平安の頃から続く権力者の血統。いわゆる拝みさん・陰陽師などの霊能者家系で、そこから権力を得ていった家。霊能がレネゲイドと名前を変えてからはUGNに協力している。先祖からレネゲイドに関わっていた影響か、優秀なエージェント・研究者を輩出している。そのためUGN内部でも権力は高い方。
鈴音は本家の長女であり、実家は神社を持っていたりする。神社の蔵には微弱にレネゲイドを帯びた物品が多くある。

10年程前のバレンタインの日。料理を習っていた鈴音はチョコを手作りしようと、お小遣い片手に買い物に来ていた。買い物中、近くで騒ぎが起きた。突如起きた痴話喧嘩に周りは野次馬が集まり始めた。鈴音は事情はよく分からないながらも、止めるために店員を呼ぼうと動き始め…それが彼女の命運を分けることになる。

騒ぎの中心にいたのはオーヴァードだった。精神的ショックを受けたその青年はサラマンダーで…怒りと絶望と恐怖に彩られた精神は大きな暴走を起こした。暴走する力は彼自身もろとも周囲を焼き尽くし、ショッピングモールは火の海と化した。
中心地に近いところにいた鈴音は、移動しようとしていた故に商品棚が盾となり、体は無傷だった。…けれど、それ故に周りが地獄絵図になっているところを直視することになる。

焼けて溶けて黒くなった周囲のモノ。どんどんと迫る熱と炎。焦げた匂いと苦痛と恐怖にまみれた声。足に縋ろうと呻く瀕死の人。鳴き声と怒号が響き、押し合いへし合いの非常口。幼い体であろうと気遣いなどされず、逃げる人々に蹴られて、踏まれて、突き飛ばされて…その全てが大きな恐怖と命の危機の感覚をもたらし、強く強く焼き付いた果て――死にたくない一心で、鈴音は能力を目覚めさせた。

まだ幼いことと、非常に高いレネゲイド適性が見られたため、チルドレンとなり訓練を受けることに。本人も出自からUGNの活動を知っていたので、役に立てるのならと承諾。出自のこともあり、非常に期待が寄せられたが…

目覚めた能力がサラマンダーかつ、焼き付いた恐怖をレネゲイドが反映した結果、能力自体に恐怖でパニックになり、全く扱えないことが判明。最初の期待が高かったがために周りの失望は強く、一緒に訓練していたチルドレンも傷つけてしまった(対抗種で)ことから孤立・陰口が始まるように。

元々真面目な質であったこともあり、能力が扱えるようになればきっと…最初は耐えていた。だが、更なる失敗・失望への恐怖から能力はもっと扱えなくなり、どんどんと周囲は悪感情に満ち、それが更なる暴走と恐怖を生み出し…

遂には周囲の人間に恐怖を覚え、耐火加工がされた部屋に閉じこもるようになってしまう。その上、周りを傷つけてしまったことから更に能力への恐怖が増し、一層レネゲイドは暴走するように。ひたすらに部屋にこもり、震えながら毎日を過ごすことになる。

部屋に閉じこもっていたある日、偶然部屋に迷い込んだカミナとの邂逅を果たす。最初はパニックになったものの、幽霊状態のカミナは力によって傷つけられず、独特の雰囲気ながらにフレンドリーであったこともあり、少しずつ仲を深めるように。カミナとの会話に寄り過去の対人トラウマが少しずつ癒え、外への興味関心が増えてきた。それでも恐怖は消えず、閉じこもっていたが…ふとした時、気付く。

