概要

かつてFHが複数セル合同で行っていた戦力増強計画（通称プロジェクト・ロストエデン）のために生み出された人造人間。
触媒の実験では、触媒を有した者とその力を受ける被験体（被触媒者）で2人1組の番を組ませていた。
被験体Noは触媒と被触媒者でそれぞれ管理されており、触媒はイヴの"E"、被触媒者はアダムの"A"が被検体Noに含まれている。
ミカは「No.E-143」、パートナーであったミハイルは「No.A-54」。
片方が死亡した場合は新たに補充される。

触媒の力を有したレネゲイドウィルスを人工的に作り出したものの、宿主に対する攻撃性が非常に高く、人為的に感染させても肉体が耐えきれずあっという間にジャーム化、あるいは肉体が崩壊してしまうという問題があった。

これを解決すべく、遺伝子情報にレネゲイドウィルスを組み込む研究チームと、人工オーヴァードを生み出す研究チームと協力し、生まれ持って触媒の力を有したオーヴァードを造り出すことに成功する。

結果として後天的に触媒の力を取り入れた時に比べてある程度の抗体が出来ているようで、すぐに自滅するという事は無くなった。
しかし抗体と言っても、常人に比べればある程度耐えられる程度の話ではある。
だが、既存のウィルスの衝動を抑える薬物で衝動を抑制出来る事は実証済だったため、被検体にとってはむしろ首輪代わりになるので都合が良かったのだ。

被検体No.A-54「ミハイル」

一般家庭に生まれた本を読む事が好きな普通の少年だったが、8歳の時にFHに拉致され、オーヴァードに覚醒させられた。
覚醒後、生み出されて間もないミカと出会う。
自由もなく、楽しい美味しいという概念すら知らないミカに、外の世界の話や本で学んだ事をよく話していた。
最期はジャーム化し、僅かに残った理性でミカを傷付ける前に自ら命を絶った。
凄まじいショックを受けたため、無意識に自らの記憶に蓋をし人格をシャットアウトした結果、この実験に関する記憶をほとんど失ってしまった。残っているのは、ぼんやりとした優しい思い出と、あまり思い出したくない痛みの記憶だけである。

被検体No.の小噺

143という数字は、通俗的表現でアイラブユーを意味する数字となる。…らしい
ミハイルの番号54はエンジェルナンバーというものにおいて「変化が起こることを知らせる数字」を意味し、143から差し引くと89になる。
89は「今までの人生に一区切りがつく」ことを意味する。ミハイルが欠けた事で美樺に新しい道が開かれたという人の心のない皮肉な言葉遊びである。