プロフィール

かつてUGNで行われた実験の被験体。その実験で失敗作とされた一人。
計画は非常に強力な能力を持ったオーヴァードを人工的に作り出すことを目的としたもので、その唯一の成功例が玉野椿。怜名はそのプロトタイプにあたり、"０号"と呼ばれていた。
能力が発現しチルドレンへと巣立っていった玉野椿と違いオーヴァードとして未熟とされた怜名はその後も実験や処置を施され、他のチルドレン達ともまた違った道を辿ることとなる。
度重なる投薬で全身の色素を失い、幾度もの"再調整"によって感情も失われつつある。

プロジェクトについて

強力なオーヴァードを人間の手で作り出そうとする計画。
ピュアブリードがクロスブリードより威力の高いエフェクトを使うことは知られているが、この計画はその中でも特別に強力な｜超血統《フルブラッド》を人工的に作り出す研究だった。
研究の責任者は天風博士。怜名の父その人である。
彼女が０号なのは、このプロジェクトを始動させるにあたり目に見える説得材料が必要だったためで、実際研究の初期段階では怜名に微弱ながらエフェクトが発現しオーヴァード化に成功、研究規模の拡大を取り付けた。
しかし、まだ年端もいかない怜名や同年代の子どもを集め行われた実験の結果は芳しく無く、唯一成功例と言える玉野椿を除き、その多くが死亡または再起不能、よくて微弱なエフェクトの発現に留まった。
追い込まれた博士はついには妻のお腹の中の胎児にまで手を出したがこれも成功せず死産、彼女はそれを苦に自ら命を絶った。
結局超血統どころか玉野椿の再現も叶わず、プロジェクトは無期限凍結となった。

プロジェクトのその後

天風博士はそこから暴走とも言える勢いで新たな研究に邁進した。
そのたびに怜名は実験に曝されていったが、幸か不幸か怜名はそれに耐え、そして徐々に力をつけていった。
転機となったのは人工賢者の石を生み出す研究。世界中で行われ未だに成功例のないこの研究は当然困難を極め、天風博士も"紛い物"を作ることしかできなかったが、この紛い物――｜愚者の黄金《デミクリスタル》が怜名に適合。本物には程遠い性能ではあるもののエフェクトの効果は増幅され、ついに並のオーヴァードに匹敵する力を手に入れた。
しかし、所詮紛い物。研究としては失敗であり、全てを捧げてきた結果がコレではと精神を壊し、博士は廃人同然となってしまった。

またこれを受け、怜名の所属は一時的に霧谷直属へと移り、エージェントとして任務にあたる日々を過ごしている。

能力

玉野椿同様、爪を糸のように変形・伸ばして戦う。
玉野椿がピュアブリードであるのに対しクロスブリードである怜名はエフェクト効果に劣るが、実験の末手に入れたソラリスの薬効や愚者の黄金によるエフェクトの増幅で補っており、その効果を限界まで引き出せば一瞬だけなら椿を遥かに上回る力を発揮する可能性を秘めている。
しかし、その代償に体への負担は大きい。

裏話

糸使いとして蚕がモチーフになっている。コードネームが蚕に由来してないのは玉野椿が"シルク"スパイダーだから。

名前の由来

『天風』……縦書きにすると、天と虫の間を檻のようなもので隔たれた形になる。「蚕」の字よりも飼われている様子が強調されている。と同時に、天の風に乗って飛び立ちたい願いでもある。なお、実在しない苗字の模様。
『怜名』……怜は「零」から文字を変えた『零』の『名前』で文字通りナンバー０。「怜」の文字には賢い・聡いなどの意味の他に"あわれむ"の意味もあったため選択。
『Scratch』……擦過傷ではあるが擦り傷というより引っかき傷のこと。徒競走などで地面を引っ掻いて線を引きスタートラインとするところから、「from scratch」で「ゼロから」という意味になる。能力の糸で相手に与える傷や、擦り傷程度で任務を完遂する能力、そして一度失敗作になった者が生まれ変わってまた「ゼロから」やり直すなどの意味が込められている。

セッション履歴