彼女の内向きな性格を色濃く反映した能力は、『領域』で空間を満たし
自らのパーソナルスペースとする、歪な自己暗示によって成り立っている。

彼女の能力によって相手が直接、間接共に受けるダメージは皆無と言っていいだろう。

しかし、次第に、漠然と、支配されていると本能は感じ取るかもしれない。
大きな体で小さく震えるその女から。

神経が濃霧に包まれているような感覚で、彼女への攻撃は空を切る。
視界が奪われた訳でも、嗅覚が封じられた訳でもない。

気付いた時には、彼女の非力極まる小突きが的確に急所を抉っていた。


相手が意識を手放す瞬間、見下ろすキーラは不敵な笑みでぽつりと言う。


「痛くなかったよね……」

UGN職員であるイギリス人の母と何も知らない日本人の父の元に生まれる。

母は20年ほど前、探索中の遺跡から起源種(オリジナルレネゲイド)に感染しており
オーヴァードとして覚醒した後キーラを出産している。

そしてキーラもまた起源種(オリジナルレネゲイド)として力を宿しているのだった。

生粋のあがり症で友達作りが苦手。人との距離感が近すぎたり遠すぎたりする。

自己肯定感に乏しく、UGN内でも「能力を活かしきれていない」「怯弱さが度を過ぎる」等
まことしやかに囁かれており、キーラも自身の能力によってそれらを直接耳にしてしまい
その気質に拍車をかけている。