正体はゆなの元ユニット「アルコイーリス」所属のアイドル「レインメーカー」マリーシャ・レイニーデイ
にしてグラトニー配下のヴィラン「レイニーデビル」、その現在の姿である。

グラトニーが己の息子、タイガに自分の骨と肉、戦闘用AIマリーシアを組み込み、改造して生まれたヴィラン「レイニーデビル」。
≪完全演技≫と≪擬態の仮面≫で何物にもなり、彼の欲望を叶える手駒として生み出された彼は、「プロミネンス」平ゆなを「素材」として獲得するため、彼女と同じアイドルユニット「アルコイーリス」に潜入。
マリーシャと名と姿、人格を変え、クール系お姉さんアイドル「レインメーカー」として活動を共にしていたが、もう一人のメンバーである「ソレイン」真下愛を、強力なヴィラン「フォーリンラブ」に作り替え、ゆなを強襲した。
レイニーデビルはあらゆる手でゆなに絶望を与え追い詰めるも、ゆなに敗北。同時にゆなも尽きるが、彼女を救うため、タイガの意志を核にして復活したというのが、このオーヴァードの複雑極まりない誕生の経緯である。
なお、レイニーデビルの残滓から復活した時点では、マリーシャの人格は葬り去られ、男性としてタイガのみが人格としてある。

その後、タイガは、事件に巻き込まれたゆな、「アルコイーリス」マネージャーの小鳩と共にショウアップヒーローに亡命。
ゆなはアイドルとしての活動を再開、事件で大怪我をした小鳩はプロデューサーに転向、マネージャーはタイガが継ぎ、ユピテルサポートの元、アイドルプロジェクト“セラフィム”をリスタートさせた、のが現在地である。

元トップアイドルかつ、ノイマンなのでマネージャーとしては強くてニューゲーム状態。
業界で舐められないように強めのガワをしてるが、心配性、世話焼き、そして小心な性格である。
ゆなを献身的に支える女房役だが、彼女の夢を奪った実行犯であること、急に男バレした気まずさからよそよそしく接しがち。
実際、ヴィランとしての気質が出ていない、アイドルレインメーカー＝マリーシャの人格は完全別人格というわけでなく、タイガ本人の意思と気質が強く反映されており、記憶も共有しているため、本人にしっかり同僚だった自覚がある、地獄。

またこの特性故に、彼はこの『村雨タイガ』という人格も、個として信用できていないでいる。
元のヴィランとしての設計思想を鑑みれば、この自我も「レイニーデビル」の仮面の一つでない、という保証がどこにもないからだ
力を使った拍子、己は消え、再び冷酷なヴィランがゆなを絶望に叩き落すかもしれない―
その恐怖から、オーヴァードとしてもヒーローとしても覚悟を決めきれないでいる。

今はただ彼女のため、壊してしまった『三人の夢』のため、今日も彼は社用車のハンドルを握る。
願わくばその果てに虹の橋が架かると信じて

第一話後追記
アメを救う戦いの過程で、ヒーローとしての確固たる自我を取り戻したタイガ
ヴィラン化の恐怖から無意識に封印していたマリーシャとしての人格を開放する。
ゆなと事件以来となる「再会」を果たした彼女はこれからは自分も共に戦うと告げ、ソレイン奪還を誓った。