容姿・経歴・その他メモ

「僕は…人間ごときに、名乗ってやるほど低俗な存在じゃない」
「お前らが僕に協力してるんじゃなくて、僕がお前らに協力してやってるんだからな。そこを勘違いするなよ」
「僕に役割を与えたやつがいるって言うんなら。どうして、いまさら心を与えたんだよ…！」
「さくら、って知ってるか。僕の恩人、大切な人だ。見つけるために協力しろ、人間」


・傲慢で幼いかみさま。すぐドヤるが頭も弱いのですぐに言い負かされてる。
・レネゲイドビーイングとして実体を得てから、ずっと一緒にいた母のような存在がいた。さくらというその女性は、彼が8歳になった日に忽然と消えてしまった。それを探し出して、彼女とともに世界を見ることが彼の夢。
・他のPCはさくらを探すための手段だし、さくらを探すために協力してやってる…と言い張っているが、実際は逆。情報収集もできないしただただ稚拙にフルパワーで攻撃してるだけ。「俺たちがお前に協力してやってるんだろ？」と言ってやれば軽率に激昂するが、正論なので言い返せない。おろか。
・にんげん8年生なので体の使い方もまだどこか覚束ないし、感情とかいうものは正体すら分かっていない。よく自分の気持ちに振り回されている。
・頭を撫でられるのが好き。あと甘いものも好き。団子があればだいたいついてくる。
・元が雪の神様であり、現在の能力も雪や氷を使ったもの。レネゲイドビーイングになった影響で神だった頃より力が弱くなっており、もどかしく思っているらしい。
・かつては吹雪や雪崩を起こして増えすぎた生き物を間引きする仕事をしていた。当時は自己としての意識がほとんどなく、無作為な自然現象に少しだけ恣意的なものを加えた程度の存在だった。それでも当時自分がしていたことは記憶として残っている。
・人間のことは好き。でも、人間の気持ちを理解し、存在を近く感じる度に、自分が何も知らずに殺してきた人間のことが頭によぎって苦しい。
・実体や心を持ち人間を謳歌している反面、悲しみや苦しみ、後悔を覚える感覚に慣れていないし怖いし、心を得て人間に近づいたことを恨んでいる。いつか自分の罪を受け入れて乗り越えられるといいね。
・さくらがいなくなった場所に、和紙で包まれた耳飾りが一つだけ残されていた。御神体から削り出されており、おそらくさくらが作ったものであることは分かっている。縋るように、その耳飾りを肌身離さず着けている。


【過去】
もともとは雪を司る存在だった。神というよりは災に近く、生き物の増えすぎた箇所に吹雪や雪崩を起こして間引きを行っていた。また、そこに意識はほとんどと言っていいほど存在せず、彼の意志と言えるものはただ吹雪を起こすべき場所を見つけてそこに起こすくらいの微かなものであった。
後の世、とある村の人々が社を建てた。雪解け水の恩恵を受けている土地の人々が、その水の源である雪山に建てたものだった。神の与える潤いに感謝し、これからも村に水を届けてくれるように。そう願って作られた木製の御神体に、彼が宿った。
人々が彼を知っていたわけでもなく、彼が人々に福音を与えたのでもなく。ただ人々が求めた神格に彼が合致しており、それ故に彼はその社に絡め取られた。
彼の仕事は必要な場所に向かい、滅ぼすべき存在を滅ぼすこと。しかしながら、社という重い枷を付けられた彼は、移動することができなくなってしまった。
その地に留まった雪雲は、変わらず雪を降らせ続ける。しんしんと、しんしんと。いつしかその山は雪不止と呼ばれるようになり、山のすべてが凍りついて雪解け水もなくなってからは村の人々もいなくなった。
かくして、彼は凍りついた社へと取り残された。本来の仕事を奪われ、生命に一切触れることのない極寒の世界。そこに閉じ込められ、彼は少しずつ非神へと変容していった。秩序を保つ神としての役割を忘れ、ただその力で無闇に生き物を氷漬けにする化け物へと。
それから数百年。周囲の山を5つほど呑み込んだ彼の聖域にも、レネゲイドウイルスが入り込んだ。白銀の死の世界の中、唯一にして強力な彼はレネゲイドウイルスにとって絶好の宿り先だった。周囲のレネゲイドウイルスは全て社へと集まり、レネゲイドビーイングの起点となる特異点が急速に出来上がっていった。
そして、九年前。社の前に一人の少女が現れた。さくら、と名乗った彼女は、久しく見ていない人間だった。周りも見えない猛吹雪の中、さくらは社に手を当て―――次の瞬間、社を囲うように美しい桜の木が咲き誇った。
ましろの世界の中、春の麗らかな陽光のような熱が満ちる。桜の木の生える場所には雪解けが訪れ、残雪と土がぐしゃりと混ざる。
そして、桜吹雪と風花に連れられるようにして彼は現れた。そろりと見開いた瞳は凍てついた蒼。ゆるり、ゆるり、周囲を見渡して、そこでようやく彼は永い生涯で初めて人間と視線を交わしたのだ。
集まっていたレネゲイドウイルスにオーヴァードの力が反応した結果として起こった、レネゲイドビーイングの"誕生"であった。
それから、さくらは毎日社へと来るようになった。実体を持ったのが初めての彼は何も分からず、赤ん坊に等しい存在であったからだ。まっさらな彼に、さくらは一つずつ様々なことを教えた。人と言葉を交わすこと。地に足をつけるとひんやりとしていること。人の手はあたたかいこと。食事は幸せだということ。雪の力は自分で制御できること。生まれたての彼にとってそれらはすべて新鮮で、少しずつ少しずつ彼はさくらに笑顔を見せるようになっていった。
変化はそれだけではない。最初の日の桜はさくらがいない間も咲き誇ったままで、さらにさくらが訪れる度に少しずつ雪解けの範囲を広げていったのだ。5年の月日が経つころには、彼が氷漬けにした土地のほとんどは再生し、木々や草花がふたたび繁茂しはじめていた。
そうして、過ごして。彼が"生まれ"て8年になるその日、さくらは言った。自由にならないか、と。
彼はさくらの物語から、外の世界に興味を持ち始めていた。足枷から放たれ、またもう一度世界を飛び回ってみたいと思い始めていたのだ。今度は滅ぼすのではなく、生きとし生けるものを愛するために。
だから、彼は二つ返事で了承した。それから二人は社を開き、中の御神体を取り出した。そしてその心臓部を穿ったのだ。ぱきり、と音がして、彼の足元から枷が消え去った。これで、外の世界に出られることが。…彼女の隣に、並び立って歩けることが。彼にとって最上の喜びだった。幸福だった。
今すぐにでも走りそうな彼を、さくらは止めた。下界まで歩くのだから、今日はもう眠りなさい、と諭して。大人しく彼は従った。時間ならこれからも沢山あるのだし、夜の山の怖さはさくらから散々聞かされていたのだから。
そして、彼はさくらと見て回る世界を夢見ながら眠りについた。次の朝、彼女がいなくなっているとも知らずに。
大切な人を失った彼は、UGNの庇護下で今日も桜を探し回る。人間などすぐに死んでしまうことを知っていながら、それでも生きていることを愚直に信じて。

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