ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

罅月 雫 - ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

破顔の道化コメディア・デラルテ罅月 雫はづき しずく

プレイヤー:バジリスク

甘ったれたガキ共に教えてやるよ。
本物の『バケモノ』の何たるかをな」

年齢
19歳
性別
星座
牡牛座
身長
162cm
体重
50kg
血液型
B型
ワークス
暗殺者
カヴァー
暗殺者/UGNイリーガル
ブリード
トライブリード
シンドローム
エンジェルハィロゥ
モルフェウス
オプショナル
エグザイル
HP最大値
+-22=1
常備化ポイント
2
財産ポイント
0
行動値
13
戦闘移動
18
全力移動
36

経験点

消費
+4
未使用
0
フルスクラッチ作成

ライフパス

出自 元は一般家庭の出身の彼女は、地域の劇団に所属し、それなりに幸福な日々を過ごしていた。
道化の舞台
経験 「これにて終幕で御座います。拍手と喝采でお見送りください!」舞台は暗転し、緞帳が降りた。
終幕
邂逅 「来訪者」は彼女の最も望んだ事象の上に降り立った。運命に突き動かされるようにして、第二幕のベルが鳴る。
幕間
覚醒 侵蝕値 降りた幕を再び開くためには全てが足りなかった。レネゲイドの力は彼女に舞台を与え、そして「悲劇の主人公」に貶めた。
探求 14
衝動 侵蝕値 「生きろ。観客はそれを望んでいる」幕が上がれば、役者はライムライトに囚われる。
飢餓 14
侵蝕率基本値28

能力値

肉体1 感覚6 精神1 社会1
シンドローム0+1 シンドローム3+2 シンドローム1+0 シンドローム0+1
ワークス ワークス1 ワークス ワークス
成長 成長 成長 成長
その他修正 その他修正 その他修正 その他修正
白兵1 射撃1 RC 交渉
回避 知覚 意志 調達
運転:四輪2 知識:レネゲイド2 情報:裏社会1

ロイス

関係 名前 感情(Posi/Nega) 属性 状態
Dロイス 異形フリークス 《聖痕》を1レベルで取得。成長可能。
簒奪者 雕山 玲奈わしやま れな 執着 敗北感 「アイツに奪われたモンを全部奪い返す。アタシが死ねるのはその後だ」
信頼できない語り手 都築 京香つづき きょうか 信頼 猜疑心 「普段なら、あんな胡散臭い女を信じるヤツの気が知れねぇが…今だけは別だ。…藁でもなんでも縋りたい」

エフェクト

種別名称LVタイミング技能難易度対象射程侵蝕値制限
リザレクト 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 効果参照
(LV)D点HP回復、侵蝕値上昇
ワーディング 1 オートアクション 自動成功 シーン 視界 0
非オーヴァードをエキストラ化
リフレックス:エンジェルハィロゥ 3 リアクション シンドローム 2
組み合わせた判定のクリティカル値を-LV(下限値7)。経験点修正:-10点]
聖痕 1 メジャーアクション シンドローム 0 Dロイス
組み合わせた判定で上昇する侵蝕値の合計を-[LV+2]する。メインプロセス終了時、HPを5点失う。1シナリオに3回まで使用可能。
ウルトラボンバー 1 メジャーアクション 〈射撃〉 対決 範囲 至近 4
攻撃力:+[LV×5+5]の射撃攻撃。リアクション不可。メインプロセス終了時、自身のHPを0にする。自身を対象にできない。1シーンに1回まで使用可能。
崩れずの群れ 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 2
カバーリングを行う。行動済みでも行え、行動済みにならない。1メインプロセスに1回まで使用可能。
擬態の仮面 1 メジャーアクション 自動成功 自身 至近
自らの顔や姿をその場に最も適したものに変化させる。変化を見破ろうとする場合〈知覚〉同士による対決を行う。元の姿にはオートアクションで戻れるが、再び変身するにはこのエフェクトを使用する必要がある。
感覚閉鎖 1 メジャーアクション 自動成功 自身 至近
五感情報を制御し、意図的に外界からの刺激を無視する。ただし、痛覚を断ってもHPダメージを受けなくなったりする訳では無い。

