授業中は眼鏡をかけるが、それ以外は「人の顔を見たくない」と言う理由で眼鏡を外すようになってしまった。
顔や目を見て話しているように見えてはっきりと認識できていないので、相手が誰かは匂いや声や靴音、あるいは「その人が居る場所」で判断している。それが可能となるほどに、彼女はUGNでの生活が日常となっている。

ある程度の訓練は受けているとは言え、未成年であり危険に対処する力はたかが知れているので「危ないと感じたら能力を使う前にまず逃げてUGNへ連絡を入れろ。逃げられなければGPSがあるから大人しく捕まれ。命の危険を感じたら能力を使っても良いが、殺すな。」と口煩く言われている。

両親とはとりわけ仲が良いと言うわけでも悪いわけでもないが、どちらもUGN職員であるため交流が少ない。更に思春期と言う条件もあり、瑞樹からはあまり近付こうとしない。(呼称：かーさん・とーさん)
両親はと言うと、悪童と呼ばれる娘を残念に思うどころか、犯罪を犯しているわけでもないし仕事の評価が悪くないのに問題でも？と意に介さない。しかし瑞樹の能力が上がると"成長"にではなく"UGNに貢献できる"と喜ぶ両親である。

他人に対しては最初は敬語を使い物静かな娘を演じるが、友情・信頼・敵対など、完全な「他人」から外れた相手にはこういった気を使わない。余所行きの顔なので長期間は疲れるとのこと。

学校では最初こそ雑談ができる程度の友人が出来たように思えたが、相手は一般生徒。
常識や趣味のズレを感じてしまった瑞樹の方から距離を取るようになってしまった。
昼休憩は重兼にサンドイッチを持たせてもらうことが多い。
よく携帯とイヤホンを繋いで耳につけている。この世代の例に漏れず椎名〇檎や倉橋〇エコを聴くようだ。西〇カナ辺りは嫌がる。

放課後は、ゲーセンに毎日いる常連のおっさんに会いに行く。
缶ジュースやメダルを奢ると、お返しに菓子をくれたりちょっとした悪戯グッズをくれる。
但しこれは表の話。
金額や情報次第では一般流通しない物でも融通する手配師である彼が、果たしてどのような理由で瑞樹と知り合ったのか。
ここでは語られない。

17歳。多感である。承認欲求の塊。でも大人に諸手を挙げて評価されるのは馬鹿にされてるようでなんかムカつく。
エフェクトがサポート型のため後衛に回ることが多いが、当人は守られているだけのように感じて歯痒く感じている。
悪戯とは言え怪我をしたり損害が出るようなものではなく、ファイルの順番をずらしたりGのおもちゃを女性職員に放り投げたりする程度。
一度だけジャミングが暴発した際に大目玉を食らったし自分にも被害が出たので、エフェクトや凶器を用いたものは絶対にしない。しかし衝動「自傷」が発生した場合この限りではない。

「その為に生き、その為に死ぬ。」
彼女はそれを理解している。彼女の小さな自我を気に留めていられるほどUGNの規模は小さくない。
服従や隷属。傍から見た彼女のUGNに対する姿勢は、そんな印象を与えるかも知れない。
だが、彼女にとっては良き忠誠心なのだ。悪戯が大目に見てもらえているのも、彼女が仕事をちゃんとこなしているからだ。
不要とされれば、居場所など瞬時に消えてしまう。そんな当たり前のことを、彼女は理解しているのだ。

エフェクト：ディヴィジョン「悪童の贖罪」
いつからこんな芸当が出来るようになっていたのかは、知らなかった。
目の前で人の命が消えた時、ロリポップでは遅すぎると感じた。
痛みも苦しみも、自分が少しでも受け持つことが出来たならば、一人だけでも救えたのかも知れない。
もうあんな思いは、したくない。

歌詞に使われている「あなた」を、人ではなく「UGN」に変換。
自分が損をしても、嘘を吐かれても、「あなた」のためになるのならばどうなったって良い。
アタシは純粋培養されたUGNの忠実な子。「だからアタシを愛して」
見返りを求めぬ、目隠しの信心。「アタシをもっと愛して」
死地に行くのも、無謀な任務を受けるのも、アタシの幸せ。「吐きそうだ」
アタシを止めないでね、神様。「アタシを必要として。父さん、母さん。」

普段アタシと関わりのないどっかのお偉いさんが、アタシのしている悪戯(コト)について霧谷サンに苦言を呈したんだとか。
霧谷サンからなるべく控えるようにと言われたけど、そんなんでアタシを止められると思ってんの？
誰だか知らないケド、コドモのする悪戯(コト)にいちいち目くじら立てるようなオトナこそ、アタシの標的になっちゃうよ？
…って答えたら、霧谷サンもニヤッて笑ってた。
クスクス…精々アタシの前に現れないことだねェ。でもいつか会えた時のために、とっておきくらいは用意しといてア・ゲ・ル♡