・基本的な性格
真面目で不器用。考えるより先に体が動くタイプで、困っている人を放っておけない。
義手・義腕になった後も気丈に振る舞うが、内心では「自分だけが変わってしまった」という痛みを抱えている。

・対人関係
幼馴染の彩花には自然体で甘えられる一方、財閥跡取りの蓮の前では「普通の自分」と「遠い世界」の差に戸惑う。
恭二とは妙に気が合い、オタク仲間として気楽に接している。

・強さと弱さ
強い正義感と行動力を持つが、自分の弱みをさらけ出すのが苦手。
「誰かを守る」ことに強いこだわりを持っており、
それはかつて自分が味わった喪失を、二度と他の誰にも味わわせまいとする願いから来ている。

・雰囲気
表向きは明るく大雑把で、あっけらかんとした性格。
しかし時折ふと真剣な顔を見せることがある。

彼女は、ごく普通の家庭に生まれた。
両親は共働きだが仲は良く、休日は近所の公園やショッピングモールに出かける。
家の食卓には、母の手料理と父の冗談が並び、静かで温かい時間が流れていた。

小学校時代は特に大きな事件もなく、友達と遊び、少しドジを踏んでは笑い合うような毎日。
宿題を忘れて先生に叱られたり、友達の誕生日に一緒にケーキを食べたり。
「将来は何になろうかな」なんて無邪気に夢を語れる、そんな時期だった。

両親は過保護でもなく放任でもなく、ただ“普通”に見守ってくれた。
だからこそ彼女は、自分の未来も“普通に続いていく”と信じて疑わなかった。
――少なくとも、その「日常」が崩れるまでは。

時折、胸の奥でざわめくものがあった。
まるで、はるか昔に失った何かが、影のように残っているかのように。

中学一年のある夕暮れ、彼女は帰り道で護衛に囲まれた一団を見かけた。
高級車に乗り込もうとしていたのは、国内有数の財閥の跡取り。
その瞬間、猛スピードのトラックが歩道に突っ込んできた。

護衛が反応した時には遅すぎた。
ただ一人、庶民の少女だけが咄嗟に身体を投げ出し、跡取りを押し倒して救う。
轟音、飛び散るガラス。視界が暗転する。

左腕を失った彼女の前に現れたのは、命を救われた財閥の若き跡取り本人だった。
「何かあった時には、必ず力になる」
その約束は形式的な礼ではなく、確かな「貸し」として彼女の胸に残り続けた。

けれど、事故は新聞の片隅にしか載らなかった。
後に「単なる交通事故」と処理されたそれは、実際には跡取りを狙った襲撃が偽装されていたのだ。

放課後の街、ネオンが灯りはじめたゲームセンター。
騒がしい電子音と、金属の硬貨が落ちる音。
彼女が格闘ゲームの筐体に腰掛けていると、隣の台にひょっこり座ったのは見知らぬ大人の男だった。

「お、やるじゃねぇか嬢ちゃん。……っと、今のは反撃チャンス逃してるぜ？」
やけに馴れ馴れしい調子。服装も髪型もだらしなく、どう見ても信用ならなそうな中年。
けれど、彼の指先が躍ると画面のキャラクターは軽快に動き、あっという間に相手を倒してしまった。

「ほらな。経験ってのは裏切らねぇんだよ」
自慢げに鼻を鳴らすその姿に、思わず笑ってしまう。

それからというもの、彼女がゲーセンに立ち寄れば、なぜか高確率でその男に会う。
何か…例えばお菓子などを賭けてゲームをするなどはよくある。
負ければ「奢れよ」とねだられ、勝てば「今日はお前のツキだな」と笑い飛ばす。
胡散臭くて、いい加減で、それでいて妙に憎めない。

――その男の名は、春日恭二。

・｜宮本 彩花《みやもと あやか》
家の隣に住む同い年の幼馴染。
明るく元気で、事故の後も義手のことを気にせず昔と同じように接してくれる。
その無邪気さは救いであり、同時に“自分だけが変わってしまった”という痛みを思い出させる存在でもある。

・｜高瀬 蓮《たかせ れん》
国内有数の財閥の跡取り。事故に見せかけられた襲撃事件で、燕に命を救われる。
責任感が強く、冷静に振る舞うが、恩を忘れず「何かあった時は必ず力になる」と主人公に約束した存在。
その存在は燕にとって非日常の窓口であり、救いでもあり、同時に遠い世界を思い知らせる存在でもある。
春日恭二かDロイスがいなければロイスになっていたかもしれない。

・｜春日 恭二《かすが きょうじ》
街のゲームセンターでよく顔を合わせる妙な知り合い。
年齢差はあるが、ゲームの腕前やノリの軽さで、なぜか気が合ってしまった。
話してみれば案外悪い人ではなく、駄菓子を奢ってくれたり、ゲームのコツを教えてくれたりする。
趣味が似通っていたからか、共にアニ⚪︎イトにグッズを買いに行ったり、共に遊んだりと良き友人として関わっている。
ただ、どんな職についているかなど、彼の日常については全く知らない。
「よく会う友人」のような存在だが、どこか胡散臭くて憎めない。