コンボ

Malice into Depth

組み合わせ
《ウルトラボンバー》+《聖痕》+「侵蝕する悪意」
タイミング
マイナーアクション+メジャーアクション
技能
射撃
難易度
対決
対象
範囲
射程
視界
侵蝕値
2
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
6
10
1
27
100%以上
6
10
1
32

「地獄の底で…アタシと踊ろうぜ」

底無しの悪意を込めた炸裂弾を錬成し、自らの身体諸共敵を吹き飛ばす。飛び散った肉片は再生・萌芽し、敵対者を地獄の底まで叩き落す苦しみを与える。
リアクション不可。命中した場合、対象にマイナーアクションで宣言した任意のバッドステータスを与える。メインプロセス終了時に自身のHPが0になる(侵蝕値はリザレクト分込み)。1シーンに1回、1シナリオに3回まで使用可能。

武器常備化経験点種別技能命中攻撃力ガード
射程解説
Quetzalcoatl GHOULケツァルコアトル グール 25 射撃 〈射撃〉 0 10 視界 元データ:デアフライシュッツ
この武器の射程は組み合わせたエフェクトの射程より優先する。また、この武器による攻撃に対するドッジのダイスを-2個する。至近不可。1シナリオに3回まで使用可能。
┗ネームド 0 カスタマイズ 彼女がFH時代から愛用するアサルトライフル。彼女に長く使われるにつれ、EXレネゲイドに類似した性質を帯びた彼女のレネゲイドに感染。持ち主同様の凄まじい再生能力を発揮するようになった。自らの肉体ごと吹き飛ばす炸裂弾を投射しても銃が壊れないのはこの為であるが、しかし元来生物では無かった故にかその再生能力には限界があるようで、乱発は出来ないとされている。
一般アイテム常備化経験点種別技能解説
かけがえのない逸品×2 10 使い捨て 登場侵蝕を振り直す。3つまで常備化可能。
レネゲイドの為に最適化された異形の肉体により、彼女は侵蝕を抑えながら戦うことができる。
ドロップアウト 5 エンブレム/一般 UGN以外のエンブレムを1つ取得できる。ゼノスネットワークを選択。
彼女は多くの組織に身を置き、そして抜けてきた。いつかはUGNも食い物にすることになるのだろうか。…少なくとも、それは今ではないだろう。
ゼノスネットワーク 10 エンブレム/一般 ゼノス以外のエンブレムを3つまで取得できる。命の終着、侵蝕する悪意、アフターライフを選択。
彼女の身体には、ゼノスが各組織から集めてきた様々な特異技術が詰め込まれている。彼女が生きていることそれ自体が、技術の有用性を証明し続ける。
命の終着バーンアウト 15 エンブレム/一般 自身のシンドローム1つの《リフレックス》を3レベルで取得。HP最大値を-20(最低1)。
“蓬莱”セルで受けた様々な責め苦と、それによって得た超再生能力を表す。得た力の大きさを考えれば、あの日々も悪いものでは無かったのかもしれない。…なんて考える自分に、時々嫌気がさす。
侵蝕する悪意 15 エンブレム/一般 マイナーアクションで使用。暴走以外のバッドステータスを1つ選択。そのメインプロセスで行う攻撃が命中した場合、対象に選択したバッドステータスを与える。邪毒の場合、ランクは3になる。憎悪の場合、対象は任意に選択する。1シナリオに3回まで使用可能。
ゼノスによって埋め込まれた特異技術のひとつ。爆発によって四散した自らの肉体を操ることで、時に敵対者に自殺を選ばせる程の凄まじい苦しみを与える。
アフターライフ 5 エンブレム/一般 フリーランス以外のエンブレムを1つ取得できる。プラン:エリミネートを選択。
フリーの暗殺者として活動していた経験は、UGNに首輪を嵌められた今でも彼女を助けてくれる。
プラン:エリミネート 15 エンブレム/使い捨て いつでも使用できる。シナリオ中、自身の行う攻撃の攻撃力を+7し、HP最大値を-5(最低1)。効果中、他の「プラン:」名称のエンブレムの効果を受けられない。マイナーで効果を解除可能。
基本的にシナリオ開始と同時に使用するため、ステータスやコンボはこのアイテムの効果を受けた前提で記述している。
ゼノスによって埋め込まれた特異技術のひとつ。身体能力を大幅に向上させるが、肉体への負担が非常に大きいとされる。…超再生能力を持つ彼女以外にとっては、だが。
ウェポンケース 1 一般 デアフライシュッツをオートアクションで装備できる。
コネ:要人への貸し 1 一般 〈情報:〉 任意の〈情報:〉判定の直前に使用。判定のダイスを+3個。1シナリオに1回まで使用可能。

