ごく普通の家庭に生まれた。両親と5歳年下の、双子の弟と妹がいる。在り来りな人生を送るはずだった。

が、物心着いた時からオーヴァードに覚醒しており、周囲にはその力をひた隠しにしてきた。上手く隠してきたのだが、ある時にレネゲイド関連の事件に巻き込まれ、オーヴァードだとバレそうになったことがある。しかし、「小倉 椋」という少年やUGNの協力で関係者に記憶処理を施してもらったり、世界の真実を教えてもらったり、能力の使い方を教わったり……と、色々な援助を受けた（というか受けさせられた）。その借りは当然まだ残っている。

中学の頃、ある女子生徒からの告白を「恋愛に興味が無いから」と断ったところいじめに逢い、それ以降人と一定の距離を置くようになった。また、恋愛というものからより関心が離れていった。恋人の類がいた事もないし、また今後も作る予定は無いらしい。きょうだい達からはそろそろ彼女の一人くらい作ったらどうだとやいやい言われているが、それも軽くあしらっている。その結果、現在も童貞処女である。女性にも男性にもこれといった縁がなく、そもそも恋人関係まで発展しない。前述した通り、わざと距離を置いているのもあるが。

昴本人としては、能力を使うことや、オーヴァードであることを好ましく思っていない。この力で家族を傷付けやしないかと不安になっているためだ。仕事に役立っている部分こそあれど、はっきり言ってしまえば別の仕事をしたって構わないのだ。それでも、ただ、人が驚き、喜ぶ顔が見られるなら、この力も悪くない……と、ほんの少しだけ思っている。
その反面、暴走すると力やそれを持っている自分を要らないものだと強く認識して自傷行為に走る。自己肯定感は低め。

「ただいまー、やっと仕事が終わったよ……はー、疲れた……。あーもうお前らうるせぇ！！　彼女に癒してもらえだとか、余計なお世話だ！！」（手品師としての仕事が終わって帰宅し、きょうだいになじられる）
「はい、もしもし？　って……お前か、またオレに何か用事か……え？　今度二人で飯食いに行かねぇかって？　なんでオレとなんだよ、……んぐぐ、分かったから！　行くから！　そんな寂しそうな声するなよな……」（「椋」から食事の誘いの電話が来た）
「何？　あんたらFHっていうヤツら？　……ったく、オレは戦いたくなんてねぇんだよ、クソッタレ！！」（FH構成員の目に留まり、戦闘を仕掛けられる）
「つくづく懲りねぇよなー、お前ってさ。なんでそんなにオレに構うワケ？　……なんで急にどもるんだよ？　……ふ、ははっ、お前でもそんな顔するんだな！」（「椋」と話をしている）

基本的には好青年。気さくでさっぱりとした性格、振る舞い方をしている。しかし、一定距離以上……具体的には「恋愛対象」にまではしないしさせない。無用なトラブルを避けるためなのだが、それが現在進行形である問題を引き起こしているとは露知らず。

また、長男であるためか面倒見が良い。特に年下にはちょっと甘いところがある。なので年下相手からなにか頼まれたりすると断れない。加えて自己肯定感も低いため、押しに弱かったりする。その度に「自分に対する好意なんて必要ないんだ」「オレなんかにそんなに手を尽くす必要ないだろ」などと思いながらやんわりと断ったりしている。そのせいで弟と妹には「そんなんだから童貞なんだよ」とか言われてはキレている。

小倉 椋（おぐら りょう）くん。
蒼依さんのPC。