田舎町で生まれ育ち、家族や婚約者と共に平穏で幸せな日々を過ごしていた青年。しかし、FHの襲撃により故郷は焼き払われ、大切な人々は殺され、自分自身は組織へと誘拐される。
　誘拐されたFHセルは「監獄城」と呼ばれる、一度入れば死ぬか飽きられるまで出られないという研究施設だった。監獄城では残虐非道かつ法も倫理もない実験が日々行われていた。人体改造や薬剤過剰投与、無理矢理なレネゲイド暴走を引き起こさせる等といった実験だ。研究者たちは飽き足らず、青年の遺伝子を元にクローンを生成。そして、高個体のオーヴァードを作り出すためにクローンと戦わせ殺す実験を行わせた。
　度重なる実験と非道な扱い、似た顔のクローン達と戦わさせられ、自分を陥れた存在を強く憎んだ。そして、奴らを追い詰め地獄に突き落としてやろうと―――


――以上の記述はオリジナル”■■■■■”の記憶である。
現在”チュオヘン”と呼ばれる彼は、かつてこの監獄城で「No.34」とナンバリングされていたクローンの1体だ。


　No.34は生み出されたクローンの中で最もオリジナルの要素を色濃く引き継いた個体である。身体も記憶も■■■■■とほとんど同一のものであった。
そして、オーヴァードとして優れた素質が備わっていた。…だからこそ、実験で用いるには最適な個体だったのだろう。肉体の機械化と強化はこのセルで施されたものだ。体が丈夫だったため、彼に対して特に過酷なことを強いることが多々あった。実験外でも他研究員に手荒に嬲られることも少なくはなかった。このような扱いを長い間受け続け、彼は復讐を心に強く宿すようになる。


　No.34が最初の復讐を実行したきっかけはオリジナルと遭遇したことによる。
ある時、オリジナルを隔離している部屋の扉が開いていることに気付いたNo.34。招かれるように部屋を訪れた彼の視界に入ったのは、死にかけの体を無理矢理生かされているオリジナルの姿だった。
両者は言葉を交わす。オリジナルによる一方的な語りが主ではあったが。


”故郷に帰りたい”
”家族と会いたい。恋人を抱き締めたかった”
”だが、そうすることもできない”
”ならばいっそのこと、自分たちをこんな目に遭わせた奴らに復讐を―――”
”「俺」と共に復讐を果たそう、共犯者よ”


両者の意志は合致した。
No.34はオリジナルを殺害、その力の一端を譲り受ける。そして、施設内に存在する研究員とクローンを全て惨殺。
彼が唯一の脱獄者となった。


だが、それだけでは終わらない。終われない。
己を陥れた奴がまだ生きている！　ソイツを地獄に堕とすまで、復讐は終わらない。



―――――――――――――――――――――


彼に本名を与えるとするならば■■■■■だろうか。
しかし、チュオヘンはそれを拒み名乗ることもしない。自分は「オリジナル」ではないからだ。

「彼」のように故郷を思い、人を慈しみ愛す心はない。
俺には復讐だけでいい。復讐の化身、爛々と燃え上がる虎のように。そのように望まれ、自らも望んだ。
ただ、この憎しみの「感情」さえあればよい―――

理不尽な運命に虐げられ仇敵への復讐を望むテリエルギアに問いかけ、彼の因縁を終わらせるために導いた。
事件をきっかけにテリエルギアと共に過ごすようになったが、彼と過ごすうちに芽生えた幸福感を自覚し、復讐のみを信念として生きてきた過去を裏切る形となり苦しむことになった。だが、テリエルギアの因縁はまだ断ち切れていないのだと発覚し、彼を守るというエゴのために生きると決心する。
チュオヘン自身は特別振舞っていなかったが、出会った当初からテリエルギアに恋慕を抱かれていた。事件を通じて恋心を自覚した彼は「ちゃんと成長したら、改めて告白する」という約束を交わす。それから三年後、幾つもの事件を乗り越えてテリエルギアの約束通り告白を受け入れて恋人同士となる。
現在はチューストヴァ幹部として、セルリーダーであるテリエルギアの補佐をしながら、二人で同棲して日常を過ごしている。

〈イメージソング〉
Iron Lotus　/　Mili

〈キャラ作成時聞いていたもの〉
ナミダ　/　MARETU
ボトム　/　柊キライ

〈影響作品〉
モンテ・クリスト伯
虎よ！虎よ！

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・芙蓉(フーロン)
　表社会での名前。

・マスターカリュプス
　カリュプス(chalybs/khalyps)…ラテン語/ギリシャ語「鋼鉄」
　"チュオヘン"はチューストヴァのコードネームであるため、外部で評されているマスターの称号。