謎の宝石彫刻師により加工された宝石を自称するﾚﾈｹﾞｲﾄﾞﾋﾞｰｲﾝｸﾞ。宝石である事に嘘偽りは無く、人の形はしているがその身体の構成は石そのもの。髪の毛が宝石の如き光沢を放っているのもその為。
「かつての私は古美術店に置いてある宝石の彫像だった。最初は、感覚はあるが自我が希薄な状態だったのが、来店した人間に『恋』した事で感情を芽生えさせた」……と彼女は語るが真偽は不明。彼女の語る『恋』(かんじょう)が本当に恋なのかは誰にもわからない。
　都築京香が行わせた実験の産物であるらしいという噂が有り、彼女の語る自身の誕生秘話も中枢評議会が用意したｶﾊﾞｰｽﾄｰﾘｰだと、まことしやかに囁かれている。
　変装能力に優れ、自身や武器の見た目を光学的に変化させる事が出来る。普段はこの能力によって人に扮して行動し、任務では見た目を特定の人物や公園等の彫像に扮して潜伏する。

　戦闘訓練にて前哨狙撃兵としての適性がある事を認められ、敵情視察や支援射撃、暗殺等の任務に従事する事が多くなった。目標の眼前に居ようとも、気付かれない程の高い隠密行動能力を持つ。
　命知らずで無鉄砲。自己よりも他者を優先して行動し、己の犠牲も厭わない。その性質の顕れか任務に携行する武器は、高威力なあまり射撃の反動で使用者の身体に重大な負荷を齎す超大型ﾗｲﾌﾙ「ﾚｯﾄﾞﾃﾝﾍﾟｽﾄ」を愛用する。味方を護るためなら、例え発砲の度に自身の宝石の身体が砕けようとも躊躇せず使い続ける。

　自由に見た目を変えられるので、任務が無いときは専ら公園にある石像や美術館のガラス彫像に化け、そこで人間観察をしている。最近のマイブームはアニメキャラクターに扮して町を練り歩き、好奇な目を向ける人間を観察する事。
　食事は、自身の構成物質を含んだ特別なミネラルウォーター以外は必要ない。食べる事は出来るが、その場合は宝石の身体に濁りができ、美しさが損なわれてしまう。
　金の掛かる趣味は無いので、給料の殆どはUGNが関わる孤児院に寄付している。

　佐用姫伝説。夫との別れの悲しみから石となった女性の名。伝説上の松浦佐用姫は恋慕のあまりに人から石と成ったが、ホヅミは逆に人に恋した石が人に成ろうとしている存在と言えるかもしれない。

　仏教用語。読み方を変えて自身の姓としている。
　意味は「人を守りて己を守らず」、転じて「人に尽くして見返りを求めず」。

初期：裏切られる事を知らず、他人の言う事を鵜呑みにする。彼女の観る世界は輝きに満ちていた。人類は守るべき友であり、目指すべき場所。

現在：何かを護ると決めた時、それ以外の何かを護らないという覚悟を持つべきだった。私は世界の存亡と大切な友人の命を天秤に掛け、最終的に掛け替えのない友人を・・・初恋の人を殺めてしまった。私は墓石。彼女の墓碑銘を刻んだ石碑。次に同じ場面を迎えても、同じ選択をするだろう。その時に私は決して迷わない。なぜなら私は、ただ一人を愛する事を辞め、総体(人類)を愛護する道を選んだ化物(ひとでなし)なのだから。

‣レッドテンペスト(HR p.87)
ユニークアイテム。

‣Dﾛｲｽ:無疵なる石(LM p.111)
ｼﾅﾘｵ1回、ｼｰﾝに登場する任意のｷｬﾗｸﾀｰのﾀｲﾀｽをひとつ、ﾛｲｽに変化させることができる。複数可。代わりに、自身はﾀｲﾀｽ効果のｸﾘﾃｨｶﾙ値-1を使用できない。

‣ﾄﾚｲﾙﾃﾞｰﾀ:ﾊｰﾄﾚｽﾒﾓﾘｰ(RU p.112)
フレーバーに活用。

説明：このＶＨＳ方式のビデオテープは、「落とし物」としてＵＧＮ日本支部に保管されてあった物であり、■■年■月■日に同施設内にて行われた「年末の大清掃」の際に発見された事でその存在が認識されるに至ります。保存状態が悪く、記録の一部に欠落が見受けられます。映像は元から無く、音声のみの記録となります。

注意：この記録の閲覧には中枢評議会の許可が必要です。また、この記録に関する情報をエージェント「佐用姫」に知らせる行為は、禁止事項に指定されています。

[再生開始]
・・・ごきげんよう。
この音声記録(言の葉)を聞いているのが、宝石の君(キミ)、
若葉を思わせる新緑の君であれば良いのだが・・・
我は君の誕生に関わる者の一人。
名を・・・まぁ、「ロッキーⅢ(Eye of the Tiger)」とでも呼んでくれたまえ。

我々が、どこから来て、どこへ向かうのか・・・・・
それを探求する者の一人として、君の誕生秘話を本人に伝えないのは余りに真心が欠けている。
奸譎(かんけつ)と言ってもいい。
だから、この記録を残した。
危険ではないかと、心配するかね？
ふん、この程度で我々の進歩を止める事はできまい。
そこまで彼女の計画(プラン)は脆くはない。

君は我々の研究の産物である。
あの島での事件から組織立ち上げに至るまでの間に実行されたいくつかのプラン。
その一つが君だ。
君の核に使われている賢者の石は特別だ。
特に「記録する」という事に関しては一級品の媒体といえるであろう。
例えば―――――の方向性(ベクトル)を――――――

※ここで一度、音声が途切れる。原因はテープの劣化。現在、修復中。

―――――とまぁ、長々と話したが君の姿が人間の女性らしい形態を取っているのはそういった理由だ。
そんな君をＵＧＮに預けたのには理由がある。
なに、諜報活動をしろだとか、難儀な事をして貰うつもりはない。
これは組織からの命令ではあるが、同時に我が願いであり、同じ石(ミネラル)の誼(よしみ)として君に捧げる助言(アドヴァイス)だ。
人間に寄り添い、人間を学び、その心に触れたまえ。
ＵＧＮ(そこ)は、それに適した場所と我は断じる。
どうか君と人間とが歩む道行きが、君に美しく輝かしいカッティングを施してくれる事を切に願う。
[再生終了]