皮肉屋で意地の悪い男。
嫌いなものにはとことん否定的に振舞うくせに、好みの物に対しては反応が薄い。
あの一件以来、何もかもに対して諦めの姿勢を取るようになった。

バロールの中でも特に時の流れを操ることに特化した稀なオーヴァード。
バロールシンドロームを持つ者は、無機物に限り時を加速させる能力を持つ者が居ることは確認されているが、まるでそれらに特化したような能力の進化を遂げている。より広範囲に、そしてより長く続く。
さらに驚くべきことに、その逆――――つまり時を停滞させることも容易く行えてしまうのだ。
巻き上げた砂埃は固定されるが如くその場に止まる。石を蹴り上げるだけで弾丸のように飛ぶ。
巻き戻す以外の動作なら自由自在に行える強力な能力。
これをFHでは高く評価し、相手がいかに備えようとも無力化してしまうことから"杳として跡を絶つ"、そして唯一無二の切り札である｜スペキュレイション《スペードのエース》、の二つを合わせたコードネームが与えられた。

だがその切り札は、もう一つの切り札によって敢え無く破られることとなる。