左目が複数回の改造によって50m先の標的も見抜ける程。右目はRBによる浸食が進み光合成を行うことが出来る。普段は見え方が違うので左目を包帯で覆っている。人間のモノではない瞳になってしまっているが、本人の身体の内側の方が酷い有様になっている。
肉体には自我が希薄な植物型のレネゲイドビーイングが寄生しており、肉体や脳に致命的なレベルで浸食しており、内側から植物が成長し這い回る不快感にも襲われている。
侵食によって脳が活性化し年齢不相応の知能を、過酷な環境と戦闘によって熟練兵士のような精神性を取得している。ただし、精神性には12歳相応な部分も存在し、甘いものを食べて顔が綻ぶといった事もある。
複数回もの無謀な改造で耐えず激痛が肉体を襲っているが、改造で身体に埋め込まれた機械部品によりその激痛や不快感の中であっても通常通りの活動が行える様になっている。
尚、この改造計画については中途で頓挫しており、そのため本来必要な左腕部内蔵武装の開閉機能やメンテナンスの為の痛覚遮断機能が搭載されておらず、1回1回肉体を切り開く必要があり、体内の虫も零れ落ちる為メンテナンスは1人だと長時間掛かる。

UGNのとあるホームの出。6歳の頃に両親を早くに事故で亡くし、レネゲイドの力に目覚めたが幼かった為にホームへと預けられていた。当時8歳であり、ホーム自体は、他とは違って戦う力のない子供のオーヴァード達を集めた場所であり、UGNの穏健派によって経営されていた。
しかし穏健派が暗部に暗殺され、ホームが丸ごと、そこにいた子供達すら暗部の所有となる。
暗部によって人間兵器を生み出す実験が日夜繰り返され、全ての子供達が平等に行われたが、たった1人彼女だけが他の子供達を犠牲にしないで欲しいと頼み込み、数倍の量の実験を受け続けた。
しかし、そんな献身も虚しく子供達は数を減らしていき、ホームの子供達はすっかり使い潰された。
彼女には才能が高く、長く耐えたがそれだけであり、ゴミ箱へ捨てられた。

自我が崩壊しかねない程の激痛により本来の優しく明るい性格は無くなっており、心に穴が空き、他者の感情を理解出来ても共感出来ない。「生存欲求」が特筆して高い。
自身が壊れている、一線を超えていることは理解しつつも、それを元に戻そうというつもりはない。
倫理観と生死観が非常に摩耗しており、咄嗟の時には当然自分自身を優先する利己的な性格。
普通なら発狂死する程の激痛に晒されながらも、平然と会話を行ったり自らの「メンテナンス」を行ったりする。

肉体に寄生している植物型のレネゲイドビーイングの抑制を解放し、全身の感覚機能を増大させる。
武器である銃と肉体が神経的・肉体的に直結しており、弾丸はRBが生成した特別製の種子を放つ事で弾切れの問題をクリアしている。
肉体に掛かる負荷と激痛も増大するが、機械制御により攻撃には一切支障は出ない。
更に侵蝕率が増加すると武器である銃へ多大な負担が掛かるが、その自壊する程の衝撃を自身が肩代わりする事で自壊を防いでいる。
また、エンジェルハイロゥ特有の隠密能力により主な任務は暗殺。

自我が希薄かつ、寄生生物であるため宿主を積極的に傷付ける事は無い。尚且つ宿主からの格付けと宿主の有用性も相俟って出来るだけ長生きさせようとしている。
しかし自我が希薄であるためか、本能の面が非常に強い状態で浸食と虫の生成を行い今に落ち着く。
植生としては冬虫夏草に近いが、異なる点として宿主と自身の防衛の為に虫を生成する。この際生み出される虫はゴキブリとダンゴムシの交雑種を思わせるような出で立ちであり、無数の脚を持ち俊敏さを備え、自身を弾丸のように丸めて加速し攻撃する。

飲めば飲むだけ全身が痛む投薬、身体の中身をぐちゃぐちゃにされる改造、植え付けられた植物が体の中に虫を吐き出す不快感。
ずっと、ずっと、死にたい、死にたくて、死にたくてたまらない、なのに。
「おねえちゃん、しにたくないよ」「おねえちゃん、わたしのぶんまで、いきて」「おいしいごはんたべたいよ」「いきて」「しにたくない」「いきて」
「「「しなないで」」」
そうだ、ワタシは生きなくちゃ、いけないんだ
生きて、生きて、生きて、生き抜くんだ
いつか本当に、この思考すらも、痛みと不快感に食い潰される、その時まで
……そうしたら、楽に、なれるのかな

いつからだろう。命を奪うことに、殺す事に何も思えなくなったのは。何も感じなくなったのは。
実験で私が護るべきだった子と殺し合った時？
実験所で初めて一般人を手に掛けた時？
痛みと不快感に身体を掻きむしって絶叫した時？
もうそれらすら、霞掛かった様な感覚で上手く思い出せない。護るべきだった、という事は覚えているけれど、何故護るべきだったのか、その理由もそう思い立った感情も、何もかも消えてしまった。
人の命を奪うことは悪いことの筈。世間一般的にはそう。だから、なんだと言うのだろう。倫理的にも道徳的にも許されないというのは分かる。一般論として、私が殺したその人にも家族が居るのだろう。
だから、何なのだろう。それが命令であり、私が生きる為にしなければならない事で、生きる為には邪魔なのだから。
であれば、殺すのが普通だ。それ以上もそれ以下もなく、何も思えないし何も感じる事が出来ない。
壊れている、のだろう。壊れてしまったのだろう。
……だからこそ、イツカノヤクソクも忘れ果て、消え果て、ただ生きる事だけに執着する。