合法ロリならぬ違法成人。ちょっとえっちかもしれない。もしシナリオ中で購入判定ができるならすごい服が欲しい。

「あたしね、夜蜂って言うんだってえ。よろしくう」

「お仕事だからねえ、ごめんねえ」

「……おとうさん……」

元"千夜一夜"セルの暗殺者。ソラリスシンドロームの能力で相手の警戒を解き、油断したところで毒殺することをコンセプトに調整されたオーヴァード兵器・〈シェエラザード〉のひとり。
情報を抜き出すハニートラップ的な用途も想定されていた。
このコンセプトによる改造の48人目であることから夜蜂(48)と呼ばれる。
しかし、夜蜂は人格改変時のエラーでこういった任務への適性が最適とは言えなくなったため、少しの間だけ運用された後にDランクとしてペトルーシュカの元へ売られた。ランク176→144。

暗殺や諜報を目的とした改造オーヴァード「シェエラザード」を製造、派遣するセル。
戦闘部隊は存在するが少数で、非オーヴァードの誘拐や他のセルが拉致した敵対組織のオーヴァードなどを素材としてシェエラザードを制作する。
シェエラザードはみな優れた容姿を持っており、その美貌と話術、媚薬や性行為などで対象の警戒を解き、暗殺……あるいは情報奪取などを行うのが主な運用方法である。
セルメンバーの異様なまでの性へのこだわりにより、多種多様な容姿に内面、技術を仕込まれており、そんなシェエラザード(とそれを作った変態共)が何十人と居る千夜一夜セルは「最も淫らなセル」とも呼ばれる。
シェエラザードは基本的にはレンタルだが、高い金を積めば「購入」することが可能。
単純に愛人、あるいは性玩具にする目的で購入するものも多い。
セルリーダーの"シャフリヤール"は気に入ったシェエラザードを複数自分専用に飼っており、この「シャフリヤールのペット」を目指すシェエラザードも少なくない。この地位につけば死の恐れがある仕事はまず来なくなり、ただシャフリヤールの気が向いた時に抱かれるだけになるからだ。
なお、夜蜂はシャフリヤールとは会ったことすらない。

他者から魅力的に見られるように美しい外見に作り替えられている。
茶色の目だけが生来のもので、あとは全て人工的に調整されている。髪色も、髪質も、肌の艶も、身長も、スリーサイズも。
このタイプのオーヴァード兵器はそれぞれ異なるターゲットの好みに合わせるため全員外見が大きく異なるが、夜蜂に限らずだいたいは施術者の性癖が出るらしい。

先述のエラーにより、外見に不相応なぽんやかした性格となっている。
間延びした口調と天然思考が特徴的で、少し幼げ。
しかし任務に必要な最低限の知識(ターゲットに怪しまれないための一般常識、籠絡のためのあらゆる手段、人の殺し方など)は脳に焼き付けられているため、のんびりした口調の割には無知ではない。
ただし、オーヴァード相手の暗殺にはこの性格と知識量のギャップによる歪さが警戒される要因となるため商品としての品質が低いと判断された。
また、任務で取り入る対象に情が沸き任務放棄する、といった事態を防ぐために恋愛感情の類を抱かないよう精神を調整されている。
夜蜂もそれを自覚しているが、失ったという自覚がよりそれを求めさせるらしく、将来の夢は恋をすること。

蕩針(とばり)

指先に小さな針を生成する。本来は暗殺用の装備であり、急所に突き刺して体内で精製した毒を打ち込むもの。
緊急武装(という設定だがシナリオ中ではこっちが主な用途)として針を射出することも可能で、その場合は濃縮した毒素を指鉄砲のように放つ。同時に最大3発まで射出可能。射出せずに急所を狙えばほとんどのオーヴァードを一撃で殺害可能なのだが、射出パターンの場合は必ずしも致命傷にはなりえない。

胡蝶(こちょう)

相手の精神を一時的に弛緩させるガスを吸わせ、動きが緩んだ瞬間に回避行動を取る。これも本来は暗殺用で、警戒心を解かせるための毒。
相手に吸わせることが主な用途だが、自身を攻撃させないためのものであるため敵意の籠った攻撃に対して抵抗力がある。つまり、遠距離攻撃であってもガスを浴びせれば弾速などを一瞬だけ緩める効力がある。

夢見鳥(ゆめみどり)

みんなに死んでほしくない、という想いから体内の毒を調整し、薬へと反転させた物質。
死からの蘇生という凄まじい力を持つ代わり、体内のレネゲイドが極度に活性化した状態でないと生成できない。その状態でも生成量はごくわずかで、一度の作戦中に一回分程度の量がやっと。
また、生成箇所が口腔内に限られている。つまるところ、現状はまだ唾液という形でしか作れないのだ。
そのため、提供方法としては自身の指につけて身体に触れるか、相手の身体を自身の口腔内に含むかの二択。
また、同時期に獲得したイージーエフェクト《元気の水》はこれの簡易版。身体の何処からでも、いつでも、大量に生成可能である代わりに効果は薄い。味は結構甘い。

誘蛾灯(ゆうがとう)

夢見鳥と同じく、みんなに死んでほしくないがために得た能力。
領域操作と薬物による感覚錯乱を併用して、相手の攻撃をあらぬ方向へ逸らす。胡蝶の派生技だが、自分が回避する隙を作るのではなく味方に回避させるための技である。

