容姿・経歴・その他メモ

元ヤクザの構成員で、現在はUGNエージェントをしている。UGNの仕事がない日は日給バイトやボランティアをしている。
　小野は組長の娘の護衛を主に任されていた。組長の子供は息子が2人、娘が1人となっており、男児が2人もいるため、娘の重要性は少なくなっていた。そのため、組長やほかの組員からは「いらない子」扱いされており、護衛の数も少なかった。
　そんな中、小野は自ら娘の護衛を志願した。娘の組内での扱いから同情心がわき、つい志願してしまったのだ。それから、約1年間娘の世話や護衛をしていた。長い月日を要したが、小野と娘の間に信頼が生まれ、お互いがお互いを家族と思うようになった。
　ある日の夕方、娘の下校時の護衛をしていた。何も変わらない日常。それは突然にして引き裂かれた。目の前にジャーム化した人物が現れ、彼らを襲ったのである。小野はとっさに娘を庇ったが、片腕を引き裂かれ、地に転がされた。ジャームは小野を一瞥し、娘の首を掴み、絞め殺そうとした。その時、ドクリと心臓が跳ね上がる。それは出血によるショック反応ではない。娘を守るための、自分の筋を通すための力を手に入れた反応だった。そして、人間としての「小野 鼬斗」が死んだ瞬間だった。彼は地を蹴り、引き裂かれた腕を生やし、娘を掴む腕を引き裂いた。そこからは早かった。もう片方の腕を引き裂き、足を捥ぎ、頭を潰した。何度も何度も潰した。もうどちらがジャームかわからないほど、惨たらしく死体を傷つけていた。死体がただの肉片になったとき、首に鋭い痛みを感じ、目の前が暗くなっていった。
　目を覚ますとそこは何処かの事務室のような部屋であり、目の前にはくたびれた青年が経っていた。青年は小野にレネゲイドウイルスのこと、UGNのこと、オーヴァードのことを説明した。娘は息があったため、近くの病院に運んだことも説明した。話を聞き、小野は自分が怪物になってしまったことを知った。娘と違う存在になってしまったことを知った。
　それから小野は自分の組に出向き、足抜けをした。その際、エンコを詰めろと要求され、小野は聞き手でない手の指をすべて切り落とした。それは決別であった。組抜け、人間としての人生、そして、娘との関係への。

　小野は今日も街を駆ける。今日を生きる人のために。街を駆ける。今日を生き抜く娘のために。


「はは、これじゃあ人間としての『俺』に未練たらたらっスね」そう怪物は嗤った。

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