「失ったものを悲しむ気持ちも、家族がいなくなった気持ちも、痛いほどわかる。でもかけられる言葉なんて一つもない。」

おかしい！なんでかい兄とあい姉がいるの！？
死者と会えるなんて眉唾物だと思ってたのに！しかもなんかずっと生きてて旅行に来てる！？おかしすぎる！なんで！？
薫も見つかんないし…無茶すんなっていったのに。バカ。
もしかしてよくわからないことに巻き込まれてる？
とりあえず、薫は見つけないと。死んでいたとしても、遺体はどうにか持ち帰りたいな。

ナイチンゲールはきっと、この島に長居してしまったあたしだ。
だから早く帰らないと。
恋しくなる前に。

あい姉とかい兄はあたしのせいで死んだんだ。
あの日、夜遅くなったからって二人を呼び出して、迎えにきてほしい、一緒に帰ろうなんていったから。
一人で帰ってたらあたしだけジャームに襲われてそれでも生き残ってたはずなのに。
だからあたしがあたしのせいで死んだ。
目の前で殺しちゃった二人がずっとそばにいるの、辛いよ。

薫、どこいったんだろ。

「どうして失った大切なものを守るために、誰かの大切なものを奪うんだろう。ただただ悲しいな。」

みんなの前で大泣きしちゃった。年上なのに恥ずかしい。
泣き虫だって思われてないかな？事実、泣き虫なんだけど。
誰も何も言えないってわかってて全部言葉にしちゃった。悲しいな。どうしてこんな辛くて悲しい思いをしなくちゃいけないんだろ。
あたしのまわりに誰もいなくなっちゃうのかな。嫌だな。死なないでほしいな。
誰の命も奪われていい理由なんてないんだよ。

でもちょっとスッキリした！
吐き出さないとやってられん！
全部全部、酷い頼み事してきた晴朗さんにぶちまけてやる！
あ、でも、流星はどうするんだろう。縁切り、するのかな。

晴朗さん、あたしに流星のこと頼んだの、間違いだったって思ってないかな。
流星、どんな顔してたんだろ。泣いてて見れなかったや。
悲しいを言葉にできないのも悲しいから、悲しいくらいは教えてあげたいな。
悲しいも苦しいも、言葉にして吐き出すだけでちょっとマシになるから。

あたしが生きてる人の中で一番年上だからしっかりしないと！
叶夜もみおみおもきっと苦しい。みんな苦しい。
だけど一人で持たなきゃいけない理由なんてない！大事な人を亡くした経験を、体験を、言葉にして共有して、ちょっとでも共感して、懐かしい話があるんだって、言い合えたら。なんてことを思い描くけど、あたしにできるかな？
兄貴姉貴たちみたいにやらなきゃ。あたしが一番おねえちゃんなんだから！

にしても民泊のこの部屋全員死人！でもそんなの誰にも言えない。あたしだけの秘密。
少しでも長くなんて、望んじゃいけない。
だから縁切りの祭で縁を切らなくちゃ。
また泣いちゃうかもだけど。でも、どこかでバイバイしなきゃならないの。
もう元気でなんでもないふりするの、疲れちゃった。本当は泣いて縋りたいの。

それでも託されちゃったから。最後まで見届けなきゃ。絶対にこの島の真実に辿り着いてみせる。

<次回予告>
ついにやってくる縁切りの祭！全然気持ちの整理がついてないのに、叶夜と流星を殺してくれたら薫とずっと一緒にいれるって！？
あたし、どうなっちゃうの〜！？
えっほえっほ、あい姉とかい兄に大好きだよって伝えなきゃ

「伝えたいことは少ししか伝えられなかったな」
「もう、何が起こったの！？大変だ〜！」

お祭り、いっぱいわがまま言えて楽しかったな。
みんなには申し訳ないけど。あたしが独り占め！
これで本当によかったんだよね。きっと、よかったはず。こんなに悲しい思いをするのはあたしだけでいいもん。
あたしね、これでわがまま言うの、もうやめるんだ。
だから、立派に大人になったあたしの姿、お空の上で見ててね。

あたしがしたいことたくさんしちゃったけど、かい兄とあい姉呆れてなかったかな？
二人はあたしが上げたやつ、もっていってくれたかな？
そうだったらいいな。あたしができる最初で最後の贈り物。
…遺言、ききたかったな。

薫もふゆっちも当たり前〜みたいな顔しているし、仲良くしてるし。
なんだか顔見るのがしんどくなっちゃった。ごめんね、二人とも。もっとあたしが早く気づけてたら助けられたのかな？
…なんて考えても、きっと二人は喜ばないから。
だから二人が残したもの、ちゃんと使って秘密を解き明かして見せるよ。
それはお話しできないのは、やっぱりちょっと辛いかも。

小春も小春でもっと早く素直になれば良かったのに。
最後にそんなこと言ってもふゆっちには届かないよ。だって死んでるんだもん。
小春もきっと大変だったのかもしれないけど、でも、相手に伝えたいことが届いてなかったら意味ないじゃん。
あたしといっしょでぶきようなやつ！

