容姿・経歴・その他メモ

記録一日目
　舞浜のテーマパークで任務を遂行していたエージェントからRBを発見した旨報告があり、当ラボー日本支部研究部アールラボで保護・観察することとなった。
　到着したRBの外見は身長130cm程度、女性、痩身で体重……測定器は0kgを示したが、当職が抱えた限りは「半ドン」としか表現しようのない重量だった。
　彼女ーと仮にしておく。彼女の個体名を訪ねたところ、「土曜日と重なった祝日」と名乗った。彼女の出自、起源については要領を得なかったものの、ひとまず彼女の個体名は「土曜日と重なった祝日」ということで決定した。言っていても書いていても悲しい。

記録二日目
　彼女は就寝し、その間悪夢をみている兆候がみられた。起床した彼女は「涙を流し」ていたため、その理由を聴取した。結果は以下のとおりである（録音から文字起こし。原文ママ）

「あの、えっと……声がいっぱい聞こえて、みんな『なんで土曜日と被るん』っひっ…『だよは～つっかえ』『土曜』えっ…ぅう…『日だろうが祝日だろうが』……ううぅ……『仕事なんだが？？？』『っつーか土曜振替ねーのかよ』って言ってて……なんだか、苦しくなって…。土曜日と重なった祝日、いらない子？」

　聴取した結果、2つの仮説が立った。
　1つ目、彼女は我々人間がもつ感情の「悲しみ」と同様又は親しい感情を持っている可能性がある。
　2つ目、彼女は何らかの概念、それこそ彼女が名乗った「土曜日と重なった祝日」を起源としている可能性が高い。悲しいのでなるべく彼女の個体名は書きたくないのだが。

記録七日目
　実験が連続していたため、彼女の休養も兼ねて「発掘恐竜チョコ」という型抜き駄菓子を与えた。彼女は恐るべき集中力と精度を以て見る見るうちに恐竜の骨を発掘していた。
　今まで私が発掘中の彼女に声を掛けても一顧だにしなかったが、発掘中にエージェントから「都築京香」に関する報告があり、その名を耳にした彼女は何かしらの精神的な影響があったようであり、ティラノサウルスの化石を割ってしまっていた。当職はブラキオサウルスを割った。
　化石を割ってしまった彼女は悲しそうな表情をしていたが、パフ入のホワイトチョコレートを一口つまむと笑顔になった。
　わかる。割れてしまったことは悲しいがそれはそれとしてチョコレートは甘くて美味しい。正確には準チョコレートだが。あと発掘している最中のパフの「サクサク」とした感触も何やら土から化石を発掘しているような気分で楽しい。差し引き”プラス”だ。

　上記の観察から、2つ仮説が立った。
　1つ目、彼女は「都築京香」と何らかの関係を持っている。
　2つ目、彼女は「悲しみ」に加えて「喜び（または美味しい）」と同様又は親しい感情を持っている可能性がある。

記録二十一日目
　本格的に彼女が発現する能力の試験が始まった。肉体試験、射撃試験、RC、情報収集を中心とした基礎的なものだ。
（中略）
　試験の結果、彼女は自身が任務を遂行するよりも、他者への支援能力に秀でている傾向が見受けられた。
　「試験2.1.1」にも記載のとおり、徹夜続きで疲弊していた研究員達に活力を与えていたことがその証左であろう。
　しかし、その能力には彼女自身を犠牲にするものも少なくないため、能力の使用にあたっては注意が必要だろう。

記録二十八日目
　彼女に天体観察を行ったところ、月齢と僅かに輝く星々から　現在の日付と時刻を概ね言い当てた。
　彼女の発言は以下のとおりである。

　「えっと……あそこが北極星でしょ？それから、あれがこぐま座としたら……左羽根がきれてしまっているのは白鳥座！……えっ今何時かって……う～ん、9時になるちょっと前？えっなんで分かるのかって……『覚えてる』から？」
（後略）

記録六十七日目
　前日に引き続き、彼女の能力の劣化が進んでいる。
　時折「あと…‥日」と日数を数えている。10日間計測したところ、1日の経過につき、彼女が発言する日数が1日減少していることが明らかになった。
　彼女の活動限界として考えていいだろう。
（後略）

記録七十八日目
　彼女の任務への登用について日本支部長から打診があった。
　（後略）

記録八十七日目
（前略）
（中略）
（後略）

記録八十九日目
　彼女が任務へ出立する日だ。
　全員が無事に帰投することを祈る。


ーUGN日本支部　研究部アールラボ　ある研究員の日誌より抜粋。

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