経験点計算

能力値 技能 エフェクト アイテム メモリー 使用総計 未使用/合計
0 0 34 100 0 134 0/134
侵蝕率効果表

現在侵蝕率:

容姿・経歴・その他メモ

「世界よ、喝采せよ」
「此れこそ至上の喜劇コメディなり」

Personal Data

Name: 罅月 雫はづき しずく
Gender: 女性
Birthday: 4/23
Like: なし
Dislike: 自分自身

Appearance

赤目黒髪の少女。前髪は斜めパッツンで、長めの髪をツインテールにしている。目はつり目気味のジト目。胸はそれなりにあり、パーカーなどの緩めな服の上からでも膨らみが確認できる程度。
しかし彼女の外見で最も衝撃的なのはその異形化した身体部位であろう。右眼があるべき部分には大きな穴が空き、右腕の肘から先が2本生えている。そして削げ落ち裂けた頬は、彼女から笑顔以外の表情を奪い去った。しかし残された左眼には、常に怒りと失望が並々と湛えられている。

Backbone

“Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot.”

Charlie Chaplin

第1幕・日常はかくて崩れ去り

北海道札幌市にて生誕。当時両親が共働きだった為、近くに住んでいた祖母に預けられることが多かった。しかし取り立てるような出来事がそれぐらいしか無い、呆れ返るほど退屈で平穏な日々を、7歳まで過ごした。転機は地域の劇団に加入したこと。彼女はそこで、敗北と絶望を嫌という程味わうこととなる。彼女の脳を焼いた女の名は「雕山 玲奈わしやま れな」。2歳年上の先輩だった。

端的に言うならば、雕山は「完璧な役者」だった。コメディリリーフの役を与えられれば、その一挙手一投足が笑いを誘った。悲劇のヒロインの役を与えられれば、真に迫った演技で観客の頬を濡らした。そして、主人公の役を与えられれば…。彼女はその時初めて、己の人生の主人公が必ずしも自分で無いことを否応なしに悟らされた。その衝撃は、どうやら幼い彼女には余りにも大きすぎたようで。彼女は、いつか必ず演劇で雕山を越えることを、あろう事か雕山の前で誓った。だが、その無邪気な敵意は雕山にとっても好ましいものであったようだ。2人の仲が深まっていくのに、そう時間はかからなかった。

雕山と罅月の年の差は2つだったが、しかしそれ以上に差があるのではないか、と罅月に思わせる程に、雕山は博識であった。彼女は罅月に惜しみなく演劇のアドバイスを送り、そしてそれ以外にも人生観など多くを語り、罅月の人生に大きく影響を与えていった。その度に、罅月の反骨心は刺激されていき…いつしか彼女の人生そのものが、雕山玲奈を越えることを目的にするようになっていった。それが、彼女を己の人生の主人公であると認めることに等しいとも気づかずに。そして、そんな生活が10年ほど続き、罅月雫16歳の夏。

雕山玲奈は、舞台上で毒を仰ぎ、死んだ。

雕山にはとある有名な劇団からオファーが来ていた。彼女は演劇を続けたいと願ったが、しかし両親がそれを許さなかった。雕山の両親は、所謂毒親であった。教育熱心な両親は、娘の意志の全てを黙殺し、さながら操り人形の如くに仕立て上げんとしたのだ。このままでは、雕山玲奈という人格は両親に殺される。残るのは、ただ両親の言うことを聞くだけの傀儡だ。で、あるならば。せめて役者であるうちに死にたい、と彼女は願い、そして高校生活最後の舞台でそれを成し遂げたのだった。