六白兄妹は…その…ちょっとこわすぎたカモ…
無我夢中で顔面蹴っちゃった！ごめん！思ってないけど！

それにしてもほんとFHって余計なことばっかりするんだから！
まさか学校であった頼りないセンセーがクロックメーカーだったなんて。
人は見た目によらなすぎる。
全部全部こいつのせいなんだから！とにかく、悪い奴はやっつけないと！

<次回予告>
よくわからない空間で目が覚めたあたしたち。
どうやらここがオモイデ様の中…ってどういうこと！？
記憶の迷宮って言われてもなんもわかんないよ〜！

「伝えるつもりなかったのに。なんでまた話せちゃうかなぁ」
「でも、みんなが思ってたこと知れて」
「もうまじでムカつく！！！」

迷い込んだオモイデ様の中。そこにはたくさんの人の記憶、想いがあった。

死ぬ前には気付いてないことも自覚してるって、もしあたしが死んでたらどんなことを感じてたのかな。
…なんてね。あたしは生きてしまってるんだもの。だから死んだ人の想いを拾い上げて、伝えたい人に伝えなきゃ。

生前に比べて穏やかな人がいた。歪まされてしまった想いがこんなにあるなんて。
絶対に許せない。

薫は相変わらず！謝っても許されることじゃない、というか。薫に生きててほしかったな。
代わりにピューリッツァー賞とってやるんだから！危険なところに潜り込むのは任せて。勉強ももっと頑張らないと。
会いに来てくれて嬉しかったって。だからこそ、かい兄とあい姉に会いに行った方がいいって。
そうなのかなぁ？

ふゆっちも相変わらず！なんだかみんな、なんでもないように振る舞うというか。整理できちゃってるのかな。
あたしはぜんぜん整理できてないっていうのに。ずるい。
生まれ変わって会いに来てくれるの、待ってるね。
小春っちと一緒にまとめて妹にしちゃう！それで一緒に東京の街に繰り出して、一緒にたくさん遊ぶんだ。
楽しみにしてるね！

かい兄とあい姉。会いたくなかったの。
泣いちゃうから。もう会えないってわかってるから。最後は、あたしは笑顔で楽しい記憶でバイバイするんだって。
お祭りの時に決めてたから。
だから嫌だった。どうしようもない甘ったれた自分が出てきて、甘えて泣いて、離れたくないって言っちゃうから。
あたしのせいで死んだんだってこぼしちゃうから。
違うってわかってる。わかってるけど、つい言っちゃう。困らせてごめんなさい。あたしのせいでごめんなさい。
ごめんなさい。
ぜんぶぜんぶ本人たちに伝える気もなかったけど、やっぱり吐き出したらなんかすっきりした。
怒ったって聞けてよかった。あたしが間違ってるってわかってよかった。

贈り物ありがとう。選んでくれてありがとう。大事にする。
大事にするものたくさん増えちゃった。今までのもの、全部全部大拙にするね。大好き！
ほどほどに、頑張るから。会えてよかった。心配かけてるだろうから、みんなにも会うようにするね。
あたしの最後のわがまま。これが本当に、最後のさいご。
抱きしめてくれてありがとう。これで本当に最後の最後。暖かくて力強くて大好きな温もり。もう二度と会えない温もり。
ばいばい。家族になれてよかった。

これで全部ぜんぶ、断ち切れたかも。

美作先生…クロックメーカーめっちゃ腹立つ！
なになに！？ごとき！？一般人ごとき！？その想いがなければあたしはここにきてないし、たくさんの人の想いがあってやっとあんたたちのプランが進むっていうのに！？
あたしがバカにされるのはいいよ、だってバカだもん。でも人の想いを否定するのは許さない！！！
本当にサイテー！さっさと死んどけー！！！

<次回予告>
美作重陽ーーークロックメーカーを倒したと思ったら、今度はプランナーが登場！？
しかもここまでもプランのうちって、どれだけ頭いいの！？
地球全体で黄泉がえりが起きちゃうなんて大変！もしかしてあたしたちが止めないと、地球がやばいってこと！？
とにかくプランナーを止めないと！
次回、「Stand by Me」
あたしたちにはそばに大切な人がいてくれてる。そのプラン、全力で止めてやるんだから！

ーーーーーこうして、オモイデ様をめぐる長いようで短い戦いは幕を閉じた。
面影島で得たものはそれぞれ何だっただろうか。
奇跡的に出会えた、失った大切な人たちから、宝物をもらえたのは確かなようだ。
思い出を抱えて、新たな思い出を持って私たちはいつか空へと昇るのだろう。

Life Gose on
私たちの人生はずっとつづいていく。
短い夢から覚めて現実を生きていく私たちは、まだまだ思い出を紡いでいかなければならない。

だけど。
Stand by me。たとえ死んだとしても。思い続ける限りそばにいてくれる。
ずっとずっと、見守ってくれている。