容姿・経歴・その他メモ

N市の某高校に通う高校生。

成績は、だいたい学年で10位かそこら。群を抜いている訳ではないけれど、十分に上位と言えるくらい。
運動も決して苦手じゃない。球技大会でも、そこそこそつなくこなして、運がよけれはちょっと活躍した。
交友関係も広い。クラスの中心ではないけど、面倒見がよく、大概のクラスメイトからの心象は悪くない。

総じて「全てが合格点の少女」というのが、彼女への評価。
ぱっと見分かりやすい「高嶺の花」に見える訳ではないあたり、あわよくばと考えた男子からの告白も何度か
あったみたいだけれど、波風もたてず上手いことかわしては、結局また「みんなの頼れるクラスメイト」に
収まっている。

学生なのだから、友人関係だの恋愛関係だのごたごたしそうなものだが、いつの間にやら、彼女だけはいつも
無縁で、中立の「良き相談相手」で居続けている。

　＊　＊　＊　＊　＊
　
さて、そんな彼女だけれど、所属している部活は、部員不足で存続が怪しい文芸部。
カーテンもない空き部屋を流用した校舎の隅っこにある部室が、傾いた日に照らされる中、放課後はひとり、
本をめくっている。ファンタジー物語が特に好み。

放課後ここに来れば確実に会える。そして、校舎の隅っこには、用のない生徒はめったに立ち寄らない。
いつしか、この部室は、悩める生徒が助言を求めて訪れる、そんな場所になっていた。

勉強の相談、恋のお悩み、ちょっと暇だから。どんな理由でも、歓迎してくれるこの部屋で。
所詮は学校なのだから、大して良い設備とは言えないはずなのに、妙に居心地が良いこの部室で。
懸橋深幽は今日も微笑む。

　＊　＊　＊　＊　＊

「それでは、お話を聞きましょうか」
「私には『ふつう』のことしか言えませんけど、それでも良ければ」

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