名家の血を継いで生を受けたが、妾の子ということで冷遇された。当の母親は自分を生んだ時に死んだらしい。
らしい、というのは、生家での記憶が曖昧だからだ。
辛うじて残っている記憶の欠片はどれも碌でもないもので、微かに覚えているのは暴言、冷笑、暴力、そして――熱。

蘇芳の記憶は幼少期のある時点で一度途切れ、そして再び始まっている。
次の記憶はUGNに保護された後だ。壊滅した裏組織にいたらしい。
何があったのか、なぜ自分はそこに居たのか。何も分からないが、大方捨てられたのだろう。
覚えていないということは、覚えておく価値も無いということだ。靄の向こうに捨てた記憶に興味はない。

保護してくれたのは、＊＊支部の支部長だった。それから数年は、蘇芳の人生の中では穏やかな日々だった。
しかし、或る事件によって彼はジャーム化し、蘇芳は彼をその炎で葬った。

胡蝶市の支部長になったのは、今から５年ほど前の話だ。

蘇芳は木の名前。心材や莢から赤い染料が作られる。
花蘇芳のうち、地中海付近原産のセイヨウハナズオウは、イスカリオテのユダがこの木で首を吊ったという伝説からユダの木とも呼ばれている。
蘇芳色は黒味を帯びた赤色。今昔物語では凝固しかけた血液の表現にも使われている。
古くから着物の染にも使われており、梅、躑躅、竜胆、椿など、夏以外の襲によく使われる色。

・UGNボディアーマー/防具/ドッジ-/行動-/装甲値8/購入12/常備化18（R2-p189）
・鎖帷子/防具/ドッジ-1/行動-1/装甲値8/購入10/常備化16
・応急手当キット/使い捨て/購入8/常備化3/メジャーアクションでHPを2D10回復。戦闘中使用不可。