母親及びその実家であるグスマン家は20年ほど前の世界的レネゲイドウイルス拡散以前からの潜在オーヴァードを擁する家系であり、彼の金獅子騎士団のように代々”遺産”を受け継ぐ家が繋がり合って結成したとされる秘密結社に属する一族である。母のアレハンドラ・デ・グスマンも例に漏れず潜在オーヴァードであった(イージーエフェクトを使える程度)。
　金獅子騎士団との違いと言えば、こちらの組織はUGNに付くことを選んだと言う点だろう。神の教えの下、人々を正しき方向へ導くために「奇跡」を起こすことのできる”遺産”を使用するという、UGNの信念と近い思想が根本に存在したため、親和性は高かったようだ。
　因みに、本家であるスペインに領地を持つグスマン家はカトリック教徒だが、イギリスに領地を持ち貴族となったイリスのルーツでもある分家のグスマン家はプロテスタントである。

　コードネームでもある「金剛卿」という号は本来、(イギリスに移り住んだ)グスマン家の当主に与えられる称号であったが、事実上の現当主であるライザの兄・ヘンリーがライザの鋼の如き精神力とオーヴァードとしての確固たる実力に敬意を表してこの称号を譲った。
　そのため英国支部では「サー・グスマン」は支部の幹部であり実際に爵位を持つ非オーヴァードの兄を、「サー/レディ・アダマント」はライザを指す呼び名として定着している。

　本部へ活性化の兆候が見られる”遺産”数点の移送をするため、その道のプロであるナイトフォールへ引き継ぐ計画であった。だが、ナイトフォールメンバーの到着を待たずに一部の”遺産”が完全に活性化してしまい、移送チームのメンバーとなっていたエージェント数名がその「声」に当てられる形で暴走、周囲のものや仲間たちを見境なく攻撃・破壊するという重大事故が発生した。
　このプロジェクトのリーダーであったライザは、移送対象のひとつであった〈信仰の火〉と契約し所持者となることでナイトフォール不在の中、暴走したエージェントたちの無力化と数点の”遺産”の破壊によって状況を鎮圧することに成功した。その後、決して少なくは無い被害を出したこと、そして戦場における視覚減退の影響を危惧し、自ら英国支部で与えられていた席を退いた。

　現在日本支部で副支部長として霧谷を支え、監視を行っている”ネーム・オブ・ローズ”ローザ・バスカヴィルは短い間ではあったものの、UGN英国支部所属時代にはライザ直属の部下であった。その縁故か、ライザはローザの立場に理解と難色を示しながらも彼女の身を案じるような言動を取ることがある。