無意識のうちに、雕山を己の人生の主役に据えるほどに彼女を慕っていた罅月は、当然深い深い絶望と失望に襲われた。だが、主人公の居ない物語人生は、いずれ必ず崩壊する。彼女は、雕山の死を受け入れる訳にはいかなかったのだ。彼女は半狂乱で、「人を蘇生する方法」を片っ端から調べ始めた。冷凍保存、反魂の儀式、不老不死の秘薬…ありとあらゆるオカルトの中に埋もれるようにして、「死なないバケモノ」の噂があった。そんな噂にすら、彼女は縋らざるを得なかったのだ。街を彷徨い、噂を辿り、やがて行き着いたその先で、彼女は「力」と対面し、手を伸ばし--。

かくして、彼女はオーヴァードと化したのだった。

第2幕・比良坂に破顔う

オーヴァードとして覚醒した彼女の元には、当然各組織からの勧誘…という名の拉致宣言が届いた。どこを選んでも碌なことにならないことを彼女は雕山の話から悟っていたが、しかし彼女は敢えてFHへの隷属を選んだ。「雕山の蘇生」という目的一つとっても、多くの倫理的障壁を乗り越え、更に権限を持つ者に頭を下げなければならないUGNや、そもそも技術力の足りないその他大勢の民間組織に対し、FHは"欲望"のためならばあらゆる手段が許容され、それらへのアクセスに必要なものも実力のみと至ってシンプル。そして運のいいことに、彼女を見初めたエージェントの管轄内には、彼女の「欲望」に合致するセルがあったのだ。

FH「蓬莱」セル。FHに数多ある研究セルのひとつであり、その主眼は「生と死の境界を越える」こと。人間、もといオーヴァードに不老不死を与える技術や、死者の蘇生など、その研究対象は多岐にわたる。その技術の進歩を支えるのは、セル所属のオーヴァードや捕虜とした他組織のエージェントへの、苛烈な人体実験である。彼女はその実験体の一匹として、セルに加わることとなった。実験体達はセルの戦力も兼ねているため、このセルで戦力として成り上がれば、彼女が望む蘇生技術にもアクセスできるかもしれない、という打算あってのことであった。

セルでの生活は過酷極まりないものであった。一日に複数の薬品を投与され、目的不明の手術をいくつも受けさせられる。実験の成果を確認するための戦闘訓練も毎日のように行われ、出来の悪い実験体の「処分」にも何度も加担させられた。そんな常人であれば1週間と経たずに精神か肉体が破綻するような生傷の絶えない生活の中でも、彼女は「欲望」を胸に抱き、己を呑み込もうとする環境の荒波に抗い続けた。その甲斐あってか、彼女は完璧とは言えぬまでも、大抵の攻撃ならば受けても即座に再生し無力化するほどの、凄まじく高い再生能力を得ることに成功した。彼女はその力を訓練や試験の場でも存分に発揮し、最終的にセルの戦闘部隊に名を連ねるまでに成り上がった。そしてそれから暫くの後、彼女を更に成り上がらせる福音がもう一つ届けられる。

ある日、彼女は…否、セルの全員がひとつのイメージを受けとった。望郷、或いは希望。後の世で「ファントムセル事件」と呼ばれたその出来事から凡そ1ヶ月後のある夜、彼女は唐突に凄まじい苦しみに襲われた。全身の骨と肉を無理矢理ねじられ、掻き回され、滅茶苦茶に改変されてから元に戻されるような感覚。あまりの痛みに気を失い、痛みで目が覚めるような地獄の数時間の後、彼女は己の身体を確認し…絶句した。右腕の肘から先が二叉に分かれ、それぞれの先には機能する手がくっついている。鏡を見れば、落ち窪み「穴」となった右眼と、頬まで裂け、削げ落ち、笑顔以外の表情を奪われた口元。彼女は、異形の怪物となっていた。

