生まれた家は街で1番大きな教会で、彼女はその跡取りとして育てられた。
「身体に障害を持つ子供達に手を差し伸べる」ことを標榜したその教会では言葉通り、四肢の欠損がある子供などが養子として集まり、唯一の実子である彼女は「姉さま」として彼らに親しまれ、憧憬の的であった。

教会という表の顔を持ちながら、その実態はFHの資金源かつ研究材料を集める場となっていた。
彼女はいずれ優秀なFHのエージェントの一角となるため、当然の如く覚醒させられた。そのことに何の疑問も持っていなかった。
成長するにつれて、FHという組織がどういうものかを知り、そして使い潰されていく自分の"きょうだい"たちをただ見ていくうち、自分はこのまま此処にいていいのか、自分の為すべきことは他にあるのではないかと悩むようになる。
1年ほど前のある日、彼女の中の何かが「こんなのはもうたくさんだ」と叫び、気がつくと手にはいずれ自分に継がれるはずの聖剣があった。さっきまで住んでいたはずの教会は今にも崩れそうで、両親も、きょうだいたちも、おそらくUGNであろう者たちの手によって襲われているところだった。
これでよかったんだ。こんなところにいるくらいなら、あの子たちにとってこれがいちばんの救いだっただろう。
持っていた大剣を引きずりながら、彼女は振り返ることなく、一歩一歩教会の外へと踏み出していった。

逃走後は駆けつけてきたUGNに保護され、半ば監視下に置かれながらUGNのエージェントとしても徐々に活動するようになる。
そこで出会ったララとは性が合ったのか、同僚かつ友人として仲良くしている。