容姿・経歴・その他メモ

十年前のあの日地獄を見た。
血の雨が降り注ぐ赤色に染まった世界に佇む男性、今にも崩れ落ちそうな父の姿。
振り向いた父の安堵したような微笑みを鮮明に覚えている。
そして、湧き上がる強烈な憎悪と悲しみも・・・

その後はUGNに保護された。
石杜さんの元、一心不乱に戦闘訓練に励んだ。
憎悪も、悲しみも、父の姿さえも、とにかく忘れてしまいたかったのだ。
受け入れがたいすべてを。
あいにく、その目論見は外れたままに、それでも日々は流れる。
幸いにも重ねた歳月は、納得も忘却も叶わずとも、覆い隠すには十分だった。
他の誰にも同じ思いをさせたくない。と、平和を願う心でごまかした。

「僕は、スーパーマンなんかじゃないから、世界中の人を助けることも、誰も傷つかない世界を作ることもできない。
所詮僕は血に塗れた鳩だ。
けどだけれども、できる限りの人を救いたい。
僕に取れる手段が敵を倒すだけの、偽りの平和でも、それでも・・・！」



少年は根底に眠る憎悪を抱えたまま平和を求める。
平穏、安寧、調和を夢に見る。
罪禍への嫌悪、憎悪とは平和とはかけ離れた対極の感情。
この矛盾をおかしいと感じるだろうか？
思うに、大事なのはどうありたいか、どうあろうとするのか、だ。
色に染まったキャンパスに、絵が描けぬ道理などないのだから。

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