このような人間性の根底には
自分の能力が優れている事、また優れた人間に連なっている事が彼自身のアイデンティティの根幹を成しているため。
それが失敗などで崩される事を何よりも恐れているが、一方で優れた人間であると周りに思われたいという欲望もあり
その結果、自分で行動しない癖に一丁前に口は出してくるという傲慢な傍観者気質を作っている。
要は某ブックマークサービスのコメント欄に生息するヤツらである

神城家の傍系の次男として生まれる。
両親は神城グループ企業の一つ、神城銀行の役員を務めている。
銀行役員だけあって親族は学歴トップ、かつエリートだらけという中で
李逸自身もお勉強に対しては軒並みはずれた能力を持っており、彼自身もそれを強く認識していてアイデンティティとなっていた。
彼は小学校を卒業して、名門の中学には成績トップで合格、そのままトップを維持し続けて高校も進学した。
自身の才能によってエリートだらけの親族や同じ学校のクラスメイトもてはやされ続けた彼はひどく傲慢となり
最終的には同じ高校のクラスメイトさえも俗物とみなして積極的に人と関わろうとせずに内心は見下すありさまになり、「アイツはまるで山月記の李徴のようだ」と侮蔑半分で言われるようになったが、別に対して気にもかけしなかった。
（むしろ現代文で山月記をしている時、内心で李徴をバカなヤツと見下してさえいる）

そういった傲慢さが頂に達した頃、彼は初めて一つの教科で成績2位となった。
そして徐々に一位が取れない教科は一つ一つ増えていくが、彼は何も変えなかった。

そのまま高校3年となり、大学は内部進学で名門に行けたが、内部進学などという俗物と同じ道を歩みたくないという己の傲慢さから国立最難関であるTへの受験を決意。
己の才にかまけてそれなりの勉強で済ませた結果、内部進学で行けた大学には落ちてそれより、1ランク下の大学に引っかかる様で
最終的には想定外の結果から体調を崩し本番当日に風邪をこじらせ、本命の国立は不合格となった。

この結果から最後にはクラスメイトからは博学ではない李徴の下位互換呼ばわりされ、彼自身ひどい屈辱感に打ちのめされて彼が国立大を目指す強い動機と同時にトラウマとなった。

その後、引っかかった難関ではあるがランクは下である大学に仮面浪人を目的に入学した。

■虎化
強い精神的なショックをトリガーにレネゲイドを活性化させ、水墨を思わせる柄の虎を模した異形にへと変異する。
また身体の構成も物質レベルで変異させる事ができ、爪を合金や特殊な繊維で編まれた防護服などたやすく切り裂ける強度に変える事が可能。

今まで完全無欠な私がするなど有り得ない、しかも同じ失敗。それを2度も。

再受験で不合格通知を見た時、頭にこれからがよぎった。
私が想像などしていなかった、これから過ごすであろうきっと陰鬱で惨めで滑稽な人生。
エリートの親族からは落ちこぼれとして見下され、かつての学友からは嘲笑われる。

力が抜けて私は床に倒れる。
揺れる意識に逆らわず、私はそのまま目を瞑る。

俺は才ある人間のはずで上を目指しているのだ
お前は敢て刻苦して才を磨こうともせずにそう宣うのか？

研鑽など私にはいらない、私は上にいた
刻を空費して、才が尽きている予兆があったのに？

俗人とは私は違う、私は死力を尽くす必要はなかった
否、事実は俗物のようなみっともない研鑽などしたくなかっただけだ
才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰によって
故に貴様は踏破を成しえぬ道を敢えて選んだのではないか

ぼんやりとした意識が次第にはっきりとする。
ふと、部屋の鏡に目を向けると
そこには虎が映っていた。

好きな物:分析と批評、読書（近代の小説）、他人へのアドバイス
嫌いな物:失敗をした人間
地雷:山月記の李徴を使ってからかわれる事
特技:受験勉強（本人は否定）