容姿・経歴・その他メモ

一人称：おれ
二人称：きみ
「初めまして、おれは黒上晴喜。一応闇夜に潜む者って名乗ってる時もある。好きな方で呼んで」

履歴

昨日と同じ今日、今日と同じ明日。世界がエンディング後のゲーム世界のように変わらないように見えたのはいつの時だったか。

知らない人と関わるのは昔から得意ではなかった。同年代の子供たちがなぜあそこまで騒げるのか理解できなかった。外に出るのも好きじゃない。そんなおれの隣にはいつもシロがいた。
辛い時にはフィクションを想像した。おれは冒険者でクエスト達成のために行動しているのだと。家の外は入るたびに変化するダンジョンであり、苦手な奴は攻略するべきモンスター、あの時のラスボスは｜小学校近くの家で飼われていた《固定シンボルの》番犬だったっけ？パーティーメンバーはいつもおれとシロの2人。シロだって怖いはずなのに、いつもおれを｜道路側《後衛》に配置していた。
ワクワクするようなことは好き。幼いおれにワクワクを与えてくれたのはいつだってシロだった。ゲームは昔から嫌いでは無かったが、協力プレイの楽しさはシロが教えてくれた。1人ではコンプリートできないRPGの図鑑も2人で交換すれば完成できた。

そして、あの時もおれとシロは一緒だった。負けイベとしか言いようがないレベル不相応のボス戦が発生したあの時も、どこかでクリアを諦めていたおれと違って、シロは最期まで諦めていなかった。だから｜オーヴァードとしての覚醒した《特殊演出が入った》のだとおれは今も思ってる。だからこそ、おれはあの時死ぬべき定めだったのではないかと今でも思うときがある。だってあまりに都合が良すぎる。おれは特殊演出が発生するフラグは達成していなかったはずだったのに、あの状態で死なないとかバグ技を使用したとしか思えない。レネゲイドというバグ分子が起こした｜奇跡《いたずら》。きっとをそれは｜致命的な《修復不可の》バグであり、セーブデータを破壊し尽くしても可笑しくない。

世界はとても残酷で酷いくらいに平等だ。バグを使用した代償はきっと小さくない。シナリオは修復不可能な程に破壊されてしまったに違いない。それでも、おれが本来のデータなら途中離脱するキャラなのだとしても、シロがおれのことを必要としてくれるなら、勇者となって魔王だって討伐するし、逆に魔王となって勇者を迎え入れだってする。けどシロはおれがただの村人であることを望んでいるから、今はきみが守った日常をあますことなく享受するよ。ただ、シロに危険が迫ったらおれは村から飛び出すことは決定事項だからここで宣言しとく。｜現実《リアル》に村人は村に留まり続けなければいけないなんてルールはないからね。シロが一番望む結末を迎えるためには、おれという手札を余すことなく利用するのが最短ルートなのは間違いないからね。もちろん安心して、あの時よりおれはずっとレベルアップしたし、ゲームオーバーになるような無茶はしないし、おれはシロみたいに優しくないから、自分のせいで目の前の｜人間《NPC》が死んだとしてもたいして心は動かない。そりゃ、｜さびしいとか悲しいとかは思うかもしれない《救出クエストがクリアできなくて残念とは思う》けど、そのせいで何ヶ月も悪夢にうなされるかというと全然そんなことはない。だから、そんなに慎重にならなくてもいいんだよ。
おれの物語ではいつでもシロは勇者だった。今だってそう。
ねぇ、シロ
おれは最初の村で勇者の魔王討伐を応援するだけの、勇者の無事を祈ってるだけの幼馴染にはなりたくないよ。

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