臆病だがやる時はやる、高い歌唱力を持つ高校生アイドル。現在売り出し中のアイドルグループに所属しておりアイドルとしての名前は篝里(カガリ)
UGNに協力するイリーガルであると共に、UGNの要観察対象として保護されている
魔統書と呼ばれる遺産の所有者であり、その化身たる鳥を従える
戦闘面では指揮棒で光を操り流星のように照射、さらにそれを追尾するように無数の羽根が標的を貫く
また、光の羽根は他者を導く輝きにもなり、他者の力をほんの僅かながら引き出すことも可能
視力に優れており、また一度見たものは忘れない絶対記憶の持ち主。加えて一度見たものは高い精度で模倣できる

所属するグループは所属アイドルを七つの光になぞらえており、篝里は「篝火のように闇を照らし、誰かの恐れを祓い共に歩む光」ということになっている。他にも「星の光」「太陽の光」「月の光」「木漏れ日の光」などがいるらしい
ロイスの一人である月名(ルナ)は本名を月城陽奈といい「優しく寄り添う月の光」と言われている
余談だが、月城陽奈もまたオーヴァード。UGNに協力するイリーガルである

【魔統書】と分類される遺産の一つを所有している。前述の通り、この遺産にはその化身を名乗る鳥が憑いている。本人曰く【大いなる天空の支配者】とのことだが、真名は明かしていない。そのため紅羽は彼（？）を天空を意味する言葉、セレスティアルから取ってセレ君と呼んでいる
これは普段小さな手乗りサイズの雀に擬態しており、一般人のいる場では隠れているかぬいぐるみのふりをしている。レネゲイド関係者の前ではよく動き、よく喋る
所有者である紅羽のことをノロマやポンコツなどと罵ることもあるが、本質的には互いを信頼するパートナー。日常面では引っ込み思案になりがちな紅羽を叱咤して行動を促すが、戦闘時にはその姿を変貌させ主たる紅羽に従い天を舞う

実は「星崎紅羽」という名前はUGNに来てから名乗ることになった名前である
元々は全く別の名前で、とある家庭の一人娘として生を受けた

しかし、少女の親はどちらも小さな犯罪組織に関わる人間であり、その中でも質の低い末端、チンピラに少々毛が生えた程度の人間だった。少女が生まれたことすら特に望んだわけでもなくたまたまできてしまい、流れで産んだだけのもの。嫌っていたわけではない。しかし特に愛情も執着もなかった。一応育てはしたものの大切にされていたとは言い難い。赤子の時点で死ななかったことは運が良かった、あるいは運が悪かった結果である

そして、少女が３～４歳になる頃、親がミスを犯して組織に損害を与えた。代償を求められた親は、自身ではなく子供を差し出した。文字通り子供を『売る』ことで自分たちだけ難を逃れたのである
売られた少女はその後、裏社会のネットワークを通じて最終的にFHのリエゾンロード"深緑の檻"(ジェイドジェイル)の施設に買われる結果となった

その後その施設で少女が何をされたのか、何があったのか。詳しくは判明していない。確かな事実は、少女が"深緑の檻"のもとでオーヴァード化し、魔統書と契約したこと。"深緑の檻"が所有する施設で『教育』を受け約十年間を過ごしていたこと。"深緑の檻"が姿を消したことである

"深緑の檻"が表舞台から謎の失踪を遂げた後、ある実験施設からUGNにSOSが届いた。それを実行したのが後に星崎紅羽と名乗るようになる少女とそのパートナーであった
上司である"深緑の檻"の失踪で混乱する施設のエージェントたちの隙を突き、他の子どもたちと共謀し、計画を立て、実行に移した。反旗を翻し施設の一部機能を乗っ取りUGNに助けを求めたのだ

結果、UGNの制圧部隊により施設は制圧。混乱の最中逃走を選んだ子供たちもいたが、少女は遺産と共にUGNに『保護』された

その後、少女は星崎紅羽と名を変え、日本で暮らすこととなる。被害者ともいえる少女をUGNチルドレンとして保護、養育するべき、という声は勿論あったが、一部の人間がそれに反対。リエゾンロードに育成されていた少女。また当のリエゾンロードが原因不明の失踪をしている状況で少女を組織内の情報に不用意に触れさせるべきではないと反対の声が上がったのだった。近年のUGNの混迷もそれに拍車をかけ、また、紅羽にいくつかの不穏な事実があったこともそれを後押ししたのだ

ノイマンシンドロームを保持する紅羽は写真記憶と呼ばれる「一度見たものは決して忘れない」という力を持っていた。紅羽のそれは強力で、当時はオーヴァードではなかったはずの「両親によって売られた光景」すらも詳細に思い出せた。
にも関わらず。紅羽は"深緑の檻"に買われて以降、救出されるまでの記憶が非常に曖昧で穴だらけになっていた
リエゾンロードの情報が手に入るどころか不審な点しかなく、見ようによってはロードの失踪直後に子供が結託して反抗し助けを求めてきたことも「出来過ぎている」ようにも見える
結果、UGNは組織に深入りさせることは無く、保護と生活援助はするもののあくまでもイリーガルとして扱い、同時に要観察対象として紅羽を定めたのである

その後、UGNの援助で『日常生活』を送っていた紅羽だが、かつて他ならぬ両親に愛されることなく売られた記憶と、己の正体の不確かさは心を蝕んだ。誰にも愛されず受け入れられることがない。自分には居場所が無いのだと悩み、歌に縋った
歌っていれば少しだけ、孤独の暗闇が遠のくような気がしたのだ
そうして時折、セレを観客に一人で歌っていたが、ある日その歌を耳に留めた人間に声を掛けられる。「君の歌声は素晴らしい。アイドルになる気はないか」と

人気アイドルグループのアイドルの一人として、以前よりも忙しい日々を送る紅羽。ある日ふと目覚めると見知らぬ古風で巨大な日本家屋の中にいた。その上相楽という少女が自分の前に現れ婚姻届けを片手に結婚を迫ってくる
幼い頃の記憶から、家族というものへの憧れも恐れもある。しかし何にせよ、これは根本的になんか違う
頼りになるパートナーもおらず、ビビりながら、時に状況に流されながらも、相楽という少女自身が何かに操られていることに気付いた紅羽。他にも様子がおかしくなり相楽の妹を名乗る顔見知りのUGNエージェントや、メイドのコードウェルに困惑しながらも調査を進め、事件の真相を突き止める

真に紅羽を狙っていたのは、"狂喜な凶器"(マニアマーダー)と名乗るFHエージェント
かつて"深緑の檻"の下で働いていた男であり、気に入った人間の、気に入った部位を奪ってそれを加工。殺人のための道具に変えて元々の持ち主を殺す、狂気の快楽殺人鬼であった

ロードである"深緑の檻"直属の配下であったマニアマーダーは、かつて幼き日の星崎紅羽に一目惚れしていた
それでも自らの欲望を実行に移さなかったのは、ただ単にロードという絶対的な上司には逆らえなかったから
しかし、上司の失踪後、裏社会でFHのフリーランス兼殺人鬼として活動する最中、相楽という少女を狙った際に偶然にもかつて執着しながらも見失い、諦めざるを得なかった少女の現在を知る
表社会に微塵も興味が無く、それまで"アイドル篝里"(くれは)の存在に気付かなかった男が狙った少女が、篝里のファンであったことは何の因果か
何れにせよ、かつて食べられなかった御馳走のありかを知った男は行動を起こす

最初に欲してから数年単位でお預けを喰らい、その上アイドルとしての活動を知ることでより高まった執着は彼の能力を極限まで引き出していたのだ。紅羽の遺産を、心を、全てを得たいと願ったジャームは、相楽という少女の身体を乗っ取り、UGNチルドレンであった少女が追っていた遺産絡みの事件を知りそちらにも介入
遺産をも奪った男は調査にやって来た者たちの意識も支配し己の『巣』を構築しながら、情報を操作し紅羽がイリーガルとして調査に来る時を待った

最終的に事件は紅羽たちの活躍によって解決したが、紅羽にとっては改めて自身がかつてロードの下で何をされていたのかを意識せざるを得ない結果となった。マニアマーダーは事件の中で語った。紅羽のいた場所はロード配下の間で"鳥籠"と呼ばれていたこと。紅羽自身も鳥籠の中の鳥であり、今もそこから出られたわけではないのだ、と

自身にとって、"深緑の檻"の事件は何も終わってはいないのだと思いながらも、これからも暗闇に光を灯し進む決意を新たにしたのだった

なお、事件を通じて知り合った相楽という少女とは、現在も交流が続いている。自身のファンであると言ってくれる少女に対しては気恥ずかしいながらも嬉しく思っているようだ