父親が電気屋として島中を駆け回っていたが、防犯灯を取り替える際に脚立から転落して亡くなる。愛煙家だった母はそれ以降喫煙数が激増し、数年後に肺気腫が見つかって自宅療養の末亡くなった。残された子供として当時のUGN支部長に引き取られた。
……というのが伝え聞いた話。当時4歳だったらしい。両親のことは何も覚えていないため、特に思い入れはない。廃業した店舗も地域の倉庫代わりになって面影しかない。

高校生になると同時に上京して学生マンションでのなんちゃって一人暮らしが始まる。一応、まとまった休みには島に帰ってきて、またすぐ東京に戻る生活だった。鎮魂祭には思うところがあり、毎年必ず帰っていた。

続く大学進学では、まるで東京から逃げるように中国地方を選択。今では島に戻るのは年に1回程度

こうした進路選択の根底にあるのは、皆が優しいのは自分が孤児だからという後ろめたさと、自分は1人でも出来るやつだと証明したい自尊心。
本人は無自覚で、自分のことを「ちょっと負けず嫌いなだけ」と捉えている。

目に見えないほど細い糸のようなものを展延して同化させ、微弱な電流を流すことで操作する能力
戦闘時には周囲の石や水などを集積して固めた武器を形成する。生物に対しても一部有効。
自身に対しては肉体の操作・再構築なども出来るが、精神が安定していないと正しい形に戻れなくなる弊害がある。
その気になれば老若男女に変身できるが、好んでやることは無い。
思春期真っ盛りの中学時代、グラビア女優に化けて痛い目を見たので。

上記は2ヶ月前までのステータス
現在は突発的な精神不調により能力の行使に支障をきたしている。

武器の形成・維持が行えず、物忘れが頻発し、出来るはずのことがどんどん出来なくなっている。挙句の果てには自分が何者か覚束なくなることすらある始末で、もはやまともに戦えなくなった。大学からも休学を提言されたため里帰りを決意する。
現在は会話こそ支障なく行えているが、何事も他人事のように感じてしまっている。

原因は休みなく活動したことによる疲労の蓄積、能力の過剰使用、人間関係、うつ病、新年に三が日を無限に繰り返すジャーム「｜朱御女胡豊呂主神《アケオメコトヨロヌシ》」を倒した際に受けた呪いなど、候補は数あれどどれも定かではない。

時折脳裏に浮かぶ少女。幼い頃、どうやら神輿島で一緒にお祭りの日を過ごしたらしい。
顔も名前も忘れてしまって、もはやそれが誰だったかはわからない。
当時のことを調べてもそれらしい人物が浮かばない。もしかしたら夢や思い違いなのかもしれない。
けれど、お祭りの出店で買って、その子から貰った鈴のキーホルダーが今も手元にある。
すっかり錆び付いてしまったが、何故か今も捨てられずにいる。