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EXレネゲイド“瓶詰の残滓たち(レムナンツ)”

　強力なオーヴァードを生むために、小さな部屋の中に適当な少年少女を詰め込み、殺し合いをさせる実験はFH内においては各地で行われてきた王道の実験方法だ。その実験の中で生き残った数々の実験体たちからレネゲイドウィルスを抽出・配合して生まれた特異なレネゲイドウィルス＿＿＿その名も瓶詰の残滓たち(レムナンツ)。人間で適合した者はおらず、なんとか適合に成功した特異な武具があるにはあるが、所持した者は皆早々にジャーム化していったという曰く付きの存在である。かつてはFHが所持していたEXレネゲイドであるが、現在はゼノスが保有している。
　そんな曰く付きの存在を元にしたオーヴァードが生まれたら、どんな逸材が生まれてくるだろうか。研究者たちは早速その実験に着手した。しかし、ただの培養では上手くいかなかった。そこで研究者たちは“瓶詰の残滓たち”のレネゲイドウィルスに感染した男女のジャーム２体を直接交配させ、母体を培養液に漬けて実験体の培養を進めた。そして、丸２年が経ち、子は母体の腹を突き破るようにして生まれた＿＿＿その赤ん坊こそが、後の“雪園深白(ゆきぞの みしろ)”である。
　雪園深白曰く、“瓶詰の残滓たち”は皆一様に意識があるそうだ。皆が皆、救いを求めているが、思考すること以外ほぼ何もできず、どうしようもない状況に絶望しているのだそうだ。しかし、考える以外にできることが２つある。１つは所持者に語りかけること。そして、所持者と感覚を共有すること。多くのオーヴァードはこの感覚に耐えきれず、手放すか発狂してしまう。しかし、雪園深白は違った。いったい、彼らと雪園深白では何が違ったのか。研究者たちの次の目標はそれとなった。

家出

　ゼノス内での生活は快適だった。しかし、一点気にかかることがあった。“プランナー”都築京香の存在だ。彼女のことを知っている＿＿そんな気がしてならないのだ。しかし、彼女は何も教えてはくれない。そこで、雪園深白は考えた。
「だったら、自分で調べればいいだけじゃないですか」
　彼女はゼノスを飛び出した。そして、何か情報を知らないかとUGNを訪ねた。
　プランナーにとって、ここまでは全てプラン通り。しかし、この後の計画案は複数存在する。どの計画書に沿って事が進むのか、それは彼女であっても全てを見通すことができていないようだった。

能力

『他の物質を分解する光を放つ』
『自身を複製する』
　自己の錬成と他者の分解に特化しており、戦闘における殲滅力は並のオーヴァードの比ではない。侵蝕率が上昇すればするほどその殲滅力は増していき、現在確認されるだけでも並のFHセルならば単騎で壊滅させられるだけの実力を持つ。しかし、彼女自身が好戦的な性格ではないのが唯一の救いである。プランナーとの関係性も考えられるため、彼女の監視を怠ることのないように、彼女の活動範囲内の各支部に伝達せよ。
　なお、彼女曰く、「能力の殆どは自分ではなく、この子たちのお陰で成り立っている」と語り、所持している奇怪な銃を見せてくれた。特徴はUGNの所持するクライベイビーに非常によく似ているが……全くの別物だとわかる異常な雰囲気を放っているのは、誰が見てもわかるだろう。

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