町で、シングルマザーの母親の下で育った。母親は年若く、家は築数十年にはなるだろう、古びたアパートの一室だった。父親はプロを夢見るしがないバンドマンだったが、自分に子供が出来たと知ると蒸発。キーンの母親は家で独りキーンを産み、懸命に働いて女手一つで彼を育てた。
　しかし、キーンの人生はそう上手くはいかなかった。彼は生まれつき先天性の弱視を患っていたが、子供さえ自分の家で産んだ母親に、キーンの病気を治療するだけの金銭を用意する事は出来なかった。同年代の子供にはからかわれ、家に帰っても母親は忙しく構ってくれる暇もない…そのような状況にキーンはやがて精神を病み、学校に行くのをやめ、家に引きこもるようになってしまった。ラジオから流れてくる音楽が、彼の唯一の娯楽となった。
　そんな生活を続けて数年が経ったある日、キーンは母親がいない隙を見計らって、彼女の部屋に忍び込んだ。小遣い欲しさに、生活費として置いてある金を盗もうと考えたからだ。だが、その時母親のベッドの下に、今まで気付きもしなかったギターケースが置いてあるのに彼は気付いた。開けてみると、そこに入っていたのは視力の弱い彼でも分かるほど真っ赤で、よく手入れのされた一本のエレキギターだった。後で彼が知った所によれば、それは彼の母親が、彼の父親だった男に贈る予定だったギターだった。この時の彼はそれを知る由も無かったが、しかし、それでもそのギターは酷く魅力的に見えた。彼は喉を鳴らすと、それを手に取り、弦を爪弾いた。無論、本来は小さな音しか鳴るはずがない。しかし、その瞬間、彼の鼓膜を稲妻のような爆音が貫き、肌がビリビリと震えた。髪は逆立ち、バチバチと何かが弾けるような音が、高鳴る鼓動と共に聞こえ始めた。キーンは息を荒げ、何時振りか分からない満面の笑みを浮かべた—————――キーンがオーヴァードとなり、ギターという楽器に魅入られた瞬間だった。
　その日から、キーンは母親の目を盗み、憑りつかれたかのようにギターの練習に励むようになった。オーヴァードとなった彼にとっては弱視も最早問題とならず、町を飛び回っては人気の無い場所でギターの音色を響かせた。そして彼が15歳の誕生日を迎えた頃、彼はギタリスト『DEEN』として超大手レーベルが開催するギタリストオーディションに参加し、見事優勝。前代未聞の若さで優勝をもぎ取ったプロギタリストとして、国中に彼の名声を轟かせる事となったのだった。…その結果として、母親とUGNには活動がバレてしまったが。
　現在はギタリストとして活動しながらその収入で母親を支えつつ、UGNイリーガルとして活動も行っている。また、これまでの教育の遅れを取り戻すべく日頃から勉強も欠かさず行っており、現在はUGN日本支部との交流とより発展的な学習を行うため、日本に留学している。

　トレードマークの黒いサングラスは弱視であるため着けているが、オーヴァードとなり聴力やその他の感覚が研ぎ澄まされている今では半分ファッションのようなもの。髪の毛は以前は金髪ではなく茶髪だったが、電気を纏ってギターを弾き続けている内に鬼〇の善〇のように金色に染まってしまった。
　性格は一見明るく見えるが実の所人付き合いはあまり得意ではない。そもそもキーン自身誰かと交流を持つという事があまり無く、からかわれていた過去もあり、一人でいる方が気楽だと考えるタイプである。しかしながら、そのような自分を変えていきたいとも考えており、いつもギターを背負っていたり、演奏を聞かせようとしたりするのも、彼なりの積極的なコミュニケーションである。

　戦闘スタイルとしては、自身のギターの音色に雷の力を込め、全方位に放つというスタイルを取る。特徴的なのは彼の攻撃が全て天才的な演奏にもなっている点であり、攻撃を受けた相手がそのテクニックに魅了されながら倒れていく事も少なくない。データ的な面で言えば、広範囲にそれなりの火力を叩き付ける範囲型。

・技の名前はほとんど雷や電気の属性が入る四字熟語に空耳っぽく聞こえそうな英語を組み合わせたもの。電轟雷皇はオリジナルの名前だが、必殺技っぽくていいダサカッコよさが出てると思う。
・ぼっち・ざ・ろっく！を見たので影響された部分がある。特に性格とか。