実の父は、母が十文字を身篭ったと知った途端、連絡が取れなくなった。
母はそのときに、自分が父にとっての浮気相手だと理解した。
シングルマザーになることを選んだ母は、いつも親戚から「女親だけで育てられるのかしら？」と嫌味を言われていた。
幼い十文字には母を守る手段がなかった。
その頃から十文字は『家庭』というものを強く意識するようになった。
自分が立派になって、良い家庭を築いて、そしたら親戚はきっと嫌味を言わなくなるはずだ。母親も自分も守れるはずだ。
十文字は普通のサラリーマンになり、異性とありふれた交際をし、普遍的で誇らしい結婚をした。
幸福だった。

十文字の妻が浮気相手と家を出ていったのは、不妊症の原因が十文字のほうにあるという診断書を渡されたその日のことだった。

子どもが出来ないことがいけなかったのか。
それとも、ブラック企業に勤めていて月の半分は深夜帰宅だったのがいけなかったのか。
どれもこれも心当たりがあったけれど、今となってはどうでもよかった。

朝の駅のホームで、胸ポケットに辞表を入れたまま、いつも乗っていた電車を見送った。
次の電車に飛び込んで、死のうと思った。

十文字の人生の分岐点は、飛び込む予定の電車が、テロリストに襲われたことだった。

以上の出来事が28歳当時の十文字の人生である。

命を救われて以来、自分のやりたいことに正直に生きるようになった。
ブラック企業に辞表を叩きつけ、ついでに労基にもキッチリとチクってから、
子供たちの笑顔が見れたり、人を楽しませたりすることができる手品師になった。

PC1くんちゃんのことは命の恩人だと思っており、どうしても直接お礼を言いたい。
ただ命を救ってくれたというわけではなく、自分の人生に転機を与えてくれたから。
あなたのためなら100年の百合だって待っていられる。
例えこの身が滅びようとも、彼あるいは彼女に幸福な花道が咲きますように。

ロイス：廻る砂時計 推奨感情:有為/脅威
ワークス/カヴァー：UGN本部エージェント/指定なし
キミは遺産奪取作戦に協力する為この街の支部長であるマッシブナイトの元を訪れた。
相手取るセルは強大であり、今回の任務が死に場所となるかもしれない。
そんな覚悟の中作戦会議を行っていたキミ達の元にPC①が遺産を保護したとの連絡が入る。