「…カミナが誰なのか、何なのか、私知らない…」
「もしかしたら、いつか…それこそ明日にでも消えてしまうの？他の誰にも知られないまま…この部屋での思い出しかないまま…」
「――それは、嫌だなぁ」
「カミナのこと、ちゃんと知りたい。他の人にも知ってもらって、こんなに素敵な人がいるのよって言いたい。カミナと沢山でかけて、思い出も沢山作りたい。」
「家族にカミナの事知ってもらいたいし、カミナにも私の家族を知って欲しい。一緒に出掛けて、楽しかったねまた行きたいねって言い合いたい。学校だって行きたいし、色んなことをしてみたい…」
「…ううん、それだけじゃない。…私自身が、まだ外に行ってみたい…！外へ行って、色んなものを見てみたい…！」

それはずっと恐怖に縮こまっていた少女の傷が段々と癒え、外への興味が出来た瞬間。恐怖で固まっていた心が動き出し、欲が、願いがあふれ出した瞬間。止まっていた少女の時計の針が動き出した証。

変わりたい――恐怖に逃げて、閉じこもったままになっている自分を変えたい！

その日、そんな決意が…強い思いが、鈴音の中に確かに生まれたのだ。

カミナにも支えてもらい、一進一退の努力の日々が始まる。ある時は文献を読み、ある時は身体を鍛え、ある時は会話の練習をし、ある時はアイテムを試し…様々な形で、努力を一つ一つ重ね始める。

特にネックになったのは能力のコントロール。これが出来なければ外には行けない。けれどコントロールは恐怖によって困難。しかも焼き付いた恐怖は簡単には消えず、恐怖をなかったことにするのは逆に危険…。

思考錯誤の果て、たどり着いた答えは「恐怖はそのままに、それでも扱えるようにする」こと。恐怖は抱えて、見て見ぬふりはせずに、向き合いながら…それが鈴音が導いた回答。そして、能力を扱うために考えた策が「暗示による精神安定」と「恐怖対象を限定化させ、能力を少しずらして認識すること」だった。…因みに策のヒントは「溶けたものがチョコレートだけなら甘い香りだし、怖くなさそうだろうけど」というカミナの言葉だったりする。

その果てに現在にまで続く、戦闘・コントロールスタイルが完成した。
実家の蔵のアイテムを組み合わせ、衣装と場を整える。そしてそこを起点に、能力を認識し直す。

それはただの炎にあらず。それは浄化の焔であり、恨みを晴らす裁きの焔。
その形は「燃えて苦しむ人間」にあらず。炎を誇らしげに纏った「冥府の使者たちの姿」である。
多くを傷つけたこの力は「己の恐怖」を表したものではなく、「冥府の怨念たちが扱う呪い」である。

黄泉の国の兵士たち――ヨモツイクサたちはこうして生まれた。

コントロールが可能になってから、めきめきと実力を上げ、一人前のチルドレンとして任務に励むようになる。怖がったり、怯えたりは残っているものの、任務中は隠して虚勢を張ったり行動したりが出来るようになった。なお任務が終わったらカミナに泣きついて慰めてもらう。
支部は実家の近いN市に配属となり、高校生とエージェント、どちらの活動も頑張っている。どちらも真面目かつ優秀として見られているようだ。

支部長の巳神麻都とは関係良好。過去と臆病気質を心配してくれていることが、嬉しいやら面はゆいやら…と言った感じ。鈴音からは強い信頼を抱いているが、同時に抱え込みすぎたりを心配している部分もある。後、お酒はほどほどにしてくださいねってたしなめたりもする。

同支部チルドレンの櫛灘姫夜とは同年代であるのもあって気にかけている。純粋に友達としても好きだし、アレコレ頑張ろうとするところは凄いなぁとも思っている。けれどその根底にあるものにも気が付いているため、同時に心配しているし、いつかこちらの気持ちが伝わるといいなと思っている。今は少しずつ好意を伝えて様子を見ている形。

先輩である田中琴葉との関係も良好。純粋な尊敬を向けている。ただ気負いやすいところがあるので、そこは心配。せめて力を抜いてくれるように、細かく声をかけたり休憩を呼びかけたりしている。

精神能力値1上昇、バディムーブ取得、先陣の火1Lv上昇、〈RC〉・〈調達〉Lv1上昇