かつては神童だった。
幼少からピアノコンクールの常連、労せず音大に入学した。しかし、転機はふいに訪れる。彼の耳は次第に聴こえなくなった。

自棄になって酒に溺れる毎日。その日も、空っぽのウイスキー片手に昼間の公園のベンチで座っていた。遠巻きの視線は感じたが、陰口は何も聞こえなかった。
そんな中、一人近づいてくる少女がいる。
彼女が差し出したものを口にした瞬間、瞼の裏がチカチカと輝いて体の奥底がひりついた。
気が付くと既に夕方だった。

18時を知らせるサイレンで、子どもらが口々にさよならを言って散っていく。
――ちがう。音は聞こえていない。これはメロディーではない。リズムが体を伝わっているだけだ。そうか。音楽の根源はシンプルだ。
それは振動だった。

【PC③】
ロイス：“遺産”「宝石の花数珠」
推奨感情　P好奇心／N無関心
カヴァー／ワークス：指定なし／UGNエージェント
　キミはUGNエージェントだ。キミは“遺産”「宝石の花数珠」の調査をUGN本部から依頼された。キミは現地の支部の他に緋月翼という本部エージェントが協力してくれることも知っており、先行して調査を行うため市場へと足を運んだ。