元々はUGNチルドレン。両親ともにUGNエージェントであり、彼女も生まれつきのオーヴァードであった。
元の人格はデータが残っておらず夜蜂本人も忘れてしまったが、家族仲は良好で意志は強い方だったと思われる。
しかし半年前に支部がFHにより壊滅。両親は殺害され、彼女は実験台に回された。
なぜ彼女だけ実験台になったかと言えば簡単で、ソラリスシンドロームだったから。暗殺用オーヴァード兵器の素体にちょうどよかった、それだけである。
改造は8割方うまくいったが、人格改変の段階で元の人格の激しい抵抗に遭いエラーが発生。
結果として元の人格の消去には成功したものの、想定通りの人格とは少しずれてしまった。

……最近、UGNがFHに占拠されていたその支部を取り戻した時、一枚の写真が発見された。
まだ8歳だったというUGNチルドレン、「捌陸(さばおか) 飾里(かざり)」が写っている。
その目元には、微かに面影が残っていた。

唯一の私物として所持しているヘアゴムは、親からのプレゼント。元の人格の思い出の品。
無意識に元の人格への執着があり、どこかで既に喪った親からの愛に飢えている節がある。
常に一定のリズムを取ってゆらゆらと揺れる癖がある。

ペトルーシュカの元に売られた夜蜂だが、同じ"工具箱"のオーヴァードたちとは早期に打ち解けた。
仕事のために近づくのではない、打算のない友情。……ひとりご飯を要求して来ているが、多分打算なしでも友達だよね……ね？
暗殺とは違う、改造時に想定された適性の外の仕事では苦労も多いものの、言われるがまま抱かれ言われるがまま殺していた頃よりは楽しんでいる。……それはまだ、誰も死んでいないから無邪気にそう思えるだけかもしれないが。

船内の生活に不満はなく、ゼータやカストル、ポルックス、ナイロビワスプ、アトラトルとの仲も良好。
"ダーロス"セル探索の護衛任務においてミイナ、ムツミ、シンダーテイカーとも知り合った。
"マスタークエラピラ"の襲撃をしのぎ切り、無事帰還。……それだけのはずだった。
突如アトラトルから脱走を持ちかけられた。一同が賛成、反対と意見を交わす中、夜蜂は自分の意見を持つことができなかった。
友だちがいっぱいいるここから逃げる理由はない。でも、その友だちがここから居なくなるなら？
ぼんやり愛を求めながら生きているだけの幼子に、答えなど持てるはずもない。
ただ困惑しながら泣きじゃくることしかできずにいた。

皆がイセエビやら魚やらと格闘している間、夜蜂はひとり再調整を受けていた。
元々戦闘向きではなかったために一応の護身用であった【胡蝶】の強化のためである。
これにより実戦闘にも耐えうる回避性能を獲得したが、代償として時折吐血するようになってしまった。
そんな折、ようやく"ペトルーシュカ"との初対面を済ませ……また、新たな仕事に赴く。
カジノへの潜入、元締め"エルペイオス"の捕縛。よりによって久しぶりの潜入任務だった。
ランクの近い"アコロン"との交流や、エルペイオスが自ら異形と化してしまうなど色々あったがなんとか仕事を達成。
今回も死人は出ず、クォータリングへと帰還するのだった。

……夜蜂は、まだ気づいていない。
再調整では、戦闘用に多少精神にも手が加えられたのだが……その際、偶発的に千夜一夜セル時代に掛けられていた精神プロテクトが外れた、ということを。

今回の仕事は古代遺跡の調査。かつてそこを根城にしていたFHセルを滅ぼしたらしいいわくつきの遺跡。
初対面のホムラ、ヤンイン、そして久しぶりに会うシンダーテイカー……そして、いつも通りにゼータとアトラトルと共に向かう。
装甲トレーラーで出発するも、流砂に呑まれて事故る先行き不安なスタートを切る羽目になる。
デストラップだらけの遺跡を進み、ヤンインとちょっと仲良くなったり、無駄にややこしいギミックを攻略したり。
そうして財宝部屋にたどり着くが、水責めトラップにより押し流される。
流れ着いた部屋で、謎の恐竜文明の主らしき骸骨の怪物・覇王グルガザムヤと遭遇。妙に気の抜けた口調だが凶悪で残忍な恐竜覇王と戦闘する羽目になる。
苦闘の末に撃破し、トレーラーの装甲でBBQをする中……夜蜂は、ゼータへの想いを自覚する。
そこに割って入ったアトラトルにより告白は中断されるが……そこで、アトラトルに改めて脱走を持ちかけられる。
今回も、明確な答えは出さないままだったが、前回と違うことがひとつ。ちゃんと自分の考えでもって、もう少し考えることを選んだのだ。ゼータと共にいるために。

遺跡から帰還して、少し経ったある夜。夜蜂とゼータは、とうとう想いを伝え合った。
ゼータにとっては、元々そういうことに無関心だったゆえ。夜蜂にとっては、今まで仕事でしかなかったゆえ。
性愛を知らないふたりの、はじめての夜。
そうして、睦みあった後。ふたりは決意した。この船を出て、自由を手に入れたいと。
"ペトルーシュカ"の所有物でなく、お互いのものになりたいと。
それが奇跡の始まりなのか、破滅の始まりなのかは……まだ、誰も知らない。