容姿・経歴・その他メモ

幼少期から満足に腹を満たしたことなどなかった。
何年も使い古した古着。頬の痩けた母。深夜遅くまで働いても大した稼ぎをもたらさない父。それでも私には勿体ないほど素晴らしく誇らしい両親だった。
それに幸いなことに日本は義務教育制度があるお陰で学び損ねることもなかった。
ただ家格はいかなる時期、いかなる場所であろうとひとつの格付けとなる。貧しい暮らしをしている私は格好の的だった。
それを庇ってくれた少女を、いまだに覚えている。
天真爛漫な笑顔が愛らしい彼女はドン底にいた私にとって無二の宝だった。
彼女との日々は苦しかった日々に指す、唯一の光明となるのに時間はかからなかった。
しかし、能力が覚醒すると同時に、彼女は姿を消し、その際の記憶も思い出せない。
何もかもが霧に包まれている。
その後はUGN組織で能力を制御する術を鍛えられ、その能力を存分に発揮し、支部長まで登り詰めた。
この歳まで生きてきて思うことは思い出せない記憶は思い出せないままで良いと思っている。
きっと良からぬ記憶なのだろう。
むしろ、思い出したくないとまで思っている。
何か…嫌な予感がするのだ。

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