トライブリード…三つ目のシンドロームへの目覚めという福音は、彼方此方を弄り回され最早ヒトから程遠い彼女の肉体にはあまりに大きな負担であった。その結果起きたのが、身体の異形化というバグじみた事象だったのだ。だが幸か不幸か、彼女の再生体質とエグザイルの身体操作は相性が良かった。FHにおいて、見た目など大した問題にはならない。重要なのは力だけだ。…とはいえ、彼女自身心理的ショックは大きかったろうが。それも受け入れてしまえば、やる事はこれまでと変わらない。より強くなり、セルで成り上がるべく、彼女は早々と新たな力を使いこなす訓練に取り掛かった。

その数ヶ月後、彼女の目標は「成り上がること」から大きく逸れることとなる。

第3幕・来訪者といばら姫

面影島事件とそれに伴う「黄泉還り」の噂は、閉鎖的なセル内にも飛び込んできた。そして、その下手人たる都築京香がFHを出奔し、ゼノスなる新組織を立ち上げたという噂も。この知らせは、まさに罅月にとっては青天の霹靂に等しかった。自分がFHに与し、こんな異形の怪物になってまで探し求め続けた「死者蘇生」という事象が、何の前触れもなくポンと目の前に降って湧いたのだから。彼女は心底驚くと共に、怒りさえ覚えた。それも二つの事柄に。ひとつは、その黄泉還りがそう長くは続かなかったことに。もう一つは、雕山が己の前に現れなかったことに、である。怒りと期待に逸る彼女の心は、実に短絡的だが効果的に見える一つの答えを導き出した。すなわち、「ゼノスとやらを強襲し、雕山を対象に『黄泉還り』をもう一度引き起こさせる」。何もかもお粗末な計画だが、しかしそこには彼女を突き動かすには十分過ぎる浪漫があったのだ。

彼女は欲望には愚直であった、些か愚直すぎる程に。計画を思いついてから数日後、実地任務にて。彼女は撃退したUGNエージェントの胸ポケットに一枚の紙片を忍ばせ、その場を去った。何のことはない、セルの警備スケジュールとざっくりとした見取り図、そして「数日後の早朝、セル内で複数の爆発が起こり混乱が起こる」という予言が記された紙片であった。そして数日後。彼女は早朝に起き出すと、片端からセルの施設を爆破して回った。けたたましく鳴り響く警報音と、混乱に驚いて起き出しギャイギャイと騒ぎ始めるセルのスタッフ達。それを合図とするかのように、UGNの制圧部隊が突入する。そして更に、騒ぎに便乗するかのように、実験体達の幾人かが周囲のチルドレンや捕虜達を扇動し暴動が発生。更に拡大する混乱と混沌を尻目に、罅月はセルから急ぎ離れ、二度と戻ることはなかった。

それから数日後。ゼノスに所属・或いは協力するオーヴァードが無差別に襲撃される事件が起こり始めた。ゼノスに関与するオーヴァードが突然暗闇から奇襲され、死なない程度の傷を負わされる。慌てて臨戦体制に移ってもそれ以上の攻撃はなく、撤退を余儀なくされる…野盗か何かのようなそんな襲撃が、およそ数ヶ月続いた。勿論、その下手人は罅月であった。目的はひとつ、彼らが撤退していく先を突き止めること。その執念を以て彼らの利用するセーフハウスのひとつを突き止めた彼女は、単身そこに強襲。挨拶がわりに大爆発を起こして混乱を引き起こすと、その爆煙に紛れて構成員らを1人ずつ無力化し、制圧する。鮮やかな手際で立て篭りを成立させた彼女は、そのまま構成員の1人から通信端末を取り上げると、ゼノスの総本山に連絡を飛ばす。“プランナー”を呼べ、と。

