容姿・経歴・その他メモ

「判決。容疑者を無実とする」
「先生！ この度は本当にありがとうございました！」
「いえいえ、どうせ私でなくてもこんな事件は無罪でしたとも」

　某市某所にて、メディアに囲まれる依頼人を眺めつつ帰路に就く。今日も面倒な依頼だった。

　自分は昔から感情の起伏が表に現れない体質だった。それが原因で高校時代にはクラスぐるみでいじめのターゲットにされた。
　あんな陳腐な罠に引っかかったのは人生の汚点だが、その分徹底的に報復した。
　そんな私が今や弁護士として人のために戦っている。

　「はぁ、なんでこんなことやってるんでしょうね私」
　「先生！ 早く来てくださいよ！ 定例会はじまってます！」
　
　ふと声が聞こえたので視線を上げると、都市ビル五階に収まっている”アルテミス”が窓から叫んでいる。
　UGNがらみの裁判という面倒ごとを持ってきた張本人はいつまでたっても帰ってこない自分にしびれを切らしたらしい。
　
　「私以外に〇〇先生も急用で欠席なのでしょう？ 別にこれくらいの遅刻で目くじらを立てないでくださいよ」
　「・・・怠け者、昼安藤、陰湿帽子」
　「聞こえていますよ。ほら、表の仕事も終わったんですから、裏のほうもしっかりしましょう」

　弁護士バッチをＵＧＮ支部バッチに付け替えて。彼は今日も口を開く。

　

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