支部長の側以外ではあまりエフェクトを使いたがらない。道化の出し物を使って隠すように立ち回っている。
本気で戦う時は、自身の影を煙のように霧散させ敵の影を乗っ取り、そこから腕を伸ばして影にできた口に引きずり込み喰らう。

貧困な家庭に生まれ、父は働かず賭け事ばかり、母親は夜の仕事で働いていた。
誰も煙の世話をせず、ネグレクトな環境で育つ。
常に腹を空かし、冷たい台所の床で寝ていた。

煙が中学生の頃、無理がたたって倒れた母はそのまま死に、父も後を追うように亡くなった。
まともな親戚はおらず、まだ子供だった煙は途方に暮れていたが、父親が借金していた闇金融の関係者に拾われやくざの事務所に置いてもらう。
しばらくそれなりに生活させてもらえていたが、自分たちより上の立場の人間がFHと手を組み、煙の事務所の人間を無理やり覚醒させて実験に利用しようとした。
唯一ジャーム化を免れた煙は、自身の特異性にいち早く気が付き、その場にいたFHエージェントをジャームの暴走と見せかけて殺害。その後逃走した。（白萩支部はこの時残されていたデータを復元し、煙の存在に目を付けていた）

その街でそれなりに大きく、あまり統制の取れてない戦闘メインのFHのセルに力を隠して入れてもらう。
戦闘を好み人数は多いが、計画的に練られたテロなどは行わなかったため他のセルからも煙たがられていた。なので、リコリス・ラジアータによるセルの殲滅が行われた際、他からの増援は一切なかったという。

リコリス・ラジアータの目的はセルの壊滅ではなく、佐鞍煙ただ一人だった。

仲間の死体の中で彼女に「スカウト」され、煙はその手を取った。
脅しに屈したわけではない、ただ、生まれた初めて誰かに自分という存在を求められた。
それ以上の幸福は無いと、彼はその時思ったからだ。

現在はその白萩支部の暗部に関わる部分を支部長と共有しており、彼女が死ねば自分も死ぬという契約の元そばに置いてもらっている。

「プライベートに何してもいいんだよ。どこに行ってもいいし、復讐するもよし、人を殺すのだって構わないよ。ちゃんとうちに帰ってくるから、どこで何しててもいい。だって煙くんはそれくらいうちにとって必要な部下だから。でもね、私がお願いしたらちゃんと死んでね。私が死んでも、一緒に死んで。そして死にたくなったら、ジャーム化したら、ちゃんと私が殺してあげるから、安心してそばにいてね」

出来る限り支部長のそばにいたがり、支部に入った頃は常に生活を共にしていた。
当時はまだ支部長ではなかった彼女と共に、一般常識や勉強を学んでいる。
今は昔ほど一緒にいるわけではないが、彼女に臨時報酬をリクエストするよう言われたら支部長の部屋に行かせてもらうことが多い。

共に食事をし、風呂に入り、仕事（或いは宿題）をして一緒に眠る。
彼にとっては今も一番幸せを感じる時間だ。

出会った当初、10歳も年の違う少女と大柄な男が一緒に生活するのは問題があるだろうと言われたため、間違いが起こらないように“去勢”されている。（本人も許可を出している）

ペットでも猟犬でも、なんでもいい。自分の命があの少女の糧になれるなら。

【ロイス】牡丹（ぼたん）
推奨感情：P任意／N任意
【ワークス／カヴァー】任意
雪山を訪れたキミは帰り道に復帰できない状況──いわゆる遭難に遭う。更に追い打ちをかけるように吹雪に見舞われてしまう。
人里を目指して下山すると、幸運なことに人家の灯りが視界に入る。九死に一生とばかりにキミは玄関の扉に手をかけた。