何の変哲もない山間部の田舎町で生まれ育った。

街までは車で40分以上、電車は1時間半に2両編成のものが1本。
学校は小中同じ校舎で、どの学年も1学年10人ほど。
夏は虫の音で静寂を知らず、冬は雪に閉ざされた。
そんな、ひたすらに緑が豊かで、平凡でのどかな町。

明るく快活な母は、私が家の手伝いをサボったり、悪い事をすると雷が落ちたように怒った。怖い。
元気で頼もしい父は、庭に憧れのハンモックを作ってくれた。完成してすぐに二人で乗ったら壊れてしまったけれど……。
兄はいつも意地悪ばかりだし、勉強をしていると横からすぐ『違うよ』と口をつっこんできた。それでも悲しい時は静かに傍にいてくれた。
友人の家に遊びに行った時に出てきたケーキの味、一緒に見た夕方アニメのエンディング曲。
また明日ねと手を振る別れに伸びる陰。

こんな場所では自然と噂話がせいぜいの娯楽で、人によっては窮屈にも思える町だろう。
それでもトリスは、家族や友人のいるこの場所を何よりも愛していた。

人生の大きな転機は突然訪れる。
それは大雨が降りしきる夏の日のことだった。

7歳の頃、生まれ育った町で起こったレネゲイド災害によって、兄以外の家族や親しい友人を喪った。
理性なきジャームと化して殺戮の限りを尽くす知人達や、物言わぬ躯となった両親の姿を眺めることしか出来なかった兄妹は――大雨降りしきる町のなか、ただふたり息を殺して助けの時を待った。

夏休み最後の日の長い長い夜が明けて――どこかで戦うような音が聞こえて――また静かになって、「もう大丈夫だよ」と知らない人に抱えられた。
破壊の跡と流入した土砂で町はすっかりめちゃくちゃだった。
兄が大人と何か話をしているのを視界の端に捉えながら、トリスは眠りに落ちていく。
どうかこれが夢でありますように、と。

この災害でオーヴァードとして覚醒していた兄妹はその後、UGNチルドレン生として共に日本支部に身を寄せることになる。

兄に支えられながら穏やかな日々を過ごしていたが、数年後に兄がジャーム化。
それを間近で見ていたトリスは逃走を止めるどころか、兄を喪いたくないあまりに阻止しようとした他のエージェントを妨害している。兄は優しいから決して人を傷つけないはずだと――兄に大切にされ、ろくに現場も知らなかった彼女は、愚かにもジャームの善性を信じていた。

自分が逃がした兄の手によって起こる事件と、増える被害者。
それらは苛烈なまでにトリスの自己を追い込み、戦士として育て上げた。

今の彼女の目的はふたつ。
ひとつ、レネゲイド災害の阻止、拡大の防止。それに伴う被害者の救助。
ふたつ、兄を討つこと。

ワークス/カバー：UGN系列(アクシズや本部も可)/レネゲイド災害緊急対応班
シナリオロイス：遺産“エレウシスの秘儀”　推奨感情　P:執着/N:憎悪
指定設定：大切な人をレネゲイド災害によって喪っている。

君はUGN中枢評議会(アクシズ)評議員テレーズ・ブルム直下のUGNレネゲイド災害緊急対応班『マルコ』の隊長だ。その権力はレネゲイド災害に関するものであれば日本支部長である霧谷雄吾をも超える。
君は最近世界中でレネゲイド災害を頻発させる遺産“エレウシスの秘儀”を破壊するために追っていた。
君は“エレウシスの秘儀”をＦＨの“マスターレギオン”が所持している事、その“マスターレギオン”が東京へ向かう豪華寝台列車“マリンスノー”に乗っている事を知る。
君は“エレウシスの秘儀”を破壊するため、装甲列車を使った強襲作戦を計画するのだった。

※オープニングで豪華寝台列車“マリンスノー”へ強襲をかけます。強襲の方法は変更しても良いです。
ただ、寝台列車を大きく揺らす程度には荒い方法にしてください。