容姿・経歴・その他メモ

かつてＦＨの研究室から、実験体として救助された個体。
──ノゾミと同じように。

純粋な破壊兵器として胚のうちからデザインされていた彼は「危険物」とラベリングされて凍結されようとしていたが、
とある皮肉屋な狙撃手が言った。
「ソイツは武器なんだろ？なら俺に寄越せ。キッチリ｜鍛えて《育てて》やるから」

耀にとって、救助してくれたその人は狙撃手ではなく鍛冶師だった。
自分が周囲全てを灰燼に帰しても、手にした銃は壊れることがない。
その銃を造ってくれた人だから、「鍛冶師」。

ある日、訓練が終わって自室に戻った時のこと。

「武器を鍛えた人間は、武器によって流れる血をも背負わねばならん」
「じゃあ、だからといってオマエが流した血を鍛冶師のせいにして良いという話ではない。分かるな？」

彼はこの話がよく分からなかった。
殺した理由を他人になすりつけてはいけない、というのは分かる。
鍛冶師がなぜ他人のせいで流れた血を背負わなければいけないのか、という事が分からなかった。

常に全ての責任は担い手にあるべきなのに。

履歴

【プロフィール】
感情に乏しそうに見える少年。
実験体であることから、彼の態度を額面通りに受け止める者も少なくはない。
だが、内面は感情豊かで、単に表に出すことが苦手なだけ。

人に何かを言うのは苦手だが、欲求は人並み。
出自に後ろめたさがあり、足元を見られるかもしれないという怯えが常にある。

■
そのようにデザインした。
命令遂行には邪魔だからだ。
完成された兵器になる前に盗み出されたから、
辛うじて他人に口出しする権利を得ているに過ぎない。

耀を育てた鍛冶師は数年前に戦死している。
その時彼は怒り狂い、鍛冶師を殺したＦＨの人間に報復した。

■
兵士として従順に動かすために、人格もある程度デザインすることが決まった。
衝動が妄想であるから、主人を神のように崇めさせることも比較的容易にできるだろう。
この事件においては、報復と義憤が結びつき、彼に強力無比な力を与えた。

後に残ったのは、とめどない悲しみと、次は何を失うのだろうという不安。
そして、二度と同じ悲劇は繰り返さないという固い決意。あるいは執念、一抹の狂気。
──銃はまるで体の一部のように重さを感じることなく、引き金もまた然り。

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