しかしまぁ、往々にして目論見というものは上手くいく物ではなく。“プランナー”の代わりにやってきたのは、手練のオーヴァード数名。善戦はするものの、連戦ともなればご自慢の再生能力にも陰りが見えて来るというもの。彼女はやがて物量戦の末に敗北、拘束される。ここで死ぬか、と腹を括った彼女であったが、しかし悪運の強いことに、「単騎で組織に喧嘩を売る」という蛮勇を、年端もいかない少女に為させてしまう程に強力な彼女の“欲望”に“プランナー”が興味を持ったことで、首の皮一枚でその命は繋がり、“プランナー”との謁見さえも叶うこととなった。白昼、廃ビルの上階で相見える、探し求めた相手。下手なことを言えば殺される究極のプレッシャーの中、彼女は叫ぶように呟いた。「蘇らせたい人がいる」、と。向こうはその一言で事情の大半を察したようだった。「残念ですが、あなたの求める手段を私たちは持っていません」。にべもない返答であった。当然であろう、「黄泉還り」を引き起こした存在たる“オモイデ様”は既に休眠してしまっているのだから。だがそれと同時に、“プランナー”は彼女にある知見を示した。

「それ程の強い思いを持っているのにも関わらず、その人が現れなかったのは奇妙だ。推測するに、雕山というその人物は、まだ死んでいないのではないか?」

彼女は愕然とした。確かにあの日、雕山は死んだはず。…だが、オーヴァードに覚醒する要因として「死」はメジャーなものだ。もしも、彼女もレネゲイドウィルスに感染していたなら…?…異形になってまで求め続けた人は、日常のこちら側に今も生きているかもしれない。その疑念は、彼女の中で希望となり、やがて確信、或いは信仰に変わった。雕山は生きている!その信念は、彼女の心に再び火を付けるのに十分だった。

その後、当然ながら彼女はそのまま解放という訳にもいかず、ゼノスに与えた損害を返す為に“蓬莱”セルの情報や研究成果ーーつまり彼女の身体そのもののデーターーを提供する他、幾らかの新技術の被験体とされることとなった。やがてその末に2度目の脱走…という名目でゼノスから解放された彼女は、大いに悩んだ。「これからどうするか」、である。至上命題は「雕山を見つけ出す」ことだが、それ以外の最も大きな問題、すなわち、「どうやって食い繋ぐか」ということが解決していなかった。FHに戻ろうにも、“蓬莱”セルは脱走の際に引き起こした暴動で壊滅したらしいし、離反者の分際で他のセルにノコノコ戻る訳にもいかない。1人で身を立てようにも、何か手に職がついているわけでも…いや、ひとつあった。「殺し」の技術だ。

数ヶ月後、彼女は裏社会でのネームバリューをじわじわと拡大させていた。ゼノスでの治験で与えられた新技術の助けによって、彼女は他者を「自殺させる」ことに特化した暗殺者となっていたのだ。死因が自殺なら足も付きにくく、抵抗に遭っても彼女の身に染みついた戦闘技術が助けとなる。彼女は齢19にして、殺しの鉄砲玉としてほぼ完成を見ていた。裏社会でその存在が知られるようになり、いよいよ商売が軌道に乗ってきた…というところで、予想外の人物が彼女に連絡を寄越してきた。

電話先の男は、自らをUGNの者だと名乗った。UGN…FHに所属していた彼女にとっては、不倶戴天の敵であった存在。始末屋でも寄越しにきたかと思えば、しかし後に続く言葉は予想外のものだった。「我々に雇われてはくれないか」。だが、考えてみればそれも当然の事。彼女は壊滅したFHセルのロストテクノロジーの産物そのものであり、未だ謎の多いゼノスの内情についても知識があるという、UGNからすれば喉から手が出る程欲しい人材だった訳だ。そしてこの勧誘は、彼女にとっても悪い話ではない。組織の庇護下に入るということの強みを彼女はよく知っていた。他組織との無用な争いを避けられることと、組織ならではの巨大な情報網を利用できること。…特に後者は彼女にとってあまりに魅力的な餌だった。断る理由のない彼女は、体裁上UGNイリーガルとしての雇用を受け入れた…有り体に言うならば、UGNの首輪を嵌められることに甘んじたのだった。

世界は変わる。だが、変わらないものもある。アドヴェントス事件とグレイプニルの襲来により、世界は混乱に包まれた。だが、彼女の至上命題は変わらない。「雕山を見つけ出す」。その為ならば、UGNもFHもゼノスも…シャルヴさえも喰らい尽くそう。罅割れた蛇の牙は、然れど金剛石をも穿つだろう。

About

UGNと専属契約を結んでいる暗殺者の少女。FHのエージェントとして力を積み、ゼノスで新たな技術を身に宿し、最終的にUGNに流れ着いたという大変複雑な経歴を持ち、彼女がUGNに目を付けられたのも他組織の内情を知る貴重な人物として、というのが始まりであった。現在はイリーガルエージェントとしてもキッチリ活動している。

彼女と初めて出会った人間は、間違いなく彼女の異様な外見に度肝を抜かれるだろう。陥没し大きな穴の空いた眼孔、二又に分かれた腕、そして頬まで裂けた口。当然望んで得たものではなく、FHで受けた苛烈な人体実験でボロボロになった肉体がトライブリードに覚醒した際、その負荷に耐え切れずに異常な変異を引き起こした結果の産物である。その変異は根深く、UGNの技術の粋を集めても完全な治療は不可能であった為、衆目に晒される際はイージーエフェクトで偽装している。本人もこの異形について思うところはあるようだが、しかし自らへの「禊」として敢えて治療する気もない様子。だが当然、馬鹿にされれば殺しにかかる。

そして彼女のもう一つの特徴が、異常な再生能力の高さ。「生と死の境界を越える」ことを主眼に研究開発を行っていたFH“蓬莱”セル由来のロストテクノロジーたるその再生能力は、全身が粉微塵に吹っ飛んだとしても、破片が寄り集まって人型に再生できる程の凄まじいもの。後天的に覚醒したエグザイルシンドロームとの相性の良さも相俟って、彼女を正面から殺し切るのはほぼ不可能と言われる。だが、その外見と能力から、彼女は自嘲的に「バケモノ」を自称することも多く、社会復帰の為にもメンタルケアが急務とされている。

彼女はUGNと専属契約を結んでいる、と先に書いたが、別に彼女が望んで契約したわけではない。彼女からしてみれば、UGNに協力する事になったのはただの成り行きでしかなく、UGNの事も自らの目的を達成する為の踏み台としてしか見ていない。ではその目的とは何か?答えは単純明快、「ある人物を見つけ出すこと」だ。…かつて、彼女が未だ日常というぬるま湯に浸かっていた頃、彼女がどれだけ足掻いても決して追いつけず、その為に全てを捧げた途端、決して彼女の手の届かない所に「勝ち逃げ」した女。雕山玲奈というその女は、かつて舞台上で毒を仰ぎ、死んだ…はずだった。だが、面影島事件に伴う「黄泉還り」現象の際に罅月の前に現れなかったこと、そしてその事件を引き起こした張本人たる都築京香の言葉から…罅月は、雕山がオーヴァードと化して生き延びていることを確信した。雕山を見つけ出し、彼女の生きる「地獄」にもう一度引き摺り出す。彼女にとって、UGNはその為の手段に過ぎないのだ。

だが乗り気でないとはいえ、一応はUGNに協力している身。与えられた仕事…多くの場合は戦闘が絡む…はキッチリこなすのが彼女のやり方だ。その無尽蔵の再生能力を活かし味方を守護したかと思えば、獲物のアサルトライフルを担いで敵に突撃し、自らの体ごと爆ぜさせる強力な炸裂弾で攻撃。更に飛び散った肉片を操り敵を苦しめる…と、その粗暴で厭世的な態度に反して攻撃も防御も手堅くこなせる万能ユニット、というのが彼女の戦術評価だ。また、異形化した身体はレネゲイドの為に最適化されていることが分かっており、そのため一般的なオーヴァードより長く戦場に居座ることができるのも強みの一つ。しかしながら、その攻撃は大雑把かつ広範囲に及ぶため、場合によっては味方を巻き込んでしまう危険性もある。そのため、少人数での任務や開けた場所での戦闘が予測される任務にアサインされることが多いようだ。

セッション履歴

No. 日付 タイトル 経験点 GM 参加者
フルスクラッチ作成 4

チャットパレット