少年時代、天涯孤独の孤児として、生き辛い世の中で荒み鬱屈した生活をしていたある日、一つの音楽と出会う。
　　　　　それはただの路上での演奏だった。まだプロに成り切れない、粗削りさばかりが目立つ演奏だったかもしれない。
　　　　　だがそれは当時の詠司にとってはあまりにも鮮烈で、それまでの人生観も価値観も全て吹き飛ばし
　　　　　人格すら塗り替えるほどに衝撃だった。
　　　　　その光景はあまりにも煌いて、瞼に焼き付いた残像はいつまでも消えることは無く、
　　　　　その日の夜遅くには、ゴミ山から掘り出した壊れたギターに適当に糸を張り、
　　　　　見よう見まねで掻き鳴らす詠司の姿があった。

学生時代、霸谷雄吾を含む数人と意気投合しバンドを組む。
　　　　　皆努力した。青臭い夢を大真面目に語り、笑い、より一層音楽にのめり込んだ。
　　　　　才能もあっただろう。相争うように演奏の腕を磨き上達していった。
　　　　　運にも恵まれた。ライブハウスでの演奏を重ね、素人の集まりにしては順調に名も売れていった。
　　　　　俺たちに出来ないことは無い。そう本気で思っていた。あの日までは

解散時代、メジャーデビューすら手が届くと感じていたある日、霸谷雄吾がバンドからの脱退を告げた。
　　　　　霧谷は人生でやり遂げたい目的があり、それはバンドマンでは成せない事だそうだ。
　　　　　は？ありとあらゆる垣根を超える音楽では成せない事？そんなものは有り得ない。
　　　　　人生最大級の解釈違いである。詠司達はブチ切れた。
　　　　　傍から見るといまいち噛み合わない激論の末、不可能は無いとすら思っていたバンドは
　　　　　あまりにもあっけなく解散が決まった。音楽(に対する狂信)性の違いで。

覚醒時代、まだ活動期間が短いながらもついて来てくれたファンに不義理は出来ないと、
　　　　　バンド解散ライブをして終わろうとするも、その解散ライブでレネゲイド事件に巻き込まれる。
　　　　　ワーディングの中で一人戦うKIRITANIの姿に、脱退の真の理由を悟る。
　　　　　無力を味わう中で、なお音楽への狂信を捨てられないKAZAMAは、瞼に焼き付いた残像が
　　　　　今までになく熱く力を持って訴えかける。今がその時だ。
　　　　　KAZAMAはついにオーヴァードに覚醒し、KIRITANIと共に事件を解決に導く。

放浪時代、事件の影響により他のバンドメンバー達は、本物のバンドマンの姿をKAZAMA達の戦う姿に見てしまい、
　　　　　音楽の世界を去ってしまった。
　　　　　KIRITANI脱退の真の理由を知るも音楽性の違いだけは納得できず、KAZAMAはKIRITANIとは別に、
　　　　　独自にレネゲイドの世界に飛び込んでいった。
　　　　　音楽の可能性は無限だと、誰